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熱いシャワーに打たれながら、背後から覆い被さるように抱かれ、右手で乳房と尖端を、左手で淫核と裂け目のギリギリを責め立てられていた。
その手つきは荒っぽいのにまだどこか躊躇いを感じさせ、耳や首筋にあたる吐息は熱く獣を思わせる。
私は自分が失敗作の画用紙のようにぐちゃぐちゃにされている気分だった。でも浴室に響くのは、真夏の犬のように短く、甘ったるく、痴情にまみれた嬌声で、媚びるように腰を揺らしているのは、画用紙なんかではない。貪欲で下品な恥知らずの女。好きで好きでたまらない男の指に翻弄され、処女のくせに半べそをかきながら喘いでいる。頭の中は快感に掻き乱され、もはや理性や知性が吹っ飛んで、首筋を舐ぶられ腹部や鼠径部をなで回される度に悦びに震えた。
三回目の絶頂で萎びた私をバスマットに下ろし、正面のバスタブの縁に腰かけた。彼のペニスはまだあまり反応を示していない。だらりと長く伸び、うっすら血管がうかび、小さく波打っているものの、卑猥な漫画でみるようなそそり立つ力強さがない。息も絶え絶えながら引寄せられるようにそれに唇をつけた。
「チンポ、すき?」
うつむき加減で、濡れた髪が影になり、くすんだ下瞼と光が差さない虚ろな眼差しと、単語がミスマッチで違和感を覚えたが、笑うこともできないくらい、彼も私も疲弊していた。
「なぁ、織部」
やんわりと前髪を掴まれ、顔をあげさせられた私はどんな顔をしているのだろう。
真壁さんは酷く不機嫌な白昼夢の中にでもいるのだろうか。
「わかりません。男のひとに触るの、初めてなので」
「……なんなんだよ、それ」
真壁さんは両手で目を覆うと、深いため息をついた。
「無理だ。もう無理。俺はやれない。ふざけるな。どういうつもりだ。なんで織部はこんなことしたいんだよ」
「す、すみませんでした」
何故こんなに怒らせてしまうのかわからない。アラサーの処女は悪なのかしら。それとも上司と部下の均整を破った罰?
嫌われた。もうダメ。私の白痴の頭はすっかり醒めきり、火照った身体は冷えきった。
「このことは忘れる。これからはもう仕事以外で俺に近づかないでくれ」
真壁さんは浴室を出ると、大きなバスタオルを私にかけた。
「俺、会社戻る。織部は始発までここに居ろよ。ベッドは使える。帰るとき鍵はかけなくていいから」
「いえ……。タクシー拾って帰りますから大丈夫です」
「その辺の男でも捕まえて続きをするのか?」
「そんなわけ、ないじゃないですか」
「じゃあここに居ればいいだろ」
「……わかり、まし……」
いい終わらないうちに涙が溢れた。けれど、真壁さんは去ってしまった。
欲望ばかりに走って、自ら大事なものを壊してしまったにちがいない。真壁さんの身体も熱も、気配さえも遠ざかってしまった。
なのに、私の身体には、淫靡な感触がしっかりと残っている。
私は、恋の始めかたを間違えたのかもしれない。
あるいは、相手を間違えてしまったのだろうか。
なにもわからないまま、私はバスタオルにすがりついて嗚咽をあげた。
その手つきは荒っぽいのにまだどこか躊躇いを感じさせ、耳や首筋にあたる吐息は熱く獣を思わせる。
私は自分が失敗作の画用紙のようにぐちゃぐちゃにされている気分だった。でも浴室に響くのは、真夏の犬のように短く、甘ったるく、痴情にまみれた嬌声で、媚びるように腰を揺らしているのは、画用紙なんかではない。貪欲で下品な恥知らずの女。好きで好きでたまらない男の指に翻弄され、処女のくせに半べそをかきながら喘いでいる。頭の中は快感に掻き乱され、もはや理性や知性が吹っ飛んで、首筋を舐ぶられ腹部や鼠径部をなで回される度に悦びに震えた。
三回目の絶頂で萎びた私をバスマットに下ろし、正面のバスタブの縁に腰かけた。彼のペニスはまだあまり反応を示していない。だらりと長く伸び、うっすら血管がうかび、小さく波打っているものの、卑猥な漫画でみるようなそそり立つ力強さがない。息も絶え絶えながら引寄せられるようにそれに唇をつけた。
「チンポ、すき?」
うつむき加減で、濡れた髪が影になり、くすんだ下瞼と光が差さない虚ろな眼差しと、単語がミスマッチで違和感を覚えたが、笑うこともできないくらい、彼も私も疲弊していた。
「なぁ、織部」
やんわりと前髪を掴まれ、顔をあげさせられた私はどんな顔をしているのだろう。
真壁さんは酷く不機嫌な白昼夢の中にでもいるのだろうか。
「わかりません。男のひとに触るの、初めてなので」
「……なんなんだよ、それ」
真壁さんは両手で目を覆うと、深いため息をついた。
「無理だ。もう無理。俺はやれない。ふざけるな。どういうつもりだ。なんで織部はこんなことしたいんだよ」
「す、すみませんでした」
何故こんなに怒らせてしまうのかわからない。アラサーの処女は悪なのかしら。それとも上司と部下の均整を破った罰?
嫌われた。もうダメ。私の白痴の頭はすっかり醒めきり、火照った身体は冷えきった。
「このことは忘れる。これからはもう仕事以外で俺に近づかないでくれ」
真壁さんは浴室を出ると、大きなバスタオルを私にかけた。
「俺、会社戻る。織部は始発までここに居ろよ。ベッドは使える。帰るとき鍵はかけなくていいから」
「いえ……。タクシー拾って帰りますから大丈夫です」
「その辺の男でも捕まえて続きをするのか?」
「そんなわけ、ないじゃないですか」
「じゃあここに居ればいいだろ」
「……わかり、まし……」
いい終わらないうちに涙が溢れた。けれど、真壁さんは去ってしまった。
欲望ばかりに走って、自ら大事なものを壊してしまったにちがいない。真壁さんの身体も熱も、気配さえも遠ざかってしまった。
なのに、私の身体には、淫靡な感触がしっかりと残っている。
私は、恋の始めかたを間違えたのかもしれない。
あるいは、相手を間違えてしまったのだろうか。
なにもわからないまま、私はバスタオルにすがりついて嗚咽をあげた。
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