65 / 132
Mission2 げきまじゅおくちゅりを克服せよ!
65.先達に倣う
しおりを挟む
(※2024年1月8日:修正しました)
前世の記憶は偏っているし、今世の記憶も前世を思い出したことによって、少し混乱している。
なので、コッソリ紙に書き出して、整理してみようとあたしは考えた。
異世界に転生した主人公が、思い出した情報を忘れてしまわないようにって書き出しているシーンがあったからね。
あたしも、そのマニュアルどおりに行動してみようと思ったわけだ。
先達に倣うだ。
ただでさえ、複雑なストーリーなのだ。
混乱している記憶を整理しながら、表面がざらざらな紙に書いていく。
握っている羽根ペンをまじまじと見つめる。これも魔導具だった。
前世のイメージだと、羽根ペンというものは、鳥の羽根を加工して、インクをつけながら、紙にガリガリと書いていくものだと思っていた。
紙もあまり質がよろしくないので、書きづらいかというと、万年筆のように書きやすくて驚いた。インク壺もなく、インクを補充する必要もない。
この羽根のどこにインクが詰められているのかは謎だ。
前世の万年筆ならば、カートリッジインクがなくなれば、新しいものを入れ直す。
この羽根ペンにはそれらしい部分は見当たらない。
こんな便利羽根ペンが作れるのなら、もっと上質な紙があってもいいのでは?
と思ってライース兄様に聞いてみた。
ライース兄様はちょっと驚いた顔をしてから「そのような紙はない」と教えてくれた。
ここは、乙女ゲーム仕様の、乙女が使用するための、乙女を満足させるためのなんちゃって中世ヨーロッパだ。
リアル中世ヨーロッパではないということだ。
なので、安心してほしい。
風呂や水洗式トイレはちゃんとある!
助かった!
魔導具の風呂になると、起動部分に魔力を注げは、温かい湯がじょぼじょぼとでてくるし、トイレは水がじゃーっと流れ、排出したモノは分解されてきれいな水として処理される。
実際に自分で操作したときは、ちょっぴり感動した。
いやあ、リアル中世ヨーロッパだと、おまるでやって、排泄物は窓から投げ捨て、空から降ってくるとか聞いたことがあるから、それじゃなくて助かったよ。
タライで行水とか、サウナだけとかじゃなく、入浴文化のある世界観でよかったよ。
さすが乙女ゲームの世界だ。
ゲーム内での描写はなかったが、乙女のココロをちゃんと理解している世界設定た。
だったら、車や電車のようなものがあっても……という話になるんだけど、それはなく、移動は馬車、馬がほとんど……みたいだ。
ゲームの中にも車や電車のようなものはなかったので、この世界にも存在しないということか。
道具は発展途上のものが多いみたいだ。
美術設定のこだわり……中世ヨーロッパ風のファンタジー舞台は譲れないんだろう。
とはいえ、生活していると、なぜこれが魔道具なんだ? という奇妙な道具も多い。
魔道具は高価だからね。
一般家庭にはないものも、お金持ちなアドルミデーラ家にはたくさんある。
その一個、一個に驚いていたら、カルティが怪訝そうな目であたしを見ていた。
まじゅい……驚きすぎては不審がられる。
屋敷にたくさんある魔道具の仕組みはよくわからないけど、これが乙女ゲーム世界のファンタスティックな便利設定なんだろう。そういうものだと納得した。
前世には『郷に入っては郷に従え』というコトバもある。
割り切って受け入れるしかないだろう。
前世での感覚をいつまでもひきずっていてはダメだ。
さっさと、この世界のルールに馴染んで、死亡イベ回避に全集中できるよう、環境を整えなければならない。
一見、長閑そうに見えるこの世界だが、実は、死亡イベがぎゅうぎゅう密集している血まみれデンジャラスな世界なのだ!
奇妙な魔道具にいちいち反応している場合じゃない。
攻略キャラが集結するゲームの終盤では、全員の死亡イベを時系列に並べると、事件が分刻みで起こっているとしかいえないような状況になっているのだ。
『キミツバ』のヘビーユーザーの中でもトップオブトップの豆吉さんが、タイムスケジュールを自分の運営している攻略サイトに公開したときは、
「シナリオ作ったひとすげー!」
「豆吉さんはその上をいく!」
って、ざわついたものだ。
あたしもどこにいらっしゃるかわからない豆吉さんに手を合わせながら、そのページをブクマしたくらいである。
……そこまで思い出せているのに、肝心のタイムスケジュールが思い出せない。
なんて、しょっぱい現実なんだろう。
前世の記憶は偏っているし、今世の記憶も前世を思い出したことによって、少し混乱している。
なので、コッソリ紙に書き出して、整理してみようとあたしは考えた。
異世界に転生した主人公が、思い出した情報を忘れてしまわないようにって書き出しているシーンがあったからね。
あたしも、そのマニュアルどおりに行動してみようと思ったわけだ。
先達に倣うだ。
ただでさえ、複雑なストーリーなのだ。
混乱している記憶を整理しながら、表面がざらざらな紙に書いていく。
握っている羽根ペンをまじまじと見つめる。これも魔導具だった。
前世のイメージだと、羽根ペンというものは、鳥の羽根を加工して、インクをつけながら、紙にガリガリと書いていくものだと思っていた。
紙もあまり質がよろしくないので、書きづらいかというと、万年筆のように書きやすくて驚いた。インク壺もなく、インクを補充する必要もない。
この羽根のどこにインクが詰められているのかは謎だ。
前世の万年筆ならば、カートリッジインクがなくなれば、新しいものを入れ直す。
この羽根ペンにはそれらしい部分は見当たらない。
こんな便利羽根ペンが作れるのなら、もっと上質な紙があってもいいのでは?
と思ってライース兄様に聞いてみた。
ライース兄様はちょっと驚いた顔をしてから「そのような紙はない」と教えてくれた。
ここは、乙女ゲーム仕様の、乙女が使用するための、乙女を満足させるためのなんちゃって中世ヨーロッパだ。
リアル中世ヨーロッパではないということだ。
なので、安心してほしい。
風呂や水洗式トイレはちゃんとある!
助かった!
魔導具の風呂になると、起動部分に魔力を注げは、温かい湯がじょぼじょぼとでてくるし、トイレは水がじゃーっと流れ、排出したモノは分解されてきれいな水として処理される。
実際に自分で操作したときは、ちょっぴり感動した。
いやあ、リアル中世ヨーロッパだと、おまるでやって、排泄物は窓から投げ捨て、空から降ってくるとか聞いたことがあるから、それじゃなくて助かったよ。
タライで行水とか、サウナだけとかじゃなく、入浴文化のある世界観でよかったよ。
さすが乙女ゲームの世界だ。
ゲーム内での描写はなかったが、乙女のココロをちゃんと理解している世界設定た。
だったら、車や電車のようなものがあっても……という話になるんだけど、それはなく、移動は馬車、馬がほとんど……みたいだ。
ゲームの中にも車や電車のようなものはなかったので、この世界にも存在しないということか。
道具は発展途上のものが多いみたいだ。
美術設定のこだわり……中世ヨーロッパ風のファンタジー舞台は譲れないんだろう。
とはいえ、生活していると、なぜこれが魔道具なんだ? という奇妙な道具も多い。
魔道具は高価だからね。
一般家庭にはないものも、お金持ちなアドルミデーラ家にはたくさんある。
その一個、一個に驚いていたら、カルティが怪訝そうな目であたしを見ていた。
まじゅい……驚きすぎては不審がられる。
屋敷にたくさんある魔道具の仕組みはよくわからないけど、これが乙女ゲーム世界のファンタスティックな便利設定なんだろう。そういうものだと納得した。
前世には『郷に入っては郷に従え』というコトバもある。
割り切って受け入れるしかないだろう。
前世での感覚をいつまでもひきずっていてはダメだ。
さっさと、この世界のルールに馴染んで、死亡イベ回避に全集中できるよう、環境を整えなければならない。
一見、長閑そうに見えるこの世界だが、実は、死亡イベがぎゅうぎゅう密集している血まみれデンジャラスな世界なのだ!
奇妙な魔道具にいちいち反応している場合じゃない。
攻略キャラが集結するゲームの終盤では、全員の死亡イベを時系列に並べると、事件が分刻みで起こっているとしかいえないような状況になっているのだ。
『キミツバ』のヘビーユーザーの中でもトップオブトップの豆吉さんが、タイムスケジュールを自分の運営している攻略サイトに公開したときは、
「シナリオ作ったひとすげー!」
「豆吉さんはその上をいく!」
って、ざわついたものだ。
あたしもどこにいらっしゃるかわからない豆吉さんに手を合わせながら、そのページをブクマしたくらいである。
……そこまで思い出せているのに、肝心のタイムスケジュールが思い出せない。
なんて、しょっぱい現実なんだろう。
4
あなたにおすすめの小説
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
何やってんのヒロイン
ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。
自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。
始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・
それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。
そんな中とうとうヒロインが入学する年に。
・・・え、ヒロイン何してくれてんの?
※本編・番外編完結。小話待ち。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。
ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる