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番外編
HAPPY BIRTHDAY!(to涼子)
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もうすぐ私の誕生日。二十代後半から憂鬱で仕方なかったこの行事を待ち遠しく思うなんて、子供の時以来だ。
なんたって最愛の男ひとと過ごす特別な日になるのだから。
「涼子、誕生日プレゼントなにがいい? サプライズも考えたんだけど、外したら嫌だから教えて」
甘くて優しい彼には申し訳ない。だけど、どうしても譲れない。
「そのままの恭一さんでお願いします」
「そんなんでいいの? ケーキは? ディナーは? いきたいところないの?」
「自分で用意します」
「えー。張り合いないな」
「うふふ。私はとっても張り切っています。あの、これ、この中ならどれがお好みですか?」
私はパソコンで検索したランジェリーの画像を見せる。
「涼子は本当に好きだな」
半ば呆れて、でもまんざらでもなさそうにのぞきこむ。私のこめかみと彼の頬の辺りが軽く触れあう。
「これは?」
と彼が指したのは、ペールピンクのラナンキュラスのようなふんわりしたベビードール。
「うーん……。恭一さんにはちょっと……」
「ーーーえ?」
「え?」
「今、俺のこと言わなかった?」
「え? なに言ってるんですか。恭一さん、私にはちょっと似合わないですって……」
「そうか? 可愛いと思うよ。買う? プレゼントするよ」
「いいえ。やっぱり黒かなぁ」
「たまにはこういう甘いの着てよ」
「好きですか?」
「うん」
「えー、じゃあ買いまーす」
カートにイン! ポチっとな。バースデーパーティーのドレスはこれだわ。
「俺、買うのに」
「私だって働いてますから」
「でもさ、せっかくの誕生日だろ? 初めて一緒に祝うんだからさ。なにかないのか? 俺ができること」
来た、来た来た、来た! 待ってました、そのお言葉。
「……じゃあ、私のお願い叶えていただけますか」
「もちろん。俺にできることなら」
「恭一さんにしかできないことです」
「うん。なに?」
「当日で大丈夫です。ジムの時間ですよね。私はすることしてシャワー浴びてます」
「お、おう。その言い方なんかエロい」
「またまたぁー。あ。プロテイン持っていきますよね」
「うん。持っていく。なんだやけに急かすな」
「頑張ってくださいね」
「お、おう」
ほとんど追い出す形で恭一さんを送り出して、私は引き続きサイトをくまなくチェックし、さらにはランジェリージプシーとしてネットサーフィンをした。
最高の一枚があるはず。至高の一枚が。
私への贈り物。視覚の至福。ストイックの産物、美意識の極み。人体の宝玉。究極の男性美。
二十代では気づかなかった雄っぱいの魅力!
いや、そもそも私が大胸筋や前鋸筋、シックスパックにうっとりするようになったのは恭一さんのせいなのだ。
三角筋や上腕二頭筋、上腕三頭筋、腕橈骨筋はいわずもがな、腸腰筋なんかもたまらない。僧帽筋、広背筋、中殿筋、大殿筋、大腿二頭筋、ひ腹筋、ヒラメ筋、言い出したらキリがない。
艶やかな肌に被われながら主張する鍛えられた筋繊維の束。その一つ一つが作り出す陰影が醸す色気。
高級なスーツも腕時計もあの大胸筋と腕橈骨筋がなければ色づかない。
あの男性美の極みに相応しいランジェリーがあるはず。
女性美の為に作られた装飾品と男性美の極み。排他的かつ退廃的な芸術が出来上がるに違いない。
なにがいいたいか。平たく言うと私だけが得して恭一さんがドン引き。
でもいいの。素晴らしいラッピングも贈り物なんだから。
あー。やっぱ黒だわ。サイドタイのシースルーのビキニ。シンプルなやつかな。ゴージャスなレースのタンガも捨てがたいけど。蜻蛉の羽根のような黒いシルクのストールをあの大胸筋に飾るリボンとしよう。フレンチスタイルのストッキングにガーターベルトも綺麗かもしれない! でもなー。絶対拒否されそうなんだよねぇ。
あとは、やっぱ手錠。あーん。このパッションピンクのふわふわ可愛ーい。差し色大事! ポチポチ! ビジュアル的にボールギャグ噛んで欲しいけどハードル高そうだから今回はやめておこう。
はー。誕生日が待ち遠しい。
私のお願い叶えてくださるんだから有難い。
詳細な内容は言ってないけど。
世界で一つだけのバースデースイーツも作るんだ。
私の好きなものだけを詰めこんだ特別なギフト。
アニバーサリーはやっぱり準備が楽しい。
神様、どうか、恭一さんが笑って許してくれますように!
なんたって最愛の男ひとと過ごす特別な日になるのだから。
「涼子、誕生日プレゼントなにがいい? サプライズも考えたんだけど、外したら嫌だから教えて」
甘くて優しい彼には申し訳ない。だけど、どうしても譲れない。
「そのままの恭一さんでお願いします」
「そんなんでいいの? ケーキは? ディナーは? いきたいところないの?」
「自分で用意します」
「えー。張り合いないな」
「うふふ。私はとっても張り切っています。あの、これ、この中ならどれがお好みですか?」
私はパソコンで検索したランジェリーの画像を見せる。
「涼子は本当に好きだな」
半ば呆れて、でもまんざらでもなさそうにのぞきこむ。私のこめかみと彼の頬の辺りが軽く触れあう。
「これは?」
と彼が指したのは、ペールピンクのラナンキュラスのようなふんわりしたベビードール。
「うーん……。恭一さんにはちょっと……」
「ーーーえ?」
「え?」
「今、俺のこと言わなかった?」
「え? なに言ってるんですか。恭一さん、私にはちょっと似合わないですって……」
「そうか? 可愛いと思うよ。買う? プレゼントするよ」
「いいえ。やっぱり黒かなぁ」
「たまにはこういう甘いの着てよ」
「好きですか?」
「うん」
「えー、じゃあ買いまーす」
カートにイン! ポチっとな。バースデーパーティーのドレスはこれだわ。
「俺、買うのに」
「私だって働いてますから」
「でもさ、せっかくの誕生日だろ? 初めて一緒に祝うんだからさ。なにかないのか? 俺ができること」
来た、来た来た、来た! 待ってました、そのお言葉。
「……じゃあ、私のお願い叶えていただけますか」
「もちろん。俺にできることなら」
「恭一さんにしかできないことです」
「うん。なに?」
「当日で大丈夫です。ジムの時間ですよね。私はすることしてシャワー浴びてます」
「お、おう。その言い方なんかエロい」
「またまたぁー。あ。プロテイン持っていきますよね」
「うん。持っていく。なんだやけに急かすな」
「頑張ってくださいね」
「お、おう」
ほとんど追い出す形で恭一さんを送り出して、私は引き続きサイトをくまなくチェックし、さらにはランジェリージプシーとしてネットサーフィンをした。
最高の一枚があるはず。至高の一枚が。
私への贈り物。視覚の至福。ストイックの産物、美意識の極み。人体の宝玉。究極の男性美。
二十代では気づかなかった雄っぱいの魅力!
いや、そもそも私が大胸筋や前鋸筋、シックスパックにうっとりするようになったのは恭一さんのせいなのだ。
三角筋や上腕二頭筋、上腕三頭筋、腕橈骨筋はいわずもがな、腸腰筋なんかもたまらない。僧帽筋、広背筋、中殿筋、大殿筋、大腿二頭筋、ひ腹筋、ヒラメ筋、言い出したらキリがない。
艶やかな肌に被われながら主張する鍛えられた筋繊維の束。その一つ一つが作り出す陰影が醸す色気。
高級なスーツも腕時計もあの大胸筋と腕橈骨筋がなければ色づかない。
あの男性美の極みに相応しいランジェリーがあるはず。
女性美の為に作られた装飾品と男性美の極み。排他的かつ退廃的な芸術が出来上がるに違いない。
なにがいいたいか。平たく言うと私だけが得して恭一さんがドン引き。
でもいいの。素晴らしいラッピングも贈り物なんだから。
あー。やっぱ黒だわ。サイドタイのシースルーのビキニ。シンプルなやつかな。ゴージャスなレースのタンガも捨てがたいけど。蜻蛉の羽根のような黒いシルクのストールをあの大胸筋に飾るリボンとしよう。フレンチスタイルのストッキングにガーターベルトも綺麗かもしれない! でもなー。絶対拒否されそうなんだよねぇ。
あとは、やっぱ手錠。あーん。このパッションピンクのふわふわ可愛ーい。差し色大事! ポチポチ! ビジュアル的にボールギャグ噛んで欲しいけどハードル高そうだから今回はやめておこう。
はー。誕生日が待ち遠しい。
私のお願い叶えてくださるんだから有難い。
詳細な内容は言ってないけど。
世界で一つだけのバースデースイーツも作るんだ。
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神様、どうか、恭一さんが笑って許してくれますように!
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