2つの世界の架け橋

明人

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健康的な生活

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言い合いをしている他に対し、ゼルは黙々と本をまとめテーブルを拭いていた。
「陛下手慣れてますね...。お掃除とかされるんですか?」
「自分の部屋は自分でやっているからな。メイド達があまりにも気を遣うから面倒でな」
理由が想像つくだけに返答に困り渋い顔をしていると王の方がふっと笑った。
「慣れている。気にするな」
優しい笑みの裏側には少しだけ寂しさも混じっているような気がして、リラは咄嗟に王の手を両手で掴む。
「あ、あの!私は陛下のこと少し怖くなくなってきましたよ!!」
リラの言葉に王は目を丸くし、やがてその目を優しく細めた。
「そうか」
王はリラに握られていない方の手でリラの頭を優しく撫でた。リラは撫でられながら段々と顔を真っ赤にさせる。
「ちょ、ちょっと買い物に行ってきます!!」
王から飛び退くように離れ、そう叫ぶとリヴェアが怪訝そうに顔を歪める。
「はぁ?何買うのさ」
「ご飯とかですよ。皆さんは食事は不要だと思いますが、私とシリウスさんはご飯を食べないと死んじゃうんです」
「吾輩は3日は食べんでも平気だがな「もう少し健康的な生活送ってください!!」
確かに台所もひどい有様で、料理をしていたようには思えない。
「街に行くのなら吾輩のお使いもこなしてもらおう。金は渡すからその分で妹君の食事も買うといい。それにしてもその言いようだと魔族は食事をしなくても生きられるのか。面白い。確かに魔族の土地は作物が育つような地は少ないという。そうなれば必然的に森の実りも少ない。そんな土地でどうやって生きていたのか、食事が必要ないといのなら納得がいく。どんな肉体構造をしているのか研究するのも「シリウスさん!買い物行かせてください!!」
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