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決戦編:来客
ヴィクスのバカ!
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「「「ええええ~~~!?」」」
のけぞり大声をあげたのは、アーサーとモニカ、そしてダフだ。
「フィックってヴィクスだったのぉ~~~!?」
「うそっ! ほんとに!? きゃーーーー!!」
「殿下がアーサーとモニカの弟ぉ!? どどどどういうことなんです!?」
「ダフ、彼らの本当の名はアウス・ウィリアムス・アルバート・バーンスタイン様と、モリア・キャサリン・バーンスタイン様。今は亡き者とされている、国王の第一子と第二子だよ」
「でぇぇぇぇ!?」
「さあダフ。お二人にご挨拶を」
「は、はいっ!」
ダフはその場で跪き、「アウス王子、モリア王女! お、お初におめにかかります!?」と訳の分からない挨拶をした。そんな彼に双子はおろおろと「やめてダフ!?」と両手を振る。
「ちょっとフィ……じゃなくてヴィクス! からかわないでよ!」
「いいえ、敬愛なるお兄さまとお姉さまには敬意を」
「だからそれやめて!?」
和気あいあい(?)としている子どもたちとは対照的に、大人たちはずっと冷や汗を流している。なぜヴィクス王子がここに出向いたのか、全員が思考を巡らせていた。
ヴィクスが彼らに口を開こうとしたが、ふくれっ面のアーサーが前に立ちはだかる。
「ヴィクス! 君には言いたいことがたくさんあるよ!」
「はい、なんでしょうか」
「僕に国を渡そうとしてるって、ほんと!?」
「お、おいアーサー……」
ひぃぃ、とクルドが情けない声をあげ、カミーユが死んだ目でアーサーの暴走を止めようと声をかけたが、ヴィクスが自身の唇に指を添えたので、みな黙るしかなかった。
「はい、その通りです。それはカミーユとクルドが?」
「うん!」
ヴィクスはアーサーに優しく微笑みかけ、次に首を傾げ、カミーユとクルドに視線を送る。
「さすがだね、君たち」
「……」
そしてまたアーサーに視線を戻した。
「なってくださいますね、お兄さま」
「その前に言いたいことがあるよ、ヴィクス!」
「はい、なんでしょう」
「ヴィクスのばか!!」
「……」
静まり返った場の中で、クルドがまたひぃぃぃ……と呻き声をあげた。
「ヴィクス! そのためにいっぱいひどいことしたでしょ!」
「はい」
「ダメでしょ、そんなことしちゃあ!」
「自分がしたことの罪の重さは分かっています。許してほしいだなんて思っていません。だからどうか……」
「そういうことを言ってるんじゃないんだよ! ヴィクスのバカ―!!」
「うーん……」
アーサーが何を言いたいのかが分からず、困ったようにヴィクスはダフを見上げた。ヴィクスと目が合ったダフは、笑いをこらえるのに必死だ。
「……ダフ。何を笑っているんだい?」
「いや、だって……っ、殿下に〝バカ〟だなんて言う人……っ」
「そ、そんなことはどうでもいいんだ。ダフ、お兄さまは何をおっしゃりたいんだい」
「だから、殿下にバカとおっしゃりたいのでしょう……?」
「……死にたいの?」
「こらヴィクス! そんな高圧的な目でダフを見ちゃダメでしょ!」
初めて誰かに叱りつけれ、ヴィクスはたじろぎ「す、すみません」と小さな声で謝った。
その場にいる全員に口をあんぐり開けて眺められ、ヴィクスは顔を赤らめて咳ばらいをした。
「お、お兄さま。申し訳ありません、僕にはお兄さまが何をおっしゃりたいのかが……」
「ヴィクス」
アーサーはヴィクスの手を握り、耳元で囁いた。
「もしかして、まだ僕のおなかにナイフを刺したこと、気にしてるの?」
「っ……」
「気にしなくていいんだよ。何も気にしなくていい。もしあのことが原因で、僕に国を渡そうとまでしてくれてるのならーー」
「いいえ!」
ヴィクスは兄の手を振り払い、大声を出した。
「お兄さま、勘違いしないでください。そ、それは今、関係ありません。ここに来たのも、こんな話をするためではないんです」
すかさずカミーユが口を挟み、アーサーを静かにさせる。
「そうだ、アーサー。ヴィクス王子が遠路はるばるここにいらっしゃっているんだぞ。まずはお話を伺う方が先だろう」
「あっ……そ、そうだね。ごめん」
「それでは殿下、お話を」
「ああ」
やっと自分のペースで話ができると、ヴィクスは安堵のため息を漏らした。そしてソファに深く腰かけ、威圧的に首を少し傾ける。これは、ヴィクスが人を命令をするときによくする仕草だった。
「カミーユパーティ、クルドパーティ、そして冒険者アーサー及びモニカに指定依頼をしたい」
「……」
「ダフ、依頼用紙を」
「はっ」
ヴィクスに命じられ、ダフはカミーユの前で跪き、指定依頼用紙を差し出した。
それを手にも取らず、睨みつけるような視線を送っているカミーユに、ヴィクスはクスリと笑う。
「見ないのかい?」
「……王子。これはSランクダンジョンの指定依頼ですか」
「よく分かったね。まさかそこまで見透かされているとは思わなかったよ」
「それならなぜアーサーとモニカを巻き込むんです。俺らを殺したくてこんな指定依頼を出すんでしょう」
「……」
「どちらにせよ……悪いが、断る。王子もこちらの動向は掴んでいるでしょう。俺らはこの国に……王族に刃向かおうとしているんです」
カミーユはそう言って、ダフから依頼用紙を引ったくり、ビリビリに破いた。
「俺らはもう王族の指定依頼であっても、受けねえよ」
のけぞり大声をあげたのは、アーサーとモニカ、そしてダフだ。
「フィックってヴィクスだったのぉ~~~!?」
「うそっ! ほんとに!? きゃーーーー!!」
「殿下がアーサーとモニカの弟ぉ!? どどどどういうことなんです!?」
「ダフ、彼らの本当の名はアウス・ウィリアムス・アルバート・バーンスタイン様と、モリア・キャサリン・バーンスタイン様。今は亡き者とされている、国王の第一子と第二子だよ」
「でぇぇぇぇ!?」
「さあダフ。お二人にご挨拶を」
「は、はいっ!」
ダフはその場で跪き、「アウス王子、モリア王女! お、お初におめにかかります!?」と訳の分からない挨拶をした。そんな彼に双子はおろおろと「やめてダフ!?」と両手を振る。
「ちょっとフィ……じゃなくてヴィクス! からかわないでよ!」
「いいえ、敬愛なるお兄さまとお姉さまには敬意を」
「だからそれやめて!?」
和気あいあい(?)としている子どもたちとは対照的に、大人たちはずっと冷や汗を流している。なぜヴィクス王子がここに出向いたのか、全員が思考を巡らせていた。
ヴィクスが彼らに口を開こうとしたが、ふくれっ面のアーサーが前に立ちはだかる。
「ヴィクス! 君には言いたいことがたくさんあるよ!」
「はい、なんでしょうか」
「僕に国を渡そうとしてるって、ほんと!?」
「お、おいアーサー……」
ひぃぃ、とクルドが情けない声をあげ、カミーユが死んだ目でアーサーの暴走を止めようと声をかけたが、ヴィクスが自身の唇に指を添えたので、みな黙るしかなかった。
「はい、その通りです。それはカミーユとクルドが?」
「うん!」
ヴィクスはアーサーに優しく微笑みかけ、次に首を傾げ、カミーユとクルドに視線を送る。
「さすがだね、君たち」
「……」
そしてまたアーサーに視線を戻した。
「なってくださいますね、お兄さま」
「その前に言いたいことがあるよ、ヴィクス!」
「はい、なんでしょう」
「ヴィクスのばか!!」
「……」
静まり返った場の中で、クルドがまたひぃぃぃ……と呻き声をあげた。
「ヴィクス! そのためにいっぱいひどいことしたでしょ!」
「はい」
「ダメでしょ、そんなことしちゃあ!」
「自分がしたことの罪の重さは分かっています。許してほしいだなんて思っていません。だからどうか……」
「そういうことを言ってるんじゃないんだよ! ヴィクスのバカ―!!」
「うーん……」
アーサーが何を言いたいのかが分からず、困ったようにヴィクスはダフを見上げた。ヴィクスと目が合ったダフは、笑いをこらえるのに必死だ。
「……ダフ。何を笑っているんだい?」
「いや、だって……っ、殿下に〝バカ〟だなんて言う人……っ」
「そ、そんなことはどうでもいいんだ。ダフ、お兄さまは何をおっしゃりたいんだい」
「だから、殿下にバカとおっしゃりたいのでしょう……?」
「……死にたいの?」
「こらヴィクス! そんな高圧的な目でダフを見ちゃダメでしょ!」
初めて誰かに叱りつけれ、ヴィクスはたじろぎ「す、すみません」と小さな声で謝った。
その場にいる全員に口をあんぐり開けて眺められ、ヴィクスは顔を赤らめて咳ばらいをした。
「お、お兄さま。申し訳ありません、僕にはお兄さまが何をおっしゃりたいのかが……」
「ヴィクス」
アーサーはヴィクスの手を握り、耳元で囁いた。
「もしかして、まだ僕のおなかにナイフを刺したこと、気にしてるの?」
「っ……」
「気にしなくていいんだよ。何も気にしなくていい。もしあのことが原因で、僕に国を渡そうとまでしてくれてるのならーー」
「いいえ!」
ヴィクスは兄の手を振り払い、大声を出した。
「お兄さま、勘違いしないでください。そ、それは今、関係ありません。ここに来たのも、こんな話をするためではないんです」
すかさずカミーユが口を挟み、アーサーを静かにさせる。
「そうだ、アーサー。ヴィクス王子が遠路はるばるここにいらっしゃっているんだぞ。まずはお話を伺う方が先だろう」
「あっ……そ、そうだね。ごめん」
「それでは殿下、お話を」
「ああ」
やっと自分のペースで話ができると、ヴィクスは安堵のため息を漏らした。そしてソファに深く腰かけ、威圧的に首を少し傾ける。これは、ヴィクスが人を命令をするときによくする仕草だった。
「カミーユパーティ、クルドパーティ、そして冒険者アーサー及びモニカに指定依頼をしたい」
「……」
「ダフ、依頼用紙を」
「はっ」
ヴィクスに命じられ、ダフはカミーユの前で跪き、指定依頼用紙を差し出した。
それを手にも取らず、睨みつけるような視線を送っているカミーユに、ヴィクスはクスリと笑う。
「見ないのかい?」
「……王子。これはSランクダンジョンの指定依頼ですか」
「よく分かったね。まさかそこまで見透かされているとは思わなかったよ」
「それならなぜアーサーとモニカを巻き込むんです。俺らを殺したくてこんな指定依頼を出すんでしょう」
「……」
「どちらにせよ……悪いが、断る。王子もこちらの動向は掴んでいるでしょう。俺らはこの国に……王族に刃向かおうとしているんです」
カミーユはそう言って、ダフから依頼用紙を引ったくり、ビリビリに破いた。
「俺らはもう王族の指定依頼であっても、受けねえよ」
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