カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

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テラ・ドス・ヴェルメロス(12)

暗黒山脈(8)

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レインスの希望的観測通り、吹雪は皆がテントに入ってから30分程度で止んだ。
一行は装備を再度整え、外にでる。

「うわ……スゴい」

「おお~」

ララ、そしてレインスが思わず声を上げた。

テントの外には白銀の地面と雲一つない青空が織り成す、雪の大海原が広がっていた。
目印となるようなモノは何もなく、景色の壮大さだけが大挙して押し寄せる。

「オクルス、道わかんのかこの状況」

「アルマージュお前、ソレ聞くの遅くないか? 吹雪の時にもうソレ聞いてても、全然遅くなかったぞ」

「いや、あん時は吹雪く前から自信満々にお前が歩いていくし、何となくわかってるのかなと」

「ひょっとして、他の皆も聞かなかったってコトはそうなのか?」

「……まあ」

「オクルスさんのコトだから大丈夫かなと……」

「……そりゃあそうなんだけど」

オクルスが方位磁針を取りだした。
咳払いをして、口を開く。

「一応、俺に何かあった時のために、ってコトも考えて伝えておく。この方位磁針だが、東西南北もわかるが、針自体が指し示しているのは北じゃあない」

「どういうコト?」

レインスが近づく。他の二人も方位磁針を覗き見た。

盤面中央には一見、普通に北を指しているかのような針が少しふらついていた。
最初に通常のソレと違うと皆がわかった部分は、盤面の縁近くに、輪っかが浮いているコトだった。

盤面から浮いているその輪も針と同じように少しふらついており、その表面には北、北北西、北西……という形に、方角が記載されていた。

「この縁の輪に書かれてる方角が、そのまま実際の方角なんだよ。ほら、こうしても」

オクルスが向きを変える。
しかし盤面の輪は少しふらつきが大きくなったものの、同じ方角を示したままだった。

「じゃあ、針は何を示してんだ? 針は割と動いたし、なんか色も変わったぞ」

針の矢印部分は、中央から半分が緑色を示していたが、赤色になった。

「さあ、アルマージュ選手。一体何でしょうか?」

「わかるか」

「コレはだな、ほれ」

オクルスが向きを最初向いていた向きに直す。
針はまた緑色になった。

「俺たちの進むべき道を指し示しているんだよ」

「かっけぇ。けど、どういうコト?」

「暗黒山脈には道があるんだよ。ココら辺は雪でわかりにくいが、しばらく進んで雪がなくなってくりゃあわかるはずだ。どういうワケか、ソコには草や木が生えない道があるんだと」

「ほお」

「その道を進めば旅の目的とする“鍵”に辿り着くハズなんだが、どうもその道は雪を溶かしてくれるほど親切じゃあないらしくてな。
でも、草や木が生えないように何らかの魔力を発してるみたいなんだ。ソレを拾ってくれるのがこの方位磁針。俺作」

「なるほど」

「この針が道から外れると」

オクルスが向きを変える。

「赤色になる。道の上をちゃんと進んでると」

向きを直すと、緑色になった。

「ってなワケ」

「よし。お前はもう用済みだ、ご苦労」

「なんだ早撃ちかやんのかコラ」
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