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メリアドール嬢との会話
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ルークスはローラント地方に戻っていた。
「ルークス様」
「グレバトスか何か用か?」
「数日後にメリアドール嬢がこちらに来るようです」
「何?用件はわかるか?」
「そ、それがルークス様と婚姻を結びたいと………」
「……それはメリアドール本人がか?」
「先触れの手紙を読む限りはそのように受けとれます」
シーラの姉であるメリアドール嬢とは、ここ数年は会って無いはずだ。しかし、いきなり婚姻とは……。まぁ、ともかく会って見よう。メリアドール嬢となら建設的な意見交換ができそうだ。結局その後は何事もなく当日になった。
「久しぶりね。ルークス、学園の卒業式以来かしら」
「お久しぶりです。メリアドール嬢。そうですねメリアドール嬢が卒業されてからは会ってないですね」
お互いに学園に通っていれば会うことはあるだろうけど、片方が卒業してしまえば交流の機会などそうそうない。
「ん?……あのメリアドール嬢……1人で来たので?」
厳密に言えば護衛と侍女がいる。しかし、それだけだ。
「ええ、そうよ。私の家族はあなたとの婚姻には反対だもの。まぁシーラ以外は放任に近いけどね」
まぁシーラは賛成はしないな。
「まず、私のことを高く評価していただきありがとうございます。しかし、なぜ私と婚姻となったのです?」
「『個人の争いよりも国家が疲弊する方を憂慮する』というセリフはあなたの発言でしょ?」
「それは確かに私の発言ですが、まさかその発言に感動してですか?」
「そのまさかよ。私メリアドールはルークスに婚姻を申し込みに来たのよ」
「あの、さすがに発言ひとつで婚姻は極端なのでは?」
「やっぱり、ルークスあなた変わったわね。昔のあなただったら相手から婚姻を望まれたら調子に乗っていたはずよ」
「……昔の性格は否定できませんけど、やはり言葉だけで婚姻は軽率では?」
「今のあなたなら十分だと考えているのよ。さすがに何も調べてないわけじゃないわよ。あなたがローラント地方に着任してからの日々ぐらいは聞いたわ」
なるほど。特にローラント地方に着任してからは何も隠し事はしていない。行動したことは全て筒抜けだろう。
「………メリアドール嬢の考えはわかりました。しかし、タイミングが悪かったですね」
「?……どういうこと?」
「つい先日にシルヴィア王女と正式に婚約しました。ヴェズーバ国の第三王女シルヴィアとです」
「………」
「さすがに他国とはいえ何の理由もなく王女を側室にはできません。タイミング的にもシルヴィア王女の方がアプローチが早かった。ここでメリアドール嬢からの婚約は側室候補にするしかない状態です」
「私は側室でもかまわないわよ」
「………メリアドール嬢、……あなた自身は本心でしょうが両親とシーラが反対しませんか?」
「…そこを突かれると弱いわね。しかし、それでも説得してみせるわ」
メリアドール嬢は長女らしく、一見おとなしいタイプの女性だ。しかし、芯は相当に強く、一度決心したことはやり遂げる強さを持っている。仮に以前のルークスが相手でも………いや、そしたらルークスはメリアドールの手のひらの上で踊らされるだけだろう。そこまでの包容力はある女性だ。
「そこまで思われていることは光栄ですね。……とはいえ、そちらの家庭のゴタゴタは巻き込まれるのは遠慮したいですね」
ルークスは本心からそう思った。
「ルークス様」
「グレバトスか何か用か?」
「数日後にメリアドール嬢がこちらに来るようです」
「何?用件はわかるか?」
「そ、それがルークス様と婚姻を結びたいと………」
「……それはメリアドール本人がか?」
「先触れの手紙を読む限りはそのように受けとれます」
シーラの姉であるメリアドール嬢とは、ここ数年は会って無いはずだ。しかし、いきなり婚姻とは……。まぁ、ともかく会って見よう。メリアドール嬢となら建設的な意見交換ができそうだ。結局その後は何事もなく当日になった。
「久しぶりね。ルークス、学園の卒業式以来かしら」
「お久しぶりです。メリアドール嬢。そうですねメリアドール嬢が卒業されてからは会ってないですね」
お互いに学園に通っていれば会うことはあるだろうけど、片方が卒業してしまえば交流の機会などそうそうない。
「ん?……あのメリアドール嬢……1人で来たので?」
厳密に言えば護衛と侍女がいる。しかし、それだけだ。
「ええ、そうよ。私の家族はあなたとの婚姻には反対だもの。まぁシーラ以外は放任に近いけどね」
まぁシーラは賛成はしないな。
「まず、私のことを高く評価していただきありがとうございます。しかし、なぜ私と婚姻となったのです?」
「『個人の争いよりも国家が疲弊する方を憂慮する』というセリフはあなたの発言でしょ?」
「それは確かに私の発言ですが、まさかその発言に感動してですか?」
「そのまさかよ。私メリアドールはルークスに婚姻を申し込みに来たのよ」
「あの、さすがに発言ひとつで婚姻は極端なのでは?」
「やっぱり、ルークスあなた変わったわね。昔のあなただったら相手から婚姻を望まれたら調子に乗っていたはずよ」
「……昔の性格は否定できませんけど、やはり言葉だけで婚姻は軽率では?」
「今のあなたなら十分だと考えているのよ。さすがに何も調べてないわけじゃないわよ。あなたがローラント地方に着任してからの日々ぐらいは聞いたわ」
なるほど。特にローラント地方に着任してからは何も隠し事はしていない。行動したことは全て筒抜けだろう。
「………メリアドール嬢の考えはわかりました。しかし、タイミングが悪かったですね」
「?……どういうこと?」
「つい先日にシルヴィア王女と正式に婚約しました。ヴェズーバ国の第三王女シルヴィアとです」
「………」
「さすがに他国とはいえ何の理由もなく王女を側室にはできません。タイミング的にもシルヴィア王女の方がアプローチが早かった。ここでメリアドール嬢からの婚約は側室候補にするしかない状態です」
「私は側室でもかまわないわよ」
「………メリアドール嬢、……あなた自身は本心でしょうが両親とシーラが反対しませんか?」
「…そこを突かれると弱いわね。しかし、それでも説得してみせるわ」
メリアドール嬢は長女らしく、一見おとなしいタイプの女性だ。しかし、芯は相当に強く、一度決心したことはやり遂げる強さを持っている。仮に以前のルークスが相手でも………いや、そしたらルークスはメリアドールの手のひらの上で踊らされるだけだろう。そこまでの包容力はある女性だ。
「そこまで思われていることは光栄ですね。……とはいえ、そちらの家庭のゴタゴタは巻き込まれるのは遠慮したいですね」
ルークスは本心からそう思った。
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