104 / 132
Mission3 お祖母様を救え!
104.情報提供者が現れました
しおりを挟む
「あった。これだ!」
あたしが書棚からとりだした立派な本は植物図鑑。植物図鑑は他にもあったが、この地方で育つ植物にスポットをあてて、詳細情報が載っている図鑑だ。
絵本がだめなら植物図鑑だ。
手掛かりになるような情報が載っているかもしれない。あたしは後ろの索引から『バーニラーヌ』の項目を探しだし、ページを読み始める。
この植物図鑑には植物の特徴や分布、開花時期などの情報が記されている。
栽培可能な場合は、その方法まで書かれている。
『バーニラーヌ』の花の色は白と書かれており、どこにも青い花の情報は載っていない。
当然のことなんだけど、ちょっとした奇跡を期待していたので、がっかりしてしまった。
そんなに世の中は都合よくできていなかった。
がっかりしながらも、普通の『バーニラーヌ』について調べる。
水辺と冷所を好む植物で、山野の水辺や湿地などでよく見かけるそうだ。
水の管理に注意すれば、栽培も可能と書いてある。
(なるほど――。泉か)
確かに、スチルの背景は水辺だった。
蛍っぽいものも飛んでいた。単なるキラキラエフェクトかと思っていたんだけど、水辺の昆虫かもしれない。
主人公はこの屋敷から夜中頃に馬ででかけて、暗い時間帯に泉に到着していた。花を捜すときにライース兄様と密着ドキドキイベントが発生して、昼までには屋敷に戻っていた。
「カルティ。リョウチのくわしい地図をみせて。このしゅうへんの地図。川とか泉がわかる地図がいいな」
「わかりました」
カルティが地図がしまわれている棚をがさごそと捜し始める。
地図が見つかるまでの間に、あたしは領内の河川や水利関連の本を探す。
「お嬢様、地図はこれでよろしいでしょうか?」
「うん。ありがとう」
カルティが見つけ出した地図は、この地方の拡大地図だ。絵地図というか、宝の地図みたいな眉唾な精度だけど、これがファンタジーらしさの演出なんだろう。
国盗りや領地開拓をするわけではないので、精度には目をつぶる。
馬で三から四時間走ったところに、蛍っぽいものが生息する泉があれば、そこが青い『バーニラーヌ』の群生地である可能性が高い。
といいたいところだけど、地図に載っている泉の数が多すぎる。
(なんでこんなに泉があるのよ!)
この数をひとつひとつ回って確認するのは至難の業だ。
というか、この地図の精度がどの程度のものなのかもわからないので、適当に「この辺りに泉があったらいいかも」などといったノリで泉を書き込んでいたらお手上げだ。
まあ、領主が所有する地図であるから、ある程度は信頼してもいいだろうけど。
「お嬢様、なにを調べていらっしゃるのですか?」
領内の水利資源について記された難しそうな本を読み始めたあたしに、カルティが遠慮がちに声をかける。
「ここから馬で三、四時間くらいの場所にある泉をさがしているのよ」
「泉ですか?」
「うん。『バーニラーヌ』は泉でそだつと、しょくぶつずかんにかかれていたからね」
「そうなのですか?」
カルティの視線があたしから、床の上に広げられたままになっている植物図鑑へと移動する。
「あれ?」
植物図鑑を読み始めたカルティは首を傾げる。
「カルティ、どうしたの?」
「いえ。これが『バーニラーヌ』の花ですか?」
「そうよ。ずかんには白い『バーニラーヌ』の花しかのっていないけどね」
「そうなのですか? これによく似た色違いの花を見たことがあります」
「いろちがい?」
「はい。白ではなく、青い花でした」
「…………」
な、なんですとおっ!
カルティが青い『バーニラーヌ』の花が咲く場所を知っている?
「カルティは青い『バーニラーヌ』の花をみたの?」
「はい。昨年、両親の墓参りでお休みを頂いたときに、近道をしようとして道に迷って……そのときに、この形の青い花がたくさん咲いているのを見ました」
驚いた。
ライース兄様ではなく、カルティが青い『バーニラーヌ』の花とご対面していたよ。
あたしが書棚からとりだした立派な本は植物図鑑。植物図鑑は他にもあったが、この地方で育つ植物にスポットをあてて、詳細情報が載っている図鑑だ。
絵本がだめなら植物図鑑だ。
手掛かりになるような情報が載っているかもしれない。あたしは後ろの索引から『バーニラーヌ』の項目を探しだし、ページを読み始める。
この植物図鑑には植物の特徴や分布、開花時期などの情報が記されている。
栽培可能な場合は、その方法まで書かれている。
『バーニラーヌ』の花の色は白と書かれており、どこにも青い花の情報は載っていない。
当然のことなんだけど、ちょっとした奇跡を期待していたので、がっかりしてしまった。
そんなに世の中は都合よくできていなかった。
がっかりしながらも、普通の『バーニラーヌ』について調べる。
水辺と冷所を好む植物で、山野の水辺や湿地などでよく見かけるそうだ。
水の管理に注意すれば、栽培も可能と書いてある。
(なるほど――。泉か)
確かに、スチルの背景は水辺だった。
蛍っぽいものも飛んでいた。単なるキラキラエフェクトかと思っていたんだけど、水辺の昆虫かもしれない。
主人公はこの屋敷から夜中頃に馬ででかけて、暗い時間帯に泉に到着していた。花を捜すときにライース兄様と密着ドキドキイベントが発生して、昼までには屋敷に戻っていた。
「カルティ。リョウチのくわしい地図をみせて。このしゅうへんの地図。川とか泉がわかる地図がいいな」
「わかりました」
カルティが地図がしまわれている棚をがさごそと捜し始める。
地図が見つかるまでの間に、あたしは領内の河川や水利関連の本を探す。
「お嬢様、地図はこれでよろしいでしょうか?」
「うん。ありがとう」
カルティが見つけ出した地図は、この地方の拡大地図だ。絵地図というか、宝の地図みたいな眉唾な精度だけど、これがファンタジーらしさの演出なんだろう。
国盗りや領地開拓をするわけではないので、精度には目をつぶる。
馬で三から四時間走ったところに、蛍っぽいものが生息する泉があれば、そこが青い『バーニラーヌ』の群生地である可能性が高い。
といいたいところだけど、地図に載っている泉の数が多すぎる。
(なんでこんなに泉があるのよ!)
この数をひとつひとつ回って確認するのは至難の業だ。
というか、この地図の精度がどの程度のものなのかもわからないので、適当に「この辺りに泉があったらいいかも」などといったノリで泉を書き込んでいたらお手上げだ。
まあ、領主が所有する地図であるから、ある程度は信頼してもいいだろうけど。
「お嬢様、なにを調べていらっしゃるのですか?」
領内の水利資源について記された難しそうな本を読み始めたあたしに、カルティが遠慮がちに声をかける。
「ここから馬で三、四時間くらいの場所にある泉をさがしているのよ」
「泉ですか?」
「うん。『バーニラーヌ』は泉でそだつと、しょくぶつずかんにかかれていたからね」
「そうなのですか?」
カルティの視線があたしから、床の上に広げられたままになっている植物図鑑へと移動する。
「あれ?」
植物図鑑を読み始めたカルティは首を傾げる。
「カルティ、どうしたの?」
「いえ。これが『バーニラーヌ』の花ですか?」
「そうよ。ずかんには白い『バーニラーヌ』の花しかのっていないけどね」
「そうなのですか? これによく似た色違いの花を見たことがあります」
「いろちがい?」
「はい。白ではなく、青い花でした」
「…………」
な、なんですとおっ!
カルティが青い『バーニラーヌ』の花が咲く場所を知っている?
「カルティは青い『バーニラーヌ』の花をみたの?」
「はい。昨年、両親の墓参りでお休みを頂いたときに、近道をしようとして道に迷って……そのときに、この形の青い花がたくさん咲いているのを見ました」
驚いた。
ライース兄様ではなく、カルティが青い『バーニラーヌ』の花とご対面していたよ。
3
あなたにおすすめの小説
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
何やってんのヒロイン
ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。
自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。
始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・
それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。
そんな中とうとうヒロインが入学する年に。
・・・え、ヒロイン何してくれてんの?
※本編・番外編完結。小話待ち。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。
ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。
小説家になろう様でも投稿しています。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる