転生お転婆令嬢は破滅フラグを破壊してバグの嵐を巻き起こす

のりのりの

文字の大きさ
128 / 132
Mission4 ライースガチャをなんとかしろ!

128.可愛いのは誰だ?

しおりを挟む
「気に入ってくれたかな?」
「はい。とっても! 真っ白で、ふわふわで、とってもかわいいうさちゃんです! カシューおじ様ありがとうございます!」
「それはよかった」

 そう言いながら、カシューおじ様があたしの頭をぎこちない手つきでなでなでする。

「レーシアもかわいいよ」

(いや――! 幹本慎二ボイス! あたしにもう一度、気絶しろと!)

 悶えるあたしをみて、カシューおじ様は「そんなにこのぬいぐるみを気に入ってくれたのか」とご機嫌になった。

「カシューおじ様! このうさちゃんはどこで手に入れたのですか?」

 今のうさちゃんも可愛い。
 同じ可愛さなので、同じ人が作成したものだろう。

 耳の垂れ具合とか、尻尾のまるまり具合とかが素晴らしい!

 できたら、もう一匹おねだりして、三匹の子兎にしたい。
 きっと、いや、絶対にすごく可愛いだろう。

「このうさちゃんはだな……」

(幹本慎二ボイスが『うさちゃん』って!)

 だめだ……悶絶しかない。
 また気絶なのか?

「シュルタイフル村の統治を任せているシルベルター・ペーター男爵の夫人が作成されたものだ」
「男爵夫人の手作りなのですか!」
「そうなのだよ。ベディー夫人は裁縫が趣味とかで、特に、ぬいぐるみを作成されるのがとても好きらしい」
「そうなのですね。とてもふわふわで、気持ちがいいです」

 あたしは新入りうさちゃんにスリスリする。
 カシューおじ様の表情がなんだか緩みきっているというか、たるんでいるのだけど?
 そんなにこのうさちゃんが可愛いのか。
 いや、それくらいになってもいいくらいの可愛さだ。

「カシューおじ様はこのうさちゃんをあたしにくださるのですか?」

 返せと言われても返すつもりはないが、ちょっと心配になった。
 だって、すごく愛おしそうに、あたしが抱っこしているうさちゃんを見ているんだもの。

 これはアレだ。
 プレゼントしたけど、相手があまりにも喜ぶもんだから、あげるのが惜しくなったというパターンだ。

「もちろんだとも!」

 元気よく答えるカシューおじ様。
 あれ? あたしの予想は外れてしまったみたいだ。

「ベディー夫人の小さなアトリエにはだな、こんなうさちゃんぬいぐるみや、くまちゃんぬいぐるみや、ワンコ、猫ちゃん、羊さん……色々なぬいぐるみがいっぱいあるんだぞ」
「すごいです……」

 ちょっとその様子を想像して、あたしは思わずうっとりする。
 ワクワクしてきた。

 いかん。
 思考が六歳児だ。
 このままでは、この可愛いうさちゃんぬいぐるみに精神を支配されそうだ。

「元気になったら、ベディー夫人のアトリエに案内してやろうか?」
「はい! おねがいします! ベディー夫人のたくさんのぬいぐるみ! みたいです!」

 できたら、抱っこして、その中で一日中おままごとを……いや、ちがう! だんじてちがう!

 うさちゃんぬいぐるみや、くまちゃんぬいぐるみや、ワンコ、猫ちゃん、羊さん……?

 なんだろう、その動物チョイス。
 ふと、なにかがひっかかった。

 あたしはうさちゃんぬいぐるみをじっと見つめる。

 ひっかかる。

 どこかでお会いしたのかもしれない。

「レーシアどうしたんだい?」

 カシューおじ様が腰を落として、急に静かになったあたしの顔を覗き込んだ。

「もしかして、気分が悪いのかい?」
「い、いえ。なんでもないです。くまちゃんぬいぐるみや、ワンコ、猫ちゃん、羊さんのぬいぐるみがどんなのかな――って考えていただけです!」

 頭の片隅がなにやらチリチリと痛んだが、あたしは慌ててその場をとりつくろう。
 カシューおじ様の疑うような視線が痛い。 

「そうか?」
「はい」
「カシューおじ様、ぜえったいに、ベディー夫人におあいしたいです」
「そんなにベディー夫人のぬいぐるみが気に入ったか?」
「はい! とってもすてきです」
「そうか。そうか。それなら、アトリエの中にある全部のぬいぐるみを買い取るか」

 ん?
 今、一瞬、なにやら、不穏な響きがあったような気もしたけど?
 カシューおじ様の顔がなにやら悪者っぽい感じに仕上がっていますよ?

 手作りだというのに、このクオリティの高さ。
 そして、愛らしさ。
 メロメロになる六歳児幼女はあたしだけではないはずだ。

 きっと、これを手作りサイトとかで売ったら、バズって馬鹿売れするんじゃないのかな。

 と、思ったところで、唐突にひらめいた!

 そうだ!
 ぬいぐるみを売ろう!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

何やってんのヒロイン

ネコフク
恋愛
前世の記憶を持っている侯爵令嬢のマユリカは第二王子であるサリエルの婚約者。 自分が知ってる乙女ゲームの世界に転生しているときづいたのは幼少期。悪役令嬢だなーでもまあいっか、とのんきに過ごしつつヒロインを監視。 始めは何事もなかったのに学園に入る半年前から怪しくなってきて・・・ それに婚約者の王子がおかんにジョブチェンジ。めっちゃ甲斐甲斐しくお世話されてるんですけど。どうしてこうなった。 そんな中とうとうヒロインが入学する年に。 ・・・え、ヒロイン何してくれてんの? ※本編・番外編完結。小話待ち。

モブとか知らないし婚約破棄も知らない

monaca
恋愛
病弱だったわたしは生まれかわりました。 モブ? わかりませんが、この婚約はお受けいたします。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

悪役令嬢、隠しキャラとこっそり婚約する

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が隠しキャラに愛されるだけ。 ドゥニーズは違和感を感じていた。やがてその違和感から前世の記憶を取り戻す。思い出してからはフリーダムに生きるようになったドゥニーズ。彼女はその後、ある男の子と婚約をして…。 小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

処理中です...