恋人だと思っていたのは私だけだったようです~転移先で女神から後付けでスキルを貰えたので、気分を切り替え何とかやっていきます

ゆうぎり

文字の大きさ
25 / 35
林の中での攻防戦

1 鑑定とは?

しおりを挟む
 私は林の出入り口が気になって仕方がなかった。
 振り向こうとするも、クルトさんの怒声が飛ぶ。

「カーリ、振り向くな。落としちまうだろうが」

 クルトさんは私を背負ったまま走っていた。
 周りを警戒し、レーナとヨハン、ベンが遅れないか確認をしつつ、林の出入り口から見えない方向に走る。

 林の炎も、まだまだ鎮火していない。
 王族の人達は、この火を放置するつもりなのだろうか。
 それとも、大挙して消しに来るのか……。

 まだまだ全てが未知数で、私達の安息は程遠かった。
 
「……ク…ルトさん、俺……もう……」

 ベンが限界が来たのか、膝から崩れた。

「仕方ないか、よく走った。カーリ、ベン掴まれ」

 クルトさんは、私を背に乗せたまま、ベンを荷物を持つ様に片手で横抱きに持った。
 そこからまた走り出し、レーナとヨハンがバテたところで止まった。

 休憩出来る所を探し、近くの岩壁がある地点までは私も歩いた。
 ヨハンはこの辺りに詳しいらしく、湧き水がある所に行くという。

 場所が狭く足場も悪く、五人で行くのは難しいという事で、私とクルトさんは後から行く事になった。


「……ここまで来れば大丈夫よね」

 近くに火の手は見えないが、前回の事がある。
 私は不安を払拭したくて聞いたのだが、クルトさんの意見はそれに反して厳しかった。

「いや、あっちの火の勢いはまだ収まっていない。それに出口の件、さすが王族が連れてるだけあるな。あの中に鑑定持ちがいた。俺は無意識に跳ね返したが、どれだけ見られたかわからん」
「鑑定って人にも使えるんですか?」

 物に使うイメージが強く、人に使われる事があるということが抜け落ちていた。

 私にスキルで付いているのは、多分未知の食材や道具を日本にある物と比べながら予測したり、試したりしたからかな?

「かなりの高魔力者の魔法だ。魔法を習う者にとって取得は難しいぞ」

「魔法なんですよね。スキルじゃなくて」
「ああそうだ。スキルで鑑定など聞いたことがない。俺が知っている中では、どの本にも魔法の分類だったな」

 私のステータスには、スキルの分類で入っているんだけど。
 そういえば、まだ使った事がなかった。
 私のも、人に使えるだろうか?

「私、鑑定使ってみたいです。クルトさんいいですか?」
「ハハ、魔法が使える者にとって、鑑定と収納は憧れの魔法だからな。だが余程じゃないと俺には無理だぞ」

 そんな余裕の態度で、クルトさんは応じてくれた。
 私はクルトさんに向け手を伸ばし、唱えた。

「鑑定」

 女神のスキル程ではなかったが、私の中から何かが抜け出す感じがした。

「ほら、やっぱり無理だろ。俺は鑑定を使われたら分かるからな」

 クルトさんには、何も感じなかったらしい。

「まぁ、試してみる事はいい事だ。少しとはいえカーリは魔法が使えるからな。操作は全く出来ていないが、これから頑張れ!」

 あまりにも私が愕然としていたからだろう。
 クルトさんは、見当違いにも励ましてくれた。


「クルトさーん、レーナとヨハンが呼んでるよ」

 ベンがクルトさんを呼びに来て、二人レーナ達の所に向かった。



 私は一人まだ呆然としていた。
 え?何これ?クルトさん一体何者?



しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。

下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。 豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。 小説家になろう様でも投稿しています。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

処理中です...