恋人だと思っていたのは私だけだったようです~転移先で女神から後付けでスキルを貰えたので、気分を切り替え何とかやっていきます

ゆうぎり

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林の中での攻防戦

2 クルトさんというの人は

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 クルトさんのステータスは私の目の前に表示されたままだ。


 名前:ギルクルート・バッケルシュタン(クルト)
 年齢:二十八歳
 種族:人族・元貴族
 職業:元聖騎士
 レベル:五十八

 魔法:火・水・風・身体強化・浄化・武器収納(小)
 スキル:剣・槍・棍棒・盾・武術・格闘・手拳・魔法鑑定無効・物理ダメージ軽減・魔法ダメージ軽減

 称号:裏切りの放浪者

『現在:味方』
『未来:不明・未知数』


 ……………………ツッコミどころが多すぎる。

 年齢二十代後半だったんだ。
 私は若く見られるタイプだったけど、クルトさんは、逆だったんだね。
 てっきり、三十代後半だと思ってた。

 元貴族だなんて見えないし、元聖騎士って……。
 各国にある大神殿所属の騎士だよね。

 そして教会の上位組織だよね。
 一目見れたら一生自慢出来ると、リタやウーラとか教会の見習い達が言っていた様な気がしたんだけど。
 言葉が不自由な時だったから、正確かどうかは分からないけどね。

 魔法とスキルは戦闘職っぽいし、さすが元傭兵と自分で言うだけあるよね。
 傭兵はステータスには載ってないけど、実際にしたのかそれとも虚偽なのか分からない。

 でも称号が酷すぎる。
 私の振られ人も酷いけど、一体何があったのか知るのは怖いな。

 それよりも何よりも、未来予測なんてしないでよ。
 『不明・未知数』って、将来敵になるかもしれないって事だよね。
 …………怖すぎる。

 これ、鑑定で見た後どう対応していいのか凄く困る。
 友達の隠していた秘密を偶然知ってしまった感じを、何倍も酷くした様な物だろうか。
 そして、知った事を相手に言えない奴。
 色々悶々と考えていても仕方がないけど、これだけは言える。

 私は余程のことが無い限り、もう鑑定で人は見ないと決めた。

 そんな私の元に、クルトさんは普通にやって来た。
 まぁ、当然だよね。

「カーリ、まだ落ち込んでいるのか?仕方ないな、ほれ」

 ひょいと片腕で、荷物の様に横抱きにされた。
 私は急な事に驚き、心の中で悲鳴を上げた。

 まだ、今見た情報消化できていない!
 私が足をバタバタとばたつかせているが、お構いなしだ。

「降ろして、子供扱いしないで、歩ける~」
「はいはい。足場がかなり悪いからな。けて怪我されたらたまらん。湧き水持って来てもいいが、まぁ大人しくしとけ」

 そう言って、レーナとヨハン、ベンの前を通って湧き水の方に向かっていった。
 こら、ベン、爆笑するな、後で見ていろ。
 レーナとヨハンは呆れていた。

 少し移動し、木々をわけ行った後視界が開ける。
 私の目の前に虹が見えた。

 湧き水はどうゆう原理か間欠泉の様に吹き出ていて、水しぶきを上げていた。
 触れる水滴はあたたかい。

 溜まれば温泉が出来きそうだけど、それほど水量はなさそうだった。
 私は見入っていたのだろう。
 やっと下ろしてくれたクルトさんが、私の頭に手を乗せながら言った。

「少し息抜けたか?ここでしっかりと休息しておけ。体も気持ちもだ。追っ手がどういう手で来るか分からん。また来ないかも知れん。だが緊張し続けると、いざという時、動けないからな」

 頭に乗せた手で髪をくしゃくしゃとかき乱されながら、私はその手を振りほどかずにいた。

「……それは、傭兵の心得こころえ?」

 私は震えない様に、声を抑えて聞いた。
 この人はどう答えるだろう?

「ああそうだ。動けた筈だと後で思うのは、心に来る」

 感情を消した淡々した声は、何を思っているのか分からない。

 私の事は言っても信じてもらえないだろうし、言えない事だらけだけど……。
 クルトさんもそうなんだと、でも言わなくてもこうして気を配ってくれる人なんだと思った。


 この先待っているのは、波乱か平穏かは分からない。
 ただ何事もなく、王族達が帰ってくれたらなと思った。


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