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Mission3 お祖母様を救え!
106.カルティへの密命
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素直なライース兄様と違い、カルティはやたらと反論が多い。
無口ではないが、ゲームでは寡黙なミステリアスなキャラだったのに、どういうことだろう。
「お、お嬢様…………」
「お祖母様を助けたかったら、あたしの言うことを素直にきく!」
「は、はい!」
強引にカルティを書庫から連れ出すと、廊下へと追いやった。
「あたしも部屋でキガエをしてきます。カルティはニヅクリをなさい」
「お嬢様、それは……」
「いいですか、ぜったいに、オトナたちにみつからないようにするのですよ!」
「え! まさか、黙って外出なさるというのですか!」
「トウゼンです。オトナタチにみつかったら、外にだしてもらえなくなるでしょ!」
カルティはそんなこともわからないのか!
「そして、ウマヤにシュウゴウです!」
「え? えええ――っ! お嬢様!」
涙目のカルティを廊下に残し、あたしは速攻で自分の部屋に戻った。
****
あたしは素早く準備を整えると、集合場所の厩に向かってそろそろと歩いていた。
お祖母様の急変で屋敷内は慌ただしかったが、誰にも見つかることなく、あたしは外に出ることに成功した。
いつもなら寝る準備をしている時間だ。
動きやすい服装、山や森の中に入っても大丈夫な服装……はクローゼット、いや、衣裳部屋の中にはなく、予備の乗馬服に再び袖を通す。
斜めがけしているピンクの大きめのポシェットには、マル秘ノートやハンカチ、ティッシュなどが入っている。
六歳児の侯爵令嬢の部屋に、薬草採取に必要な道具などあるわけがない。
外出時に必要なアイテムを物色したのだが、ハンカチとティッシュくらいしか思いつかなかった。
六歳児思考補正で、お気に入りのぬいぐるみをもちださなかっただけ、褒めて欲しいくらいである。
ふと気づくとうさちゃんぬいぐるみを抱っこしていたのだ。もう少しで持ち出すところだった。危なかった。
こういうとき、ファンタジーではフードつきの外套なるものを羽織るが、そのようなものもあたしの衣裳部屋の中にあるはずもない。
あるのはキラキラ、ヒラヒラした素早さマイナス補正のらぶりーなドレスばっかりだ。
乗馬服があっただけ奇跡ともいえる。
この先寒くなるから、とフワフワしたもっこもっこな毛皮のコートが数着用意されていたが、さすがにそれを着ようとは思えなかった。
よく気が付くカルティが、いかにも隠密行動めいたカッコいい外套を準備してくれていると思いたい。
夜も更けていたが、この世界の月はずっと満月で、しかも月が三つもある。
明かりがなくても夜はそこそこ明るい。
さらに防犯のためか、権威を示すためか、屋敷の敷地にも魔道具の照明があちこちに設置されて淡い光を放っていたので、暗闇に苦労することはない。
「カルティはまだかな?」
厩の外には誰もいなかった。
念のため、厩の中に入ってみる。
さすがに厩の中は月明かりだけだ。
馬はたくさんいたが、カルティの姿はない。
ふたりぶんの外出準備に手間取っているのだろう。
なにしろ八歳だから。
お祖母様の容体が急変しないとも限らないので急いだほうがよいのだが、準備を急いで大人たちに見つかっては大変だ。
特に、ライース兄様に見つかると、なにかと面倒だ。
ここはゆっくりでいいから、人目を避けて慎重に行動して欲しいところである。
本編では、主人公が急いで準備をすると、護衛の兵士たちに見つかってしまう。
結果、夜間の外出をみんなから止められて、青い『バーニラーヌ』の花が採取できずに、イベントが失敗するのだ。
あたしに気づいたミリガンが「ブルルル!」と鼻を鳴らすので、そちらの方に移動する。
「ミリガンちょっと静かにして。うるさくしたら見つかっちゃうから」
人差し指を口元に突き立て「しー」っとすると、ミリガンは静かになった。
うん。賢いなぁ。こちらの世界の馬は人間の言葉がわかるのだろうか?
「お嬢様……」
背後から聞こえるカルティの声。
やっと来たか。
準備に時間がかかりすぎ。
「カルティ、遅かったじゃ……」
後ろを振り返ったあたしの顔が固まる。
どこになにをしに行くのですか? と聞きたくなるくらいの大きな荷物を抱えるカルティ。
……と。
もうひとり。
無口ではないが、ゲームでは寡黙なミステリアスなキャラだったのに、どういうことだろう。
「お、お嬢様…………」
「お祖母様を助けたかったら、あたしの言うことを素直にきく!」
「は、はい!」
強引にカルティを書庫から連れ出すと、廊下へと追いやった。
「あたしも部屋でキガエをしてきます。カルティはニヅクリをなさい」
「お嬢様、それは……」
「いいですか、ぜったいに、オトナたちにみつからないようにするのですよ!」
「え! まさか、黙って外出なさるというのですか!」
「トウゼンです。オトナタチにみつかったら、外にだしてもらえなくなるでしょ!」
カルティはそんなこともわからないのか!
「そして、ウマヤにシュウゴウです!」
「え? えええ――っ! お嬢様!」
涙目のカルティを廊下に残し、あたしは速攻で自分の部屋に戻った。
****
あたしは素早く準備を整えると、集合場所の厩に向かってそろそろと歩いていた。
お祖母様の急変で屋敷内は慌ただしかったが、誰にも見つかることなく、あたしは外に出ることに成功した。
いつもなら寝る準備をしている時間だ。
動きやすい服装、山や森の中に入っても大丈夫な服装……はクローゼット、いや、衣裳部屋の中にはなく、予備の乗馬服に再び袖を通す。
斜めがけしているピンクの大きめのポシェットには、マル秘ノートやハンカチ、ティッシュなどが入っている。
六歳児の侯爵令嬢の部屋に、薬草採取に必要な道具などあるわけがない。
外出時に必要なアイテムを物色したのだが、ハンカチとティッシュくらいしか思いつかなかった。
六歳児思考補正で、お気に入りのぬいぐるみをもちださなかっただけ、褒めて欲しいくらいである。
ふと気づくとうさちゃんぬいぐるみを抱っこしていたのだ。もう少しで持ち出すところだった。危なかった。
こういうとき、ファンタジーではフードつきの外套なるものを羽織るが、そのようなものもあたしの衣裳部屋の中にあるはずもない。
あるのはキラキラ、ヒラヒラした素早さマイナス補正のらぶりーなドレスばっかりだ。
乗馬服があっただけ奇跡ともいえる。
この先寒くなるから、とフワフワしたもっこもっこな毛皮のコートが数着用意されていたが、さすがにそれを着ようとは思えなかった。
よく気が付くカルティが、いかにも隠密行動めいたカッコいい外套を準備してくれていると思いたい。
夜も更けていたが、この世界の月はずっと満月で、しかも月が三つもある。
明かりがなくても夜はそこそこ明るい。
さらに防犯のためか、権威を示すためか、屋敷の敷地にも魔道具の照明があちこちに設置されて淡い光を放っていたので、暗闇に苦労することはない。
「カルティはまだかな?」
厩の外には誰もいなかった。
念のため、厩の中に入ってみる。
さすがに厩の中は月明かりだけだ。
馬はたくさんいたが、カルティの姿はない。
ふたりぶんの外出準備に手間取っているのだろう。
なにしろ八歳だから。
お祖母様の容体が急変しないとも限らないので急いだほうがよいのだが、準備を急いで大人たちに見つかっては大変だ。
特に、ライース兄様に見つかると、なにかと面倒だ。
ここはゆっくりでいいから、人目を避けて慎重に行動して欲しいところである。
本編では、主人公が急いで準備をすると、護衛の兵士たちに見つかってしまう。
結果、夜間の外出をみんなから止められて、青い『バーニラーヌ』の花が採取できずに、イベントが失敗するのだ。
あたしに気づいたミリガンが「ブルルル!」と鼻を鳴らすので、そちらの方に移動する。
「ミリガンちょっと静かにして。うるさくしたら見つかっちゃうから」
人差し指を口元に突き立て「しー」っとすると、ミリガンは静かになった。
うん。賢いなぁ。こちらの世界の馬は人間の言葉がわかるのだろうか?
「お嬢様……」
背後から聞こえるカルティの声。
やっと来たか。
準備に時間がかかりすぎ。
「カルティ、遅かったじゃ……」
後ろを振り返ったあたしの顔が固まる。
どこになにをしに行くのですか? と聞きたくなるくらいの大きな荷物を抱えるカルティ。
……と。
もうひとり。
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