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「そうだな。せっかく嬢ちゃんが決意したんだ。なら俺もそれを応援しながら守るぜ。こんなんでも一応騎士だからな!」
次に俺の戦闘参加を認めてくれたのはグランプだった。
前回も俺を守ってくれた彼には今後も頼ることが多いだろう。
だから彼が認めてくれたことに俺はほっと胸を撫で下ろした。
「んー、僕たちは弱いから助けることは難しいかもしれないけど」
「でもお姉ちゃんが頑張るなら、僕たちも一緒に強くなれるように頑張るよー」
双子は俺の手を左右から引っ張りながら笑顔を見せてくれる。
元々戦力としては当てにしていないが、一緒に努力してくれる気があるならとても助かる。
全員レベルMAXというのは容易なようで、実は戦闘不得手組にとってはかなり難しいことだから。
「ありがとう、2人とも」
だから俺は礼を込めて彼らに笑いかけた。
戦闘にさえ参加してくれれば経験値は入るので、倒すのは俺に任せてくれてもいいよ。
「……俺も」
すると今度はおずおずとバッシルが声を発する。
「俺も、ネージュと一緒に頑張るよ。少しでもネージュを守れるように」
不器用にだが僅かに口元を緩め、眼鏡の奥から覗く金色の瞳に優しい決意を乗せて彼は俺を見た。
滅多に合わない視線が、しっかりと合う。
「そうだね。せめて盾ぐらいにはなれるようにしなきゃ」
そう言って続いたハーピスの真意はわからない。
けれど彼は俺の唯一完全なる味方だ。
そこにどんな感情や思惑があれ、彼を疑うことはない。
「ありがとうございます、バッシル、ハーピス。でも自分のことも守ってくださいね?」
俺の言葉に彼らは2人揃って視線を逸らせた。
おいこら、せめてそこは頑張れ。

「……私は反対です」
完全に明後日の方を向いた2人をジト目で見ていた俺に、ドクトの静かなのにはっきりとした声が届く。
反射的に彼の方に振り向けば、思ったよりも険しい目と目が合った。
「…何故ですか?」
いい流れで来たところでの反対意見に、俺は食って掛かりたくなるのを押さえながら問いかける。
ドクトはグランプ、ドーパに次いで強く、学者のハーピス、教授のバッシルと並ぶ頭脳を誇り、医学知識まであるというMr.パーフェクトだ。
彼が頼れないとなると相当痛い。
「医者として貴女はまだ経過観察中であると判断したからです。魔物との戦闘は武器を使います。その最中に貴女がトラウマによってパニックを起こしても不思議ではありません」
そう言うドクトは絶対に譲らないと強い視線で俺を捕らえる。
彼の言葉は俺の身の安全を考えれば、医者としては当然の判断だと思える意見だ。
だが、それでは困るのだ。
「それは重々承知しています。最初から一緒に戦おうとは思っていません。皆さんの戦闘を見て学び、自分にできることから徐々に参加すると約束します」
下手に説得力のあるドクトの意見に皆の意見が傾いてしまってはいけないと、俺は必死に言い募る。
なんとしても彼にも頷いてもらわなければ。

それからしばらく、俺と、俺が見回りに参加するのを反対するドクトとの言い合いは平行線を辿った。
『戦闘に参加すればどうなるかわからない』という不確定ながらも重大な事柄が反対の理由であるために、明確に説得できる材料がないのだ。
『きっと大丈夫』と『無理かもしれない』は決して交わらない。
そこには俺だけではなく、ここにいる皆の生死までもがかかっているからだ。
イクスキャリバーの性能を明かせば間違いなく説得は出来るが、それはしたくないし。
どうすればいいかと俺が途方に暮れていたその時。
「んじゃ見回りの時は常にドクトが一緒にいればいいんじゃない?」
我がブレーンであるハーピスが助け船を出してくれた。
「医者として経過観察が必要なら、一緒にいて見ててあげればいいじゃん。グランプかドーパが一緒ならネージュを見守りながら戦うこともできるはずでしょ」
得意げに右手の人差し指を立てて振りながら、ハーピスは俺とドクト、グランプ、ドーパを順に見回す。
「どう?」と問いかけるようなその視線に、ドクトは苦々しい表情を浮かべた。
ハーピスの意見は彼の主張を認め、それをベースとして示されたものだ。
であるならば否定するのは難しい。
「………わかりました」
ドクトはかなり悩んでいるようだったが、苦渋の決断といった様子でその意見を承認した。
妥協点を見出してくれたハーピスを見れば「イェーイ」とこちらに向かってピースをしている。
あいつ、思ったより頼りになるー!
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