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学院編:オーヴェルニュ侯爵からの手紙
【92話】オーヴェルニュ侯爵からの手紙
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「んあー!!!よく寝たぜェ!!」
暖かいそよ風が吹く春の朝。リアーナは大きなあくびをしながら起き上がった。「おっこらせっと!」とベッドから飛び出しダイニングへ向かった。すでに起きていたカトリナがソファに座り手紙を読んでいる。リアーナは彼女をソファの背もたれから覗きこみ声をかけた。
「カトリナおはよー!!誰からの手紙だぁ?」
「リアーナおはよう。今日は早いのねェ」
「おう!なんか目ぇ覚めた!!」
「ふふ、朝から大きな声だわァ」
隣にどかっと座ったリアーナに、カトリナが「見てェ」と手紙を見せた。
「おお、カトリナのおやっさんからじゃねえか!どれどれ…」
---------------------------
愛しのカトリナへ…
---------------------------
「ぎゃははは!愛しのカトリナだってよ!!相変わらずおやっさんはカトリナが大好きだなぁ!!」
---------------------------
カトリナ、元気にしているかい?
君とカミーユたちの活躍はヴィラバンデ地区にまで聞こえてくるよ。
私はとても誇らしい…
---------------------------
「おいおやっさん!!カミーユたち、じゃなくてリアーナたち、だろうが!!」
「リアーナ、とりあえず最後まで静かに読んでくれるゥ?」
「あっ、すまんすまん」
---------------------------
ところで、君たちに頼みたいことがある。
実は私の管理下にあるオヴェルニー学院で困った出来事が起こっていてね。
この1か月で生徒たちの失踪が相次いでいるんだ。
教師たちで捜索はしているらしいのだが、全く足取りが掴めていない。
つまりまだまだ失踪者が増える恐れがあるということだ。
私は失踪した生徒たち、そして学院内にいる生徒たちが心配で仕方がない。
もし彼らが何者かに誘拐されているのだとしたら…
そう考えたら夜も眠れないんだ。
それに…今から言うことは私自身の都合で
君にこんなことを言うのは情けないのだが、
この件が学院外に知られたらオーヴェルニュ家が終わってしまう。
今は生徒たちの親に失踪を知られていないが時間の問題だろう。
オヴェルニー学院では貴族の子どもたちを預かっている。
彼らの親からの信頼を失えば、オーヴェルニュの名も地に落ちることになるだろう。
それだけならまだいい。
今、学院にはジュリア姫とウィルク王子が在籍している。
彼らにもしものことがあれば…。
そこで、君たちS級冒険者にお願いしたい。
この失踪事件の原因を探り、解決してほしい。
もし可能であれば…失踪した生徒たちの保護もね。
現時点で3人の生徒が姿を消している。
一刻も早く対処してほしいんだ。
急にこのような手紙を送ってすまない。
正直、かなり焦っている。
よろしく頼むよ。
カミーユ、ジル、リアーナによろしく。
君の父より
---------------------------
「っ…」
手紙を読み終えたリアーナは額から汗を垂らしている。カトリナも深刻な顔で両手を組み唇に当てていた。
「こ…この手紙が冗談じゃなかったら…まじでやばいじゃねえか…」
「ええ。そうなのよ」
「3人…3人の生徒が消えるまで、なんであたしたちに声をかけなかった…」
「分からないわ…」
「と、とにかくカミーユとジルと集まるぞ!伝書インコ!伝言頼む!キンキュウ ギルド シュウゴウ!」
「リアーナだめよ。ギルドでこんな話はできないわァ。うちに来てもらいましょう」
「そ、そうだな。キンキュウ リアーナンチ シュウゴウ」
《キンキュウ リアーナンチ シュウゴウ》
「よし」
暖かいそよ風が吹く春の朝。リアーナは大きなあくびをしながら起き上がった。「おっこらせっと!」とベッドから飛び出しダイニングへ向かった。すでに起きていたカトリナがソファに座り手紙を読んでいる。リアーナは彼女をソファの背もたれから覗きこみ声をかけた。
「カトリナおはよー!!誰からの手紙だぁ?」
「リアーナおはよう。今日は早いのねェ」
「おう!なんか目ぇ覚めた!!」
「ふふ、朝から大きな声だわァ」
隣にどかっと座ったリアーナに、カトリナが「見てェ」と手紙を見せた。
「おお、カトリナのおやっさんからじゃねえか!どれどれ…」
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愛しのカトリナへ…
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「ぎゃははは!愛しのカトリナだってよ!!相変わらずおやっさんはカトリナが大好きだなぁ!!」
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カトリナ、元気にしているかい?
君とカミーユたちの活躍はヴィラバンデ地区にまで聞こえてくるよ。
私はとても誇らしい…
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「おいおやっさん!!カミーユたち、じゃなくてリアーナたち、だろうが!!」
「リアーナ、とりあえず最後まで静かに読んでくれるゥ?」
「あっ、すまんすまん」
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ところで、君たちに頼みたいことがある。
実は私の管理下にあるオヴェルニー学院で困った出来事が起こっていてね。
この1か月で生徒たちの失踪が相次いでいるんだ。
教師たちで捜索はしているらしいのだが、全く足取りが掴めていない。
つまりまだまだ失踪者が増える恐れがあるということだ。
私は失踪した生徒たち、そして学院内にいる生徒たちが心配で仕方がない。
もし彼らが何者かに誘拐されているのだとしたら…
そう考えたら夜も眠れないんだ。
それに…今から言うことは私自身の都合で
君にこんなことを言うのは情けないのだが、
この件が学院外に知られたらオーヴェルニュ家が終わってしまう。
今は生徒たちの親に失踪を知られていないが時間の問題だろう。
オヴェルニー学院では貴族の子どもたちを預かっている。
彼らの親からの信頼を失えば、オーヴェルニュの名も地に落ちることになるだろう。
それだけならまだいい。
今、学院にはジュリア姫とウィルク王子が在籍している。
彼らにもしものことがあれば…。
そこで、君たちS級冒険者にお願いしたい。
この失踪事件の原因を探り、解決してほしい。
もし可能であれば…失踪した生徒たちの保護もね。
現時点で3人の生徒が姿を消している。
一刻も早く対処してほしいんだ。
急にこのような手紙を送ってすまない。
正直、かなり焦っている。
よろしく頼むよ。
カミーユ、ジル、リアーナによろしく。
君の父より
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「っ…」
手紙を読み終えたリアーナは額から汗を垂らしている。カトリナも深刻な顔で両手を組み唇に当てていた。
「こ…この手紙が冗談じゃなかったら…まじでやばいじゃねえか…」
「ええ。そうなのよ」
「3人…3人の生徒が消えるまで、なんであたしたちに声をかけなかった…」
「分からないわ…」
「と、とにかくカミーユとジルと集まるぞ!伝書インコ!伝言頼む!キンキュウ ギルド シュウゴウ!」
「リアーナだめよ。ギルドでこんな話はできないわァ。うちに来てもらいましょう」
「そ、そうだな。キンキュウ リアーナンチ シュウゴウ」
《キンキュウ リアーナンチ シュウゴウ》
「よし」
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