上 下
8 / 35

しおりを挟む
 これは、アンリエット様と殿下のハッピーエンドを目指すべきなの?

 私が知っているフラグを全部、アンリエット様とすり替えることができたら、物語の強制力で私がヒロインになることなくハッピーエンドになるんだろうか?
 
 ――でも、あの馬鹿王子の隣に立つことが、本当にアンリエット様のハッピーエンド、なのかな?
 
 いや、そもそもアンリエット様のその発言こそが、物語の強制力だとしたら?
 そもそも、この学園で婚約者がいるのは、殿下とアンリエット様だけみたいなのだ。
 普通は、学園を卒業したころに婚約が決まる、とアンリエット様が教えてくれた。
 つまり、婚約そのもの自体も、強制力の影響である可能性が高い。
 その強制力せんのうが解ければ、アンリエット様は、本当のハッピーエンドにたどり着けるんじゃないだろうか?

「アンリエット様! ハッピーエンドに絶対しますから!」
「どいういうことですの?」

 私がアンリエット様の手を握り締めると、アンリエット様が首を傾げた。

「私、頑張ります!」
 
 私のアドバンテージは、前世の記憶があって、『学園の恋花』のストーリーを全て知っているということだ。
 つまり、強制力に抗える可能性がある、ってことだ。

「リヴィア嬢、一体何を考えてるんだ? ……そもそも、リヴィア嬢がかき乱さなければ、殿下とアンリエット様の結婚は既定路線だ。リヴィア嬢が邪魔しなければ、問題はない話だろう?」

 フェルナン様の伺うような声に、私はにっこりと笑ってみせる。

「私はアンリエット様の幸せを願っているのです。アンリエット様に義務的な結婚をして欲しいわけではないのです。だからこその、ハッピーエンド、です! あの、フェルナン様にもご協力いただくことがあるかと思いますが、何卒よろしくお願いいたします!」

 流石に、今のアンリエット様に、殿下との結婚をなくしたいとは、まだ言えないけど。

「一体、何を?」
「それは、またご説明します」
「……まさか、”魔法の花”を探しに行きたい、と言うんじゃないだろうな?」

 この世界には、言い伝えがある。
 『魔法の花が開く時、願いが叶う』
 『学園の恋花』で、リヴィアと殿下の恋が、最終的に受け入れられた要因は、この”魔法の花”が関係している。
 ”魔法の花” は、この国に100年に一度咲くと言われる花だ。
 魔法も何もない国で、この花が”魔法の花”と呼ばれる所以は、願った時に、それが全て叶っているから、らしい。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

凄い人を決めよう

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:191pt お気に入り:2

ホラー小話

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:555pt お気に入り:11

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:196,465pt お気に入り:12,457

尾張名古屋の夢をみる

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:298pt お気に入り:6

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:248

中途半端なソウルスティール受けたけど質問ある?

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:291pt お気に入り:14

処理中です...