33 / 35
林の中での攻防戦
9 罪の実
しおりを挟む
固い渋い実が私の女神から貰ったスキルが発動し、甘い実にクラスチェンジした。
「これ、どうする?」
「私、上手く説明出来る気がしない」
「俺も……」
とぼとぼとベンと一緒に洞へ帰る途中、私達は話しあった。
ベンは、この実について詳しくない。
私はベンのいる所で、しっかりと鑑定を使おうかどうか迷っていた。
こっそり唱えてみたが、バグっているのか表記が変だったからだ。
伏せられた文字が、所々散りばめられている。
他にも『罪の』とか『罰』とか『悲しみの』って言葉が踊っていた。
普通の果実の説明に、そんな物つかないよね。
「もしかして、偶然熟した実が落ちてきただけ……とか」
「カーリ、それ本気で言ってる?」
「ほら、林の慈悲で湧いたと思われる水のせいとか…………」
ベンの冷たい視線が、痛いです。
これ二回目だものね、無理だよね。
一回目だって、状況が状況だったから詳しく話す事がなかっただけ。
すぐに林自体が、不思議な現象を起こしたから。
「とりあえず、水も汲んだからクルトさんとヨハンに検証してもらおう。カーリの言う水のせいなら、ボコボコ落ちてきて危ないからな」
言葉に全く力が入っていないベンは、そう思ってはいない言葉を口にした。
洞に戻り、実を渡すとヨハンとクルトさんは、全く別の反応を示した。
「凄いな、そんな事があるなんて」
素直に感心するヨハンは、林ってまだまだ不思議がありそうだよなと納得していた。
「厄介な……」
苦々しげに呟き、顔を歪めるクルトさん。
この林に来て数日、よくクルトさんはこの表情を浮かべる。
クルトさんに水を確認してもらったが、こちらは問題なし。
問題なのは、果実の方。
前回も今回も、簡単に実が弾けた。
クルトさんは慎重に、二箇所ナイフで穴を開けた。
「これは多分だが、落下の速度に弱いのかもしれないな」
味見用にと、少しだけコップに注いで一口飲んだクルトさんは、また苦い顔をした。
好みの味じゃ、なかったのかな?
「はぁ~~~、厄介な」
顔に手を当て、盛大についたため息の後、一つの実の全て果汁をヨハンに飲むように指示した。
残り一つを三人で分けたんだけど、何故この分け方なんだろう。
疑問に思いながらも、分けられた甘い果汁を飲む。
甘味最高~、身も心も力が湧くよね。
私はほくほくしながら、嬉しそうに飲んでいた。
しかし他の三人はというと、顔を引きつらせている。
「どうしたの?三人とも、甘いの苦手だったとか」
男の人は、甘い物が苦手な人も多い。
「……いや、別に苦手ではないが、これは……なぁ」
この味が、駄目なんだろうか。
「カーリは何とも思わないのか?」
「ん?凄く美味しいよね。生き返る~って気になるけど……どうかしたの?」
何故皆、残念そうな顔をするんだろう。
久々の甘味に、幸せ一杯な私は気づかなかった。
こんな女神のスキルで、変わった成り方をした実が、普通の実である筈がなかったのだ。
鑑定もバグではなく、私の力不足か女神の意志か。
本当に知らなければならない事がなんなのか、私は分かっていなかった。
ただ、クルトさんが声にならない程小さく呟いた「罪の実」という言葉だけが、ハッキリ意識に残った。
「これ、どうする?」
「私、上手く説明出来る気がしない」
「俺も……」
とぼとぼとベンと一緒に洞へ帰る途中、私達は話しあった。
ベンは、この実について詳しくない。
私はベンのいる所で、しっかりと鑑定を使おうかどうか迷っていた。
こっそり唱えてみたが、バグっているのか表記が変だったからだ。
伏せられた文字が、所々散りばめられている。
他にも『罪の』とか『罰』とか『悲しみの』って言葉が踊っていた。
普通の果実の説明に、そんな物つかないよね。
「もしかして、偶然熟した実が落ちてきただけ……とか」
「カーリ、それ本気で言ってる?」
「ほら、林の慈悲で湧いたと思われる水のせいとか…………」
ベンの冷たい視線が、痛いです。
これ二回目だものね、無理だよね。
一回目だって、状況が状況だったから詳しく話す事がなかっただけ。
すぐに林自体が、不思議な現象を起こしたから。
「とりあえず、水も汲んだからクルトさんとヨハンに検証してもらおう。カーリの言う水のせいなら、ボコボコ落ちてきて危ないからな」
言葉に全く力が入っていないベンは、そう思ってはいない言葉を口にした。
洞に戻り、実を渡すとヨハンとクルトさんは、全く別の反応を示した。
「凄いな、そんな事があるなんて」
素直に感心するヨハンは、林ってまだまだ不思議がありそうだよなと納得していた。
「厄介な……」
苦々しげに呟き、顔を歪めるクルトさん。
この林に来て数日、よくクルトさんはこの表情を浮かべる。
クルトさんに水を確認してもらったが、こちらは問題なし。
問題なのは、果実の方。
前回も今回も、簡単に実が弾けた。
クルトさんは慎重に、二箇所ナイフで穴を開けた。
「これは多分だが、落下の速度に弱いのかもしれないな」
味見用にと、少しだけコップに注いで一口飲んだクルトさんは、また苦い顔をした。
好みの味じゃ、なかったのかな?
「はぁ~~~、厄介な」
顔に手を当て、盛大についたため息の後、一つの実の全て果汁をヨハンに飲むように指示した。
残り一つを三人で分けたんだけど、何故この分け方なんだろう。
疑問に思いながらも、分けられた甘い果汁を飲む。
甘味最高~、身も心も力が湧くよね。
私はほくほくしながら、嬉しそうに飲んでいた。
しかし他の三人はというと、顔を引きつらせている。
「どうしたの?三人とも、甘いの苦手だったとか」
男の人は、甘い物が苦手な人も多い。
「……いや、別に苦手ではないが、これは……なぁ」
この味が、駄目なんだろうか。
「カーリは何とも思わないのか?」
「ん?凄く美味しいよね。生き返る~って気になるけど……どうかしたの?」
何故皆、残念そうな顔をするんだろう。
久々の甘味に、幸せ一杯な私は気づかなかった。
こんな女神のスキルで、変わった成り方をした実が、普通の実である筈がなかったのだ。
鑑定もバグではなく、私の力不足か女神の意志か。
本当に知らなければならない事がなんなのか、私は分かっていなかった。
ただ、クルトさんが声にならない程小さく呟いた「罪の実」という言葉だけが、ハッキリ意識に残った。
0
あなたにおすすめの小説
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる