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林の中での攻防戦
5 スキルを使って
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クルトさんと私、ベンは岩壁のところにもたれていた。
クルトさんは、周囲の警戒の為。
何かあって岩壁に追い詰められた時、どう動けるかの地形を見ているとさっき言っていた。
私とベンは邪魔をしない為に、ただもたれていた。
その無言の時間で私は、レーナとヨハンが無事に洞までたどり着けるようにと願った。
二人を心配する時間が、少しだけ過ぎていった。
「さて、こうしていても仕方ないな。俺は獣を狩ってくる。お前らは水汲みとまき拾いと、休憩するそこらを平坦にしておけ。あまり遠くに行くなよ。声が聞こえる所に俺もいるからな。何かあったら大声で知らせろ」
そう言い置いて、クルトさんは狩りに向かった。
「途中で、レーナとヨハンが引き返してくるかもしれないよな。多めに用意しようぜ。カーリ、水が入る物何か持ってる?」
私は斜め掛けしていたカバンから、コップ二つと小さな小鍋を出した。
「小さっ、もう少し大きかったら良かったのにな」
「一人用だからね。贅沢言わない。そういうベンは何か持っているの?」
無言で見せた物は、大きなコップ一つだけだった。
「ベン、人の事言えないじゃない」
「……仕方ないから、何往復もするしかないよな」
私達はまず分担を決め、ベンが水汲みをする。
私がこの辺りの石を除け平坦にし、時間が余ったら手頃なまきを拾い集める事にした。
私は手早く、場所を平坦にしていく。
そして教会の物置から収納した中から、何か水を溜められる物はないかと漁った。
殆どが物の前に『壊れた』と付いている。
でも、壊れた状態は詳しく書いてなかった。
さすがに収納された状態から、鑑定はできないみたい。
分からないからと、一旦取り出して見る事にする。
こけしもどきの女神は、収納した物を覚えているから出し入れは自由に出来ると言っていた。
出て来たのは壊れた寸胴鍋。
多分、炊き出しに使っていたのだろう。
給食の配膳で用意された鍋の何倍も大きな物だった。
だが、完全に底が抜けていた。
鑑定でも、『現在:利用不可』『未来:修理不可・再利用可能』と出る。
水をためるだけでも、全く使えそうになかった。
他にも、色々と探して取り出したが、全部無理だった。
ちょっと泣きそう。
何故、こんなものを物置に入れておくのよ。
さっさと処分すれば良いのに……。
日本での生活だけだったら、そう思った壊れたたくさんの物。
でも、ここの人達は未来表示にある様に、修理に出したり、素材として新しくしたりする。
いずれ使えると、たまって行ったんだろう。
ちなみに、一度鑑定した物は収納してからも、詳しい状態が分かる様になっていた。
この機能が分かっただけ、良しとする事にする。
こけしもどきな女神に出会って二日。
まだ全然、能力の検証が出来ていないからね。
私の持っているスキルで、今使えそうなのは大工かな。
金物関係はないから、修理は難しいだろう。
まぁ、簡単に修理出来る物は直して使うよね。
桶とか樽とかは残念ながらなかった。
じゃあ、作るとなると……無理だよね。
なんせ、道具も出てきたのが錆びたノミ一本だけだった。
何かないかと収納の表示を見ていると、木材があった。
昨夜こけしもどきとの話中に、試しに収納した物。
難しいかもしれないけど、木に穴を掘ったら水が溜められるよね。
私は、手頃な木材を取り出した。
誰かが切り出していたのか、平坦な方を底と決める。
木槌はないので、これも固い木材で代用。
数日、水が溜められたらそれでいい。
かなり乱暴なやり方だけど、無いものは仕方ない。
私だって、役に立ちたいもの。
その思いで錆びたノミを木に打ち付けた。
【スキル、大工が発動しました】
目の端に、そう表示が浮かんだ。
錆びたノミはそうとは思えないような働きをし、固い木材も立派な木槌代わりになった。
いや、それ以上だった。
最初目安で打ち込んだ数箇所を、いざ強く打ち込んだ。
すると、まるで掘られる場所が分かっているみたいに、中身がくり抜かれた。
底が突き抜ける事もないなんて、なんて便利なんだろう。
スキルって凄いよね。
私の魔法は、残念性能だけど。
その後、くり抜いた中身部分を収納しようとした。
「…………え?入らないよ?」
何度も繰り返し、気合を入れてみたが入らない。
昨日昼間でも、手のひらに乗せた木の実は一つだけ入れられたのに。
試しにこれから使う、外側部分を入れようとしたがだめだった。
「もしかして、分かれたら無理って事?」
これ、壊れた物を修理したら入らないとかありえるよね。
「これでどうだ。入れ!」
ちょっと意地になってしまった。
くり抜いた部分を戻して、両方一緒に入れると少しの抵抗を感じたが入った。
「やった!入った」
木屑はいいのか、と思ったが多少の変化ならいいのかもしれない。
「なぁカーリ、何やってんだ?」
ベンの声で、検証は一旦ストップする事にした。
ベンに収納から出す所を見られないようにしながら、力作を取り出す。
「どう?これなら水溜められないかな、と思って作ってみたの」
「カーリ、すげーな。俺汲んだ後どうするんだと思って、めちゃくちゃ慎重に水持ってきたんだぞ」
それで随分、時間がかかったんだ。
「今度は多少零しても平気だよな。行ってくる」
手持ちの水を全て入れ、ベンは颯爽と再度水を汲みに行った。
その後何気なく、くり抜いた中身部分を再度収納すると、今度はするりと入った。
「一体、条件は何?」
ほんと、便利なんだか不便なんだか分からないよ……。
でも制約があるなら、それも込みで使いこなすしかないよね、と思いなおした。
クルトさんは、周囲の警戒の為。
何かあって岩壁に追い詰められた時、どう動けるかの地形を見ているとさっき言っていた。
私とベンは邪魔をしない為に、ただもたれていた。
その無言の時間で私は、レーナとヨハンが無事に洞までたどり着けるようにと願った。
二人を心配する時間が、少しだけ過ぎていった。
「さて、こうしていても仕方ないな。俺は獣を狩ってくる。お前らは水汲みとまき拾いと、休憩するそこらを平坦にしておけ。あまり遠くに行くなよ。声が聞こえる所に俺もいるからな。何かあったら大声で知らせろ」
そう言い置いて、クルトさんは狩りに向かった。
「途中で、レーナとヨハンが引き返してくるかもしれないよな。多めに用意しようぜ。カーリ、水が入る物何か持ってる?」
私は斜め掛けしていたカバンから、コップ二つと小さな小鍋を出した。
「小さっ、もう少し大きかったら良かったのにな」
「一人用だからね。贅沢言わない。そういうベンは何か持っているの?」
無言で見せた物は、大きなコップ一つだけだった。
「ベン、人の事言えないじゃない」
「……仕方ないから、何往復もするしかないよな」
私達はまず分担を決め、ベンが水汲みをする。
私がこの辺りの石を除け平坦にし、時間が余ったら手頃なまきを拾い集める事にした。
私は手早く、場所を平坦にしていく。
そして教会の物置から収納した中から、何か水を溜められる物はないかと漁った。
殆どが物の前に『壊れた』と付いている。
でも、壊れた状態は詳しく書いてなかった。
さすがに収納された状態から、鑑定はできないみたい。
分からないからと、一旦取り出して見る事にする。
こけしもどきの女神は、収納した物を覚えているから出し入れは自由に出来ると言っていた。
出て来たのは壊れた寸胴鍋。
多分、炊き出しに使っていたのだろう。
給食の配膳で用意された鍋の何倍も大きな物だった。
だが、完全に底が抜けていた。
鑑定でも、『現在:利用不可』『未来:修理不可・再利用可能』と出る。
水をためるだけでも、全く使えそうになかった。
他にも、色々と探して取り出したが、全部無理だった。
ちょっと泣きそう。
何故、こんなものを物置に入れておくのよ。
さっさと処分すれば良いのに……。
日本での生活だけだったら、そう思った壊れたたくさんの物。
でも、ここの人達は未来表示にある様に、修理に出したり、素材として新しくしたりする。
いずれ使えると、たまって行ったんだろう。
ちなみに、一度鑑定した物は収納してからも、詳しい状態が分かる様になっていた。
この機能が分かっただけ、良しとする事にする。
こけしもどきな女神に出会って二日。
まだ全然、能力の検証が出来ていないからね。
私の持っているスキルで、今使えそうなのは大工かな。
金物関係はないから、修理は難しいだろう。
まぁ、簡単に修理出来る物は直して使うよね。
桶とか樽とかは残念ながらなかった。
じゃあ、作るとなると……無理だよね。
なんせ、道具も出てきたのが錆びたノミ一本だけだった。
何かないかと収納の表示を見ていると、木材があった。
昨夜こけしもどきとの話中に、試しに収納した物。
難しいかもしれないけど、木に穴を掘ったら水が溜められるよね。
私は、手頃な木材を取り出した。
誰かが切り出していたのか、平坦な方を底と決める。
木槌はないので、これも固い木材で代用。
数日、水が溜められたらそれでいい。
かなり乱暴なやり方だけど、無いものは仕方ない。
私だって、役に立ちたいもの。
その思いで錆びたノミを木に打ち付けた。
【スキル、大工が発動しました】
目の端に、そう表示が浮かんだ。
錆びたノミはそうとは思えないような働きをし、固い木材も立派な木槌代わりになった。
いや、それ以上だった。
最初目安で打ち込んだ数箇所を、いざ強く打ち込んだ。
すると、まるで掘られる場所が分かっているみたいに、中身がくり抜かれた。
底が突き抜ける事もないなんて、なんて便利なんだろう。
スキルって凄いよね。
私の魔法は、残念性能だけど。
その後、くり抜いた中身部分を収納しようとした。
「…………え?入らないよ?」
何度も繰り返し、気合を入れてみたが入らない。
昨日昼間でも、手のひらに乗せた木の実は一つだけ入れられたのに。
試しにこれから使う、外側部分を入れようとしたがだめだった。
「もしかして、分かれたら無理って事?」
これ、壊れた物を修理したら入らないとかありえるよね。
「これでどうだ。入れ!」
ちょっと意地になってしまった。
くり抜いた部分を戻して、両方一緒に入れると少しの抵抗を感じたが入った。
「やった!入った」
木屑はいいのか、と思ったが多少の変化ならいいのかもしれない。
「なぁカーリ、何やってんだ?」
ベンの声で、検証は一旦ストップする事にした。
ベンに収納から出す所を見られないようにしながら、力作を取り出す。
「どう?これなら水溜められないかな、と思って作ってみたの」
「カーリ、すげーな。俺汲んだ後どうするんだと思って、めちゃくちゃ慎重に水持ってきたんだぞ」
それで随分、時間がかかったんだ。
「今度は多少零しても平気だよな。行ってくる」
手持ちの水を全て入れ、ベンは颯爽と再度水を汲みに行った。
その後何気なく、くり抜いた中身部分を再度収納すると、今度はするりと入った。
「一体、条件は何?」
ほんと、便利なんだか不便なんだか分からないよ……。
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