転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす

のりのりの

文字の大きさ
24 / 132
Mission1 前世を思い出せ!

24.アドルミデーラ侯爵

しおりを挟む
 お父様と目があった瞬間、再び前世の記憶が蘇る。

 ただ、今回の対象は、攻略キャラではないので、それほど公式から発表されている設定も多くはない。

 脳に優しい、穏やかで淡々とした情報が、ライースとカルティの設定の穴を埋めるようにして、今のあたしの中に加わっていく。

(アドルミデーラ侯爵……ジェルバ・アドルミデーラ)

 広大で豊かなアドルミデーラ領の領主にして、マグノーリア王国の書記官だ。ゆくゆくは宰相になるといわれていたヒトである。
 その前に死んじゃうんだけどね。

 この時期、ジェルバは王都に滞在していたはずだ。

 あたしが池で溺れて死にそうだ……という連絡を受けとると、ジェルバは馬車ではなく、馬を乗り継いで、昼夜問わず走り続けて保養地まで駆けつけたのだろう。
 そうでもしないと、王都から七日ほどでは、この別荘にはたどり着けない。

 アドルミデーラ家の者は、文官仕事に携わっている者が多いが、男女を問わず、武術、乗馬に優れた者が多いので有名だった。
 メイン攻略キャラがいる家は容姿だけでなく、才能にも恵まれているという設定だ。

 連日連夜、馬を乗り継いで、領地と王都を行き来するなど、お父様にしてみれば、造作もないことなんだろう。

 ジェルバはライース・アドルミデーラの父親で、三人の妻がいた。
 一番目と三番目の妻はすでに亡くなっており、今は正妻しかいない。

 その正妻がとても嫉妬深い女性で、ジェルバが側室を迎えることにいい顔をしなかった。
 上位貴族にしては、妻の数が三人というのは少ない方だ。

 周囲には愛妻家と見られていたようだが、本当は恐妻家であり、ジェルバはずっと正妻の暴挙を抑えきることができずに、アドルミデーラ家は、そのために様々な困難に巻き込まれるのだ。

 また、ジェルバの同母妹は、マグノーリア国王の正妃だった。
 つまるところ、現国王は、ジェルバの義理の弟になる。

 妻には頭が上がらなかったが、ジェルバの政治的手腕は優れており、領地運営も順調、書記官としてはとても優秀な働きぶりをみせていた。
 なので、ジェルバは現国王の信頼も厚く、重用されていた。

 そういうわけで、アドルミデーラ侯爵はガッツリ権力争いに巻き込まれ、このヒトもゲーム中で何度も何度も死んでいるお気の毒なキャラだ。そして、最終的にはカルティに暗殺されて、本当に死んでしまう。

 脳には優しい記憶情報量だったが、心臓には悪い部類の記憶内容だ。

 そして、このライースに似た壮年の男が、あたしの父親であるならば……あたしの推しキャラ――ライース・アドルミデーラ――とあたしは、母親の違う兄妹の関係になる!

 普通であれば、推しキャラの異母妹なんて、なんて美味しい設定……と喜びたいところだけど、この『君に翼があるならば、この愛を捧げよう』は、普通の乙女ゲームとは毛色が少しばかりちがった。

 いままでの乙女ゲームが物足りなくなった乙女たちへ贈る究極の乙女ゲーム――というふざけたキャッチコピーでリリースされたのだ。

「フレーシア、顔色が悪いぞ。まだ寝ていた方がよいのではないか?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

何やってんのヒロイン

ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。 自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。 始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・ それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。 そんな中とうとうヒロインが入学する年に。 ・・・え、ヒロイン何してくれてんの? ※本編・番外編完結。小話待ち。

モブとか知らないし婚約破棄も知らない

monaca
恋愛
病弱だったわたしは生まれかわりました。 モブ? わかりませんが、この婚約はお受けいたします。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。 ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。 小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

処理中です...