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宮城旭

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 指が3本入っている。
 どこに、と言えばもちろん栄智の穴にだ。

「痛くない?」
「あ、大丈夫、だから、っ……はッ……」

 仰向けで両ひざを抱えた栄智は、前立腺に指がかかるたび首を振って耐えていた。もう十分広がった穴に、ローションを継ぎ足して中に入れ込む。片手で穴を解すことは忘れずに、もう片腕を伸ばしてテーブル下の箱からコンドームを取り出し、歯で封を切った。手元に視線を感じて目線を上げると、目を潤ませた栄智が伏し目で見ているのがわかる。栄智って俺がゴムはめるとこ好きだよなと頭の片隅で思いながら、腰を近づけた。

「じゃ、入れるよ」
「ん……くっ……! はぁ、ッ……!」

 入り口にあてがった性器をグッと押し進め、栄智の体へ侵入していく。少し抵抗はあれど、すぐに熱い体内が俺を包み込んだ。

「はぁ~……気持ちいい」
「ぜ、全部、入った……?」
「うん、入ってるよ。ほら体がくっついてる」

 栄智の腰を掴んで、自分の下腹部と接合部をより密着させる。ほじくるように腰を動かすと栄智の中がうねり始めた。

「ぁ! あぁ、ん、まだ動かす、のやめっ……!」
「え~? それはどうしよっかな~」

 言いながら腰を掴んでピストンを仕掛けると、栄智は面白いくらいに背中を反らした。

「あ、あ、待っ……!はぁ、ッ……!」
「ほーら、栄智の好きなとこいじってあげるからね」

 俺の動きと共にぷるぷると揺れている性器を握って亀頭を同時に擦ってあげたら、隣の部屋に聞こえるんじゃないかという音量で栄智が喘ぐ。可愛いけど強くやり過ぎたかなと思い、擦るのではなく撫でるように親指で亀頭をいじっていると、鈴口から先走りが次々漏れ出した。意外と、想像より鈴口って大きさあるよなと思ったところで、ふと思い出した。会社の悪い先輩に貰った、下世話なプレゼントがあることを。
 さすがにやめた方がいいかもと言ってくる良心も好奇心には抗えず、気がつけばコンドームを入れている小物入れに手を伸ばしていた。中から銀色の細長い金属を取り出す。

「……これ、入るかな」

 開閉を繰り返す鈴口を親指で撫でながら呟くと、快楽に喉を反らしていた栄智が俺の手元の金属を見るや否や、俺の腕を掴んだ。

「ちょっと待て……!それなに、なんですか……!?」
「ブジーっていう尿道に入れる医療器具。入れたら意外と気持ちいいらしいよ」
「は、尿道……!?んなの、絶対無理だから……!」

 拒否する栄智の表情を見ると、なんだか罪悪感と背徳感で脳が痺れる。腰の動きを緩めて、わざと鈴口に触れるように手のひらで亀頭を擦ると栄智は再び喉を反らした。

「ん、はぁっ……そこ、やめろ……!あっ……!」
「ホント弱いね。今度ストッキングで亀頭攻めしてあげようか」
「っ……!やだって……!あ、んん、手で、十分……!」
「尿道攻めは?」
「ぜってぇ無理……!!」

 息を上げてこちらを睨む栄智は、とても扇情的でこちらの嗜虐心を煽ってくる。普段は栄智に優しくしてあげたいと思っているのに、劣情にかられると泣かせたくなってしまうのは何故なのか。

「先っぽだけにするから」
「エロジジイみてーなこと言ってんじゃねーぞ……!入んねーよそんなもん……!」
「入んないかは、試してみないと分かんないだろ。それにこれ1番細い極細のやつだよ」

 極細だから何だってんだという視線を無視し、鈴口を親指で広げるようにして、ローションで濡らしたブジーをあてがった。栄智は上半身を上げて抵抗しようとするので、腰の動きを速めて栄智の好きなところを突く。途端に背をのけ反らせた栄智は、そのままソファに再び沈んだ。

「ぁあ、っは、卑怯、っだろ、こんな……っんぁ、あ!そこ、ばっかり、っ、やだっ……!」
「好きなんだから、素直になって。いくらでも前立腺突いてあげるから、ね?」
「ん、や、あ、ァあ、はっぁ、ぁぁあ…ぁっ……ッ!」

 快楽に脳を支配された栄智が、喘ぎしか漏らさなくなったのをいいことに、俺は再びブジーを鈴口にあてがった。本当に尿道を攻めたいなら事前にもっと調べておくべきだったが、これは嫌がる栄智を見たいだけのイタズラだ。本気で痛がればすぐにでもやめるつもりだった。腰を動かすのを一旦止め、狙いを定める。脱力した栄智が諦めたような恐れているような視線をこちらに寄越す。
 大丈夫の意味を込めて微笑み返してから、ブジーを少し押し込むと、にゅる、と先端部分が鈴口に侵入した。

「あっ!あ、ぁ、うっ……」
「動くと危ないよ」

 中を傷つけたりしたら大変だ。意外とすんなり飲み込んだ鈴口に驚きつつも、それ以上押し込みたい欲望を抑えて先の方だけ出し入れを繰り返す。ぶっちゃけ見てるだけで痛そうだが、栄智は「痛い」とは一言も言わなかった。

「痛そうだけど、痛くないの?」
「痛そうだと思うなら、してくんなっ……! クソッ、なんか、漏れそう……ッ」

 なるほど、痛みよりも排尿感が勝っているのか。本来は奥まで入れて前立腺を刺激しないと快感は得られない、とネットで前に読んだ。素人の俺に入れられて痛くないなら栄智には才能がありそうだし、また今度ちゃんと準備してみようか。
 あと少しだけ入れても大丈夫かなと思っていると、栄智の手が伸びてきて俺の手を退かそうとしてきた。

「ちょ、危ないでしょ」
「んん、やめ、むり……!も、尿道やだって……早く中、動いて……」

 上体を起こした栄智は、そう言って俺の首に腕を絡ませた。チュッとわざと音を立てるキスをして、舌で唇を舐め、腰を前後に揺らす。煽るようなその仕草は、尿道攻めを止めさせたいための演技なのか、それとも本当に中が我慢できなくなったのかは分からなかったが、とにかく俺にとって効果は抜群だった。

「ったく、たまーにそういうことすんの反則……!」
「っ!んぁ、あっ、もっと……! やっ、あ、あ……!」

 ブジーを引き抜いて放り投げると、上に乗った栄智の腰を鷲掴み、下から突き上げる。栄智の声を抑えさせることもしないまま、容赦なく攻め続けた。

「んぐっ……! あっ、中、もう、やば、なかイク……! あさひさ……!」
「好きなだけイって、いいよ……!」

 俺ももう限界だ。
 栄智を押し倒し、首に噛みつきながら、奥の奥、届きうる1番深いところをぐりぐりと刺激する。絶え間ない矯声を上げて栄智は体を痙攣させ、俺にしがみついた。搾り取るように激しく収縮する腸内に、俺も欲望を吐き出した。
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