105 / 132
Mission3 お祖母様を救え!
105.八歳児の限界
しおりを挟む
「どこ! どこなの! カルティ、それはどこでみたの? さっさとその場所を教えなさいよ!」
「え……?」
あたしの質問にカルティは困ったような顔をする。
宝の地図っぽい地図を見ながら、う――んと唸り声をあげながら考え込んでいる。
あたしの期待のこもった眼差しにとまどいながらも、カルティは地図を指さす。
「ここが、別荘地で、このあたりに両親の墓がありますので、おそらく迷ったのはここでしょうか?」
と言いながら、ぐるりと指を動かす。
なかなか大きくて思い切りのよい『このあたり』だった。
うん。
方角がわかった程度だね。
まあ、カルティの年齢はあたしよりもふたつ上の八歳だ。
八歳にしては優秀だが、八歳に色々と期待するのは間違っているだろう。
夜の暗闇の中で方向感覚を失い、野営できる場所を求めて、途切れがちな獣道をぐるぐると彷徨った末に、ようやくたどり着いた場所だという。
泉の景色は覚えているが、そこまでの道は覚えていない。また、次の朝には街道に戻ることができたのだが、その道のりも覚えていないという。
八歳だもんね。
よく遭難しなかったよね。
ゲーム本編のライース兄様は、ヒロインをばっちりエスコートしたんだけど、八歳のカルティは大丈夫かな。
いや、あやふやな記憶は、衝撃を与えたら鮮明に蘇るというのが、エンターテイナー向けの展開だろう。
ここはあたしがやるしかない!
「カルティ! サイゴノシュダンです! こうなったら、げんばに行きましょう!」
「ゲンバとは?」
「もちろん、カルティが道にまよったバショです」
「ええええっ!」
「オハカに行く道はおぼえていますよね?」
「もちろんです」
去年の話だから、道順は覚えているだろう。でないと、ひとりで墓参りに行こうなど思わないはずだ。
「まよった場所も、トウゼンおぼえていますよね?」
忘れましたって言ったら、ぶん殴るから。
「はい。まあ、道の選択を間違った場所ならわかりますが」
屋敷の中で悶々としているよりも、カルティが道に迷ったあたりをウロウロする方がいいにきまっている。
「だったら、いそぎましょう」
「なにを急ぐのですか?」
「もちろん、出発のジュンビです。早くでかけるジュンビをして」
と言いながら、あたしは本を片付けはじめる。
まあ、一応、宝の地図は拝借しておこう。
「お、お嬢様、でかける準備って……」
カルティの顔色が真っ青だ。
「いろいろあるでしょう。マヨナカの山道、森のなかから泉をさがすのです。それなりのジュンビがヒツヨウでしょう?」
「それなり……って、いえ、お嬢様、まさか花を捜しにでかけるのですか!」
「とうぜんです。カルティはお祖母様のご病気をなおしたくないのですか?」
「治したいですよ!」
そうだろう。カルティはお祖母様がとても大好きだもんね。
おそらく、孫であるライース兄様やあたしよりも、お祖母様のことを慕っているんじゃないだろうか。
「だったら、でかけましょう。さっさとふたり分の外出ジュンビをするのです」
「ふたり分? 誰と誰ですか?」
「もちろん、あたしとカルティよ! ごリョウシンのオハカマイリにでかけたとき、カルティは手ぶらだったのですか? その服で向かったのですか?」
「いえ。食料とか水とか、旅装ですし、一応、野宿の準備や……」
そこまで言いかけて、カルティはとても嫌そうな顔をする。
「青い『バーニラーヌ』の花はわたしが捜しに行きますので、お嬢様はお屋敷に」
「いやよ! あたしだって、お祖母様がシンパイなの! それに、サガシモノは人手が多いほうがみつかりやすいのよ」
「ですが……そのようなことをお嬢様がなさる必要はございません」
「うるさい! うるさい! うるさ――い!」
「え……?」
あたしの質問にカルティは困ったような顔をする。
宝の地図っぽい地図を見ながら、う――んと唸り声をあげながら考え込んでいる。
あたしの期待のこもった眼差しにとまどいながらも、カルティは地図を指さす。
「ここが、別荘地で、このあたりに両親の墓がありますので、おそらく迷ったのはここでしょうか?」
と言いながら、ぐるりと指を動かす。
なかなか大きくて思い切りのよい『このあたり』だった。
うん。
方角がわかった程度だね。
まあ、カルティの年齢はあたしよりもふたつ上の八歳だ。
八歳にしては優秀だが、八歳に色々と期待するのは間違っているだろう。
夜の暗闇の中で方向感覚を失い、野営できる場所を求めて、途切れがちな獣道をぐるぐると彷徨った末に、ようやくたどり着いた場所だという。
泉の景色は覚えているが、そこまでの道は覚えていない。また、次の朝には街道に戻ることができたのだが、その道のりも覚えていないという。
八歳だもんね。
よく遭難しなかったよね。
ゲーム本編のライース兄様は、ヒロインをばっちりエスコートしたんだけど、八歳のカルティは大丈夫かな。
いや、あやふやな記憶は、衝撃を与えたら鮮明に蘇るというのが、エンターテイナー向けの展開だろう。
ここはあたしがやるしかない!
「カルティ! サイゴノシュダンです! こうなったら、げんばに行きましょう!」
「ゲンバとは?」
「もちろん、カルティが道にまよったバショです」
「ええええっ!」
「オハカに行く道はおぼえていますよね?」
「もちろんです」
去年の話だから、道順は覚えているだろう。でないと、ひとりで墓参りに行こうなど思わないはずだ。
「まよった場所も、トウゼンおぼえていますよね?」
忘れましたって言ったら、ぶん殴るから。
「はい。まあ、道の選択を間違った場所ならわかりますが」
屋敷の中で悶々としているよりも、カルティが道に迷ったあたりをウロウロする方がいいにきまっている。
「だったら、いそぎましょう」
「なにを急ぐのですか?」
「もちろん、出発のジュンビです。早くでかけるジュンビをして」
と言いながら、あたしは本を片付けはじめる。
まあ、一応、宝の地図は拝借しておこう。
「お、お嬢様、でかける準備って……」
カルティの顔色が真っ青だ。
「いろいろあるでしょう。マヨナカの山道、森のなかから泉をさがすのです。それなりのジュンビがヒツヨウでしょう?」
「それなり……って、いえ、お嬢様、まさか花を捜しにでかけるのですか!」
「とうぜんです。カルティはお祖母様のご病気をなおしたくないのですか?」
「治したいですよ!」
そうだろう。カルティはお祖母様がとても大好きだもんね。
おそらく、孫であるライース兄様やあたしよりも、お祖母様のことを慕っているんじゃないだろうか。
「だったら、でかけましょう。さっさとふたり分の外出ジュンビをするのです」
「ふたり分? 誰と誰ですか?」
「もちろん、あたしとカルティよ! ごリョウシンのオハカマイリにでかけたとき、カルティは手ぶらだったのですか? その服で向かったのですか?」
「いえ。食料とか水とか、旅装ですし、一応、野宿の準備や……」
そこまで言いかけて、カルティはとても嫌そうな顔をする。
「青い『バーニラーヌ』の花はわたしが捜しに行きますので、お嬢様はお屋敷に」
「いやよ! あたしだって、お祖母様がシンパイなの! それに、サガシモノは人手が多いほうがみつかりやすいのよ」
「ですが……そのようなことをお嬢様がなさる必要はございません」
「うるさい! うるさい! うるさ――い!」
3
あなたにおすすめの小説
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
何やってんのヒロイン
ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。
自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。
始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・
それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。
そんな中とうとうヒロインが入学する年に。
・・・え、ヒロイン何してくれてんの?
※本編・番外編完結。小話待ち。
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。
ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる