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United Japanese tea varieties of Iratsuko(6)

悪の夜(2)

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ターゲットは机に突っ伏していた。
後頭部には弾痕がある。

机も床も全く汚れていない。ターゲットの前方の窓、パソコンのモニターも無傷だった。
ムサシの銃は特殊なフォローポイント弾、相手の体内で貫通せず残りやすい銃弾を射出したのだ。

ムサシは相手がクローゼットを横切って椅子に座ると、即座に仕事に移った。
背後から気づかれることなく頭を撃ったのだった。

資料を捜索する手間を考えると、相手の後頭部に銃を突きつけ尋問するのが得策だったろう。
ただ、それは相手にとって良くないとムサシは考えていた。

目の前のターゲットがそうだったとは限らないが、ムサシは命乞いをされるのが嫌いだった。
されたからといって別に殺すことを躊躇いはしないが、気分の良いものではない。

もし命乞いをするようなタマでなかったとしても、自分が気づかぬうちに死んでしまった方が、殺される本人にとっては良いのだ。
あわよくば、ムサシもそうやって誰かに殺してほしかった。

さて、と気を取り直し、ムサシは資料捜索に移った。
時間はたっぷりある。


◇◇◇


「仕事は終了したかね?」

「ああ、問題なく終わった」

ムサシから依頼主に、その証拠が送られてくる。
ターゲットの死体と問題の資料、そしてそれらの後処理についての証拠画像だ。

依頼主はそれらを確認し、ムサシの口座への送金を開始した。

「残りの金を今、送ったよ。確認してほしい」

「確認したとも」

依頼主はゆっくりと、両手を挙げた。
ムサシの声が、自らの背後から聞こえたのだ。

「どういうことかな? 直接、会いに来てくれる必要はなかったのだが」

「依頼主ご本人の声を聞きたくてね。あんたこそ、なんで両手を万歳してるんだ?」

「正体を隠したがっている依頼主にキミは会っているんだぞ? 抜かりなく、銃を私に突きつけているんだろう?」

「答え合わせはしない方がいいな、ってのが答えだな」

ムサシは煙草に火を点けた。
吐き出された煙に咳きこみながら、依頼主が問う。

「資料を見たのか?」

「いや、初めから会いには来るつもりだったさ。三つ目の仕事だ」

「どうしてだ?」

「資料の中身について、タレコミがあったもんでね」

「……」


◇◇◇


「残りは、仕事を終えてくれた後に送金するよ」

通信が切れる。ムサシは椅子にもたれかかり、目を閉じた。

「もしもし」

急に通信が繋がった。いや、切れてなかったのか?
ムサシは目を開け、返答する。

「……何か?」

「よかった。繋がっているようだね」

声質が違った。音声変換はされていない。肉声だ。

「誰だ?」

「私が今から言いたいのは『何だ?』に対する答えだよ。簡潔に述べるが、キミが今受けた依頼について、伝えたいことがある」
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