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Mission2 お祖母様を救え!
51.家族一致団結
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ジェルバ・アドルミデーラ侯爵が陰謀に巻き込まれて殺害されてしまうのは、ストーリー上、回避不可な死亡イベントだったとはいえ、原因は味方が少なかった――敵が多すぎた――からだとあたしは考えている。
ならば、味方を増やせばいい。
まずは、手頃なところから、家族一致団結……だろう。
お父様が回避不可死となったとき、ライース兄様は「なぜ、あのときもっと話しておかなかったのか」と、哀れなくらいに後悔しまくるのだ。
まあ、ライース兄様の後悔はあながち間違っておらず、もっと、家族間で意思の疎通ができていたら、回避も可能な陰謀だけに悔やまれてならなかったのだろう。
うん、「報・連・相」は、どこの世界でも大事だね。
父親を亡くして涙するライース兄様は見たくないので、まずは、父と息子の歩み寄りからだ。
「お父様……ライース兄様」
あたしの声に、言い争っていたふたりは「しまった」とばかりに、同時に口をぴたりと閉じる。
まさか、あたしの存在をわすれてた……ってことはないでしょうね?
「フレーシア、気分でも悪いのかい?」
「レーシア……つまらないものを見せてしまったね。疲れただろう? 横になるといいよ」
「…………」
ちょっぴり慌てながら、気持ち悪いくらい優しい声でふたりから同時に話しかけられる。
やはり親子だ。こういう誤魔化し方はよく似ている。
あたしの存在、忘れてたみたいですね。
はい。わかりますよ。わかってますよ。どうせ、あたしはモブですから……。
「喧嘩するお父様……キライ」
「え……っ! フレーシア!」
あたしの突然の宣告に、ジェルバ・アドルミデーラ侯爵の顔が固まる。固まったのは顔だけでなく、動きも止まってしまったようである。
ライース兄様を相手にしていたときは、こめかみがひくひくしていたくらいだったけど、あれよあれよという間に、悲壮な涙目になっていく。
娘の「パパ嫌い!」発言は、こちらの世界でも有効で、クリティカルヒットするみたいだ。
中身は三十路だけど。
それを確かめてから、あたしは、キッと目に力を込めて、ライース兄様を睨みつける。
「お父様をいじめるライース兄様もキライ!」
「ええええっっ!」
背後に「ガーン」という効果音がでてきそうなくらい、ライース・アドルミデーラも衝撃を受けたようである。ものすごく驚いている。
「どうして……仲良くできないの?」
あたしのうるっとした目……が、だんだんうるうるしてくる。
ああ、これは、六歳の少女の願いなんだ、とあたしは思う。
フレーシア・アドルミデーラは、ふたりの言い争う様子を見て悲しんでいるんだ。
「フレーシア、別にわたしたちは喧嘩などしていないよ」
「そうそう。単なる見解の相違を指摘しあっているだけだよ。父上をいじめてなどいないから」
「ウソ。仲良しには見えない……ウソはだめだってお祖母様が言ってた」
ならば、味方を増やせばいい。
まずは、手頃なところから、家族一致団結……だろう。
お父様が回避不可死となったとき、ライース兄様は「なぜ、あのときもっと話しておかなかったのか」と、哀れなくらいに後悔しまくるのだ。
まあ、ライース兄様の後悔はあながち間違っておらず、もっと、家族間で意思の疎通ができていたら、回避も可能な陰謀だけに悔やまれてならなかったのだろう。
うん、「報・連・相」は、どこの世界でも大事だね。
父親を亡くして涙するライース兄様は見たくないので、まずは、父と息子の歩み寄りからだ。
「お父様……ライース兄様」
あたしの声に、言い争っていたふたりは「しまった」とばかりに、同時に口をぴたりと閉じる。
まさか、あたしの存在をわすれてた……ってことはないでしょうね?
「フレーシア、気分でも悪いのかい?」
「レーシア……つまらないものを見せてしまったね。疲れただろう? 横になるといいよ」
「…………」
ちょっぴり慌てながら、気持ち悪いくらい優しい声でふたりから同時に話しかけられる。
やはり親子だ。こういう誤魔化し方はよく似ている。
あたしの存在、忘れてたみたいですね。
はい。わかりますよ。わかってますよ。どうせ、あたしはモブですから……。
「喧嘩するお父様……キライ」
「え……っ! フレーシア!」
あたしの突然の宣告に、ジェルバ・アドルミデーラ侯爵の顔が固まる。固まったのは顔だけでなく、動きも止まってしまったようである。
ライース兄様を相手にしていたときは、こめかみがひくひくしていたくらいだったけど、あれよあれよという間に、悲壮な涙目になっていく。
娘の「パパ嫌い!」発言は、こちらの世界でも有効で、クリティカルヒットするみたいだ。
中身は三十路だけど。
それを確かめてから、あたしは、キッと目に力を込めて、ライース兄様を睨みつける。
「お父様をいじめるライース兄様もキライ!」
「ええええっっ!」
背後に「ガーン」という効果音がでてきそうなくらい、ライース・アドルミデーラも衝撃を受けたようである。ものすごく驚いている。
「どうして……仲良くできないの?」
あたしのうるっとした目……が、だんだんうるうるしてくる。
ああ、これは、六歳の少女の願いなんだ、とあたしは思う。
フレーシア・アドルミデーラは、ふたりの言い争う様子を見て悲しんでいるんだ。
「フレーシア、別にわたしたちは喧嘩などしていないよ」
「そうそう。単なる見解の相違を指摘しあっているだけだよ。父上をいじめてなどいないから」
「ウソ。仲良しには見えない……ウソはだめだってお祖母様が言ってた」
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