102 / 132
Mission3 お祖母様を救え!
102.王子様が摘んだ花は
しおりを挟む
「コラ、レーシア! 先生の邪魔をするんじゃない!」
慌てるライース兄様をデイラル先生は「よいのですよ」と優しい声で制止する。
「フレーシアお嬢様、わたくしがこの絵本を読めばよろしいのですかな?」
「はい! いますぐにです! お祖母様のごびょうきとそっくりなおはなしです!」
「ほう……。それは……」
あたしから絵本を受け取ると、デイラル先生はゆっくりとページをめくっていく。
最後まで読み終わると、デイラル先生は、とあるページを開いたまま、あたしに絵本を返してくれた。
そのページは、王子様が青い花を摘んでいるシーンだ。
デイラル先生は「よいしょ」という掛け声とともに、膝を折り、あたしの目線にしゃがみこむ。
そして、王子様が持っている花を指さした。
「フレーシアお嬢様、驚きました。この物語りにあるお姫様の状態と、氷結晶病の症状はとても似通っていますね」
「ですよね! ですよね!」
「絵本がですか?」
ライース兄様が絵本を覗き込む。
「デイラル先生! この青いお花の名前はなんというのでしょうか? このお花が、お祖母様のごびょうきをなおす、とっておきのおくちゅりになるとおもいます!」
「……………………」
デイラル先生は腕を組んで沈黙する。
「フレーシアお嬢様、残念ですが、これは絵本であって、薬学事典ではございません」
「どういうことですか?」
「この絵では、どのような薬草なのか、判別できません」
「うそです!」
いやいや、ゲームではお医者様がばしっと、宣言してましたよ?
もしかして、ゲームの医者はデイラル先生そっくりさんの、別の医者だったの?
ショックのあまりその場にへなへなと座り込むあたしを、デイラル先生は不安げな眼差しで見つめる。
「まあ、この花の絵の特徴からすると、おそらく、絵本に登場している花は『バーニラーヌ』の花かと思われます」
「バーニラーヌ!」
そうだ!
そうだった!
バなんとかっていう花は『バーニラーヌ』っていうんだった。
このイベントをプレイしてたとき、ものすごくバニラアイスを食べたくなったのを思い出した!
「バーニラーヌのお花がお祖母様のごびょうきをなおすのですね!」
あたしの嬉しそうな言葉に、デイラル先生とライース兄様は微妙な顔をする。
なんだろう。
ちょっと、嫌な雰囲気だ。
「フレーシアお嬢様、『バーニラーヌ』の花の色は、白でございます。このような、絵本のような青ではございません。ですので、この青い花は、別の花かもしれません」
「え…………」
そんなことはない。
間違いなく、氷結晶病を治す花は青い『バーニラーヌ』の花びらのしぼり汁だった。
そういう描写があった。
ヒロインが『バーニラーヌ』の花を摘み取ったときの静止画もあったけど、あれは、確かに青い花だった。
どういうことだろう……。
「変異種なのかもしれない。絵本のお話だからな」
静かになってしまったあたしにライース兄様の手があたしの背中をなでる。
「ライース坊ちゃまのおっしゃるとおり絵本のことではありますが、なにもしないよりは、色々と試した方がよいかとは思います」
「そうだな。デイラル先生のおっしゃるとおりだ。ちょうど、今は『バーニラーヌ』の花が開花する時期だ。急ぎ、取り寄せよう」
(え…………? どういうこと?)
決着がついた、と判断され、大人たちはお祖母様の部屋へと入っていく。
その中にはデイラル先生もいた。
「さあ、レーシアはお部屋に戻りなさい」
あたしはライース兄様に促され、お祖母様の部屋を離れた。
(どういうこと? どういうこと?)
ちょっとの違いはあったけど、ほとんどが本編通りのやりとりだった。
なのに、なのに、最後の最後で…………。
(ライース兄様のセリフが違うって、どいういうことなのぉっ!)
慌てるライース兄様をデイラル先生は「よいのですよ」と優しい声で制止する。
「フレーシアお嬢様、わたくしがこの絵本を読めばよろしいのですかな?」
「はい! いますぐにです! お祖母様のごびょうきとそっくりなおはなしです!」
「ほう……。それは……」
あたしから絵本を受け取ると、デイラル先生はゆっくりとページをめくっていく。
最後まで読み終わると、デイラル先生は、とあるページを開いたまま、あたしに絵本を返してくれた。
そのページは、王子様が青い花を摘んでいるシーンだ。
デイラル先生は「よいしょ」という掛け声とともに、膝を折り、あたしの目線にしゃがみこむ。
そして、王子様が持っている花を指さした。
「フレーシアお嬢様、驚きました。この物語りにあるお姫様の状態と、氷結晶病の症状はとても似通っていますね」
「ですよね! ですよね!」
「絵本がですか?」
ライース兄様が絵本を覗き込む。
「デイラル先生! この青いお花の名前はなんというのでしょうか? このお花が、お祖母様のごびょうきをなおす、とっておきのおくちゅりになるとおもいます!」
「……………………」
デイラル先生は腕を組んで沈黙する。
「フレーシアお嬢様、残念ですが、これは絵本であって、薬学事典ではございません」
「どういうことですか?」
「この絵では、どのような薬草なのか、判別できません」
「うそです!」
いやいや、ゲームではお医者様がばしっと、宣言してましたよ?
もしかして、ゲームの医者はデイラル先生そっくりさんの、別の医者だったの?
ショックのあまりその場にへなへなと座り込むあたしを、デイラル先生は不安げな眼差しで見つめる。
「まあ、この花の絵の特徴からすると、おそらく、絵本に登場している花は『バーニラーヌ』の花かと思われます」
「バーニラーヌ!」
そうだ!
そうだった!
バなんとかっていう花は『バーニラーヌ』っていうんだった。
このイベントをプレイしてたとき、ものすごくバニラアイスを食べたくなったのを思い出した!
「バーニラーヌのお花がお祖母様のごびょうきをなおすのですね!」
あたしの嬉しそうな言葉に、デイラル先生とライース兄様は微妙な顔をする。
なんだろう。
ちょっと、嫌な雰囲気だ。
「フレーシアお嬢様、『バーニラーヌ』の花の色は、白でございます。このような、絵本のような青ではございません。ですので、この青い花は、別の花かもしれません」
「え…………」
そんなことはない。
間違いなく、氷結晶病を治す花は青い『バーニラーヌ』の花びらのしぼり汁だった。
そういう描写があった。
ヒロインが『バーニラーヌ』の花を摘み取ったときの静止画もあったけど、あれは、確かに青い花だった。
どういうことだろう……。
「変異種なのかもしれない。絵本のお話だからな」
静かになってしまったあたしにライース兄様の手があたしの背中をなでる。
「ライース坊ちゃまのおっしゃるとおり絵本のことではありますが、なにもしないよりは、色々と試した方がよいかとは思います」
「そうだな。デイラル先生のおっしゃるとおりだ。ちょうど、今は『バーニラーヌ』の花が開花する時期だ。急ぎ、取り寄せよう」
(え…………? どういうこと?)
決着がついた、と判断され、大人たちはお祖母様の部屋へと入っていく。
その中にはデイラル先生もいた。
「さあ、レーシアはお部屋に戻りなさい」
あたしはライース兄様に促され、お祖母様の部屋を離れた。
(どういうこと? どういうこと?)
ちょっとの違いはあったけど、ほとんどが本編通りのやりとりだった。
なのに、なのに、最後の最後で…………。
(ライース兄様のセリフが違うって、どいういうことなのぉっ!)
3
あなたにおすすめの小説
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~
詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?
小説家になろう様でも投稿させていただいております
8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位
8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位
8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位
に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。
ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる