転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす

のりのりの

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Mission2 げきまじゅおくちゅりを克服せよ!

66.あたしが目指すもの★

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(2024年1月8日に前の章「先達に倣う」を修正しました)


 思い出せないことの方が多いけど、この手作りノートには、ゲームの流れ、キャラの設定、そして、ゲームとこの世界との相違、これからやらなければならないリストなどが、思いついたままとにかく書き連ねてある。

 ライース兄様、カルティにとっての危険人物であったり、黒幕の存在も、情報はそれほどないが、忘れずに書き込んでおく。

 名前はわからないので、黒幕A、黒幕B、危険人物A、危険人物Bという具合だ。
 今の段階では、仮に黒幕Aと危険人物Bが同一人物である可能性もある。

(なんて、やっかいな……)

 ほとんどが虫食い状態で、学生時代の穴埋めテスト問題を思い出してしまうが、完璧に思い出せない今は、虫食い暗号文でも我慢するしかない。

 思いついたままなので、時系列や、要注意人物の書き込み順位もバラバラだ。

 それがさらに解読の難易度をあげている……気もしないではないが、あたしはトップオブトップの豆吉さんではないので、そこは目をつぶるしかない。

 だって、あたしは平凡ないちユーザーなんだから……。

 今はひたすら思いついたことをかいている。
 ある程度、情報が出尽くしたら、情報の整理、清書は必要だろう。

 このような作業はもともと好きなので、鼻歌をうたいながらペンを走らせる。

 最初の一ページ目には、この世界での注意事項を書いた。

 穏やかな転生ライフを満喫するための三箇条。

 ――ひとつ、行動は慎重に。

 ――ひとつ、ゲームとこの世界の差分に注意する。

 ――ひとつ、死亡イベントを回避できたとしても、油断しない。

 ……ということだ。

 どれもこれも、あたしが生き続け、ライース兄様、カルティ、お父様たちが生き延びるには大事なことだ。

 変なことは決して口走らずに、この世界の情報を、周囲に悟られずにこっそりと集めていかなければならない。

 下手なこと――主にゲームの内容――を口にして、精神まで病みはじめた……とデイラル先生に診断されたら、たまったものじゃない。

 そうなれば、別荘で静養ではなく、僻地に幽閉されてしまうだろう。
 前世でそんな小説を読んだ記憶がある。
 それはある意味、ゲームオーバーだ。

 行動制限……というか、幽閉などされてしまったら、王都に行けないし、他の攻略キャラにも会えないし、ライース兄様のバッドエンド回避の手助けもできなくなる。

 ライース兄様のバッドエンド回避。

 あたしが目指すのはコレだ。

 二ページ目にデカデカと書き込んだ。

 ライース兄様のバッドエンド回避に成功したら、もれなくアドルミデーラの安泰もついてくる。
 自分の身を守るためにも、優雅な腐女子生活を続けるためにも、これしかない。

 三ページ目からはストーリーの流れ……分岐がたくさんあってなかなか把握できないんだけど、それが書かれている。

 不意にページをめくる手が止まる。

 このページと次のページにメモした、死亡イベントの発生順が逆だったのを思い出した。

 チッと舌打ちしながら、結んでいた紐を外し、ページ順を並び変える。

 その作業中に別の死亡イベントを思い出し、まだなにも書かれていない紙に書いて、紐を通す。
 死亡イベントばっかりでうんざりする。

 六歳児の小さな手で、たどたどしく紙に紐を通していく。

 手先の訓練には最適だ……って、これは知育玩具じゃないから!

「……ペンが普通にあるなら、紙も前世仕様に合わせてくれてもよかったのに……」

 不満が声にでてしまった。

 紐の先端がほつれてきて、穴に通しにくくなってきた。
 黒いつづりひもが欲しい。
 先端を固めるなにかが欲しい。

 紙もキリのようなもので穴をあけただけだから、穴あけパンチも欲しい。

 それよりも、ルーズリーフだ!
 バインダーだ!
 クリップだ!

 ルーズリーフが恋しい。
 推しキャラの切り抜きを表紙に差し込んだバインダーが欲しい。
 キャラクリップが欲しい。
 贅沢は言わない。
 キャラ達のクリアファイルに書類を整理したい……。

 前世の社内ではペーパーレス化が進んでいたが、尊敬する五つ年上の先輩が、全時代のバリバリアナログ派だったので、先輩の仕事ぶりを真似てたあたしも自然とアナログ派になってしまった。

 升目のルーズリーフやら、カラフルな付箋を使って仕事をしてたら、後輩に変な目で見られたのを新たに思い出した。

(…………)

 今世を生き残るのに全く役に立たないことばかりが思い出されて、本当にイラつく。

 こんなことになるんだったら、後輩の尻に蹴りのひとつやふたつ、おみまいしてやるんだった。





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