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逆恨みが怖すぎます
しおりを挟む(…マテオ様がナディア様を叱る?)
一瞬ポカンとしたあと、少女は徐々に顔色を悪くした。
そんな事をしてしまってはアリアはナディアに逆恨みをされるのではないだろうかと思ったからだ。
物語後半の過激な彼女の性格を知ってしまっているアリアは心の底からゾッとしてしまった。
彼女、ナディア・マットン侯爵令嬢は本当に悪役らしく、華々しく散るまでありとあらゆる悪事に手を染めてしまうのだ。ナディアは学園の中で、悪口を広め威嚇するといった陰湿な虐めを主人公に対して行い、それは時間が経つにつれてどんどんエスカレートしていく。
まずは部屋に閉じ込めたり物を隠したり教科書を破ったりするところから。
そして、主人公を階段から突き落とそうとしたり、階下を歩く主人公に窓から泥水と割れたガラスの混ざった水をぶっかけたり、睡眠薬を飲ませて暴漢に襲われるように仕組んだり。全て取り巻きを使っての犯行で、一番最後にナディアにたどり着くまで、誰に虐められているのか分からない主人公。(ナディアが怪しく笑いながら、主人公を見つめてる時点でもうほぼバレていたけど。)
そしてその度に、主人公は自力で頑張ったり男主人公達に助けれたりして、その度に彼らの距離は縮まってゆき。
(ハードな虐めの過程で、主人公は怪我をしたり心に傷を負ったりするけど、癒しの魔法が使えるし前向きな性格でそれも難なくクリアしてしまい、更にナディア様の心を逆撫でてしまうんですよね…。)
怒りと嫉妬の最高潮に達したナディアが、最終的に毒を使って主人公を本気で殺害しようとした箇所を読んだ時、前半のまったり穏やかな空気からの落差で風邪を引きそうになったほどだった。
(そんな恐ろしいお方にこれ以上関わりたくない…関わってはいけません…!)
ストーカーをしたことは謝ります、放っておいて頂けませんでしょうか…!と叫びそうになるのをぐっと堪える。
そして、ゆっくりと振り返ると、マテオの顔を見て小さく微笑んだ。アリアの美しく整えられた顔を見て、驚いたのだろう。薄水色の瞳が見開かれる。
「お気になさらないで下さい。わたしが悪いのです。
マットン侯爵令嬢様の仰る通り、アレンデラス公爵令息様にご迷惑をお掛けしてしまっておりました…。
今後一切お会いすることのないように節度を守って生活をしてゆく所存で」
「何故?」
「え?」
「何故そんなことを言うの?」
「…え?」
もう会わないように頑張りますと伝えて、わたしからのストーカー被害で困っておられただろうから喜ばれると思ったのに、言葉を遮られてしかも何故と問われ、アリアは一瞬時を止めた。
何故とは。
(ストーカーだったのです、わたし、貴方の。
みなまで言わせる気ですか…?)
マテオは、さらに一歩こちらに近づいた。思わず後ずさりしようとして後ろに居たリュシアンの胸に頭がぶつかってしまい、慌てて一歩踏み出してマテオに近づきそうになり、その場でとどまった。
マテオはすぐ目の前にいて、アリアをじっと見下ろしている。居心地の悪いその視線に、少女は彼の胸元を見つめていて、ふと気がついた。
胸元に着いている宝石が美しいアメシストだったからだ。見事なその宝具に、思わず母の瞳の色を思い出した。
「リエール嬢、…いや、アリア嬢と呼ばせて頂いてもいいかな?
何故僕から離れていこうとするの?」
「な、何故と言われましても…。」
ところで何故、名前で呼ぶのでしょうか??
…理由としては、貴方様はこれから主人公に出会い、主人公の優しさや明るさに惹かれて彼女に恋をし、そしてナディア様が怒り狂って、そして断罪&ハッピーエンド(淡い恋のままみんな仲良く)クライマックスを迎えるんですよ!そして、その場所にモブであるアリアは一切登場してこないのです、とは言えない。
「それは、その。」
少女が言葉を迷っていると、そこにリュシアンが割り込んだ。
「私に出会ったからだよ。」
「「え?」」
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