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⑬22時の来訪
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コンコン とドアをノックする音が聞こえる。ロティルは その音でハッと目を覚ました。窓の外は、濃い夕焼けと薄い夜空が混じった紫色に染まりかけている。
「うわ⋯⋯ かなり寝ちゃった」
時間の経過に驚きつつ、寝起きの身体を奮い立たせてドアの方に応対へと急ぐ。
「はい、と⋯⋯ あ⋯⋯っ お疲れ。朝以来だね⋯⋯」
「まだ寝てました? ポーラが夕飯は食べろって」
ドアを開けるとノックの主は診察終了後で白衣を腕に抱えたカヤミだった。実は帰りを待っていてくれた⋯⋯それを思い出し、ロティルは照れて僅かに視線を下げる。
会った初日の夕方と同じ状況、同じ姿。しかし、態度は まるで違う。ロティルが昼食を抜いた事をポーラに何か言われたようだった。
「悪い、仕事のあとなのに起こしに来てもらっちゃって⋯⋯」
「別に。部屋に行くついでなので。夜間に採取して疲れてたんでしょう。寝れる時に寝た方がいいですよ」
「ん⋯⋯」
眼鏡を取りながら、ロティルのことを少しだけ気遣う。その時、ほのかに香る匂いを感じた様子のカヤミ。
「なにか⋯⋯いい香りがする」
「あぁ、旅先で買った石けんの匂いかな。風呂場に置いてあるから、もし良かったら使って」
「石けんの⋯⋯へぇ⋯⋯ あとで使わせてもらいます」
「うん。じゃあ、すぐ下へ降りるよ。ありがとう」
カヤミが背を向け行こうとしたのが見えたので、ロティルはドアを閉めようとする。
「待って下さい!」
「え!?」
聞こえてきた制止を頼む声。手を止めると、再び同じ位置へとカヤミが戻って来た。何事かと慌ててロティルも問いかける。
「ど どうしたの?」
「あの、 あとで話があって⋯⋯時間、もらえますか?」
「⋯⋯!?」
途切れ途切れの言葉で遠慮がちに用件を伝えられた。ロティルはカヤミの行動に驚き、心配し、また驚かされ⋯⋯と気持ちが忙しない。
「あ うん⋯⋯全然、大丈夫だよ」
「じゃあ⋯⋯22時あたりにまた来ます」
了承され、カヤミは頭を下げると、今度は すんなり部屋へと戻り、扉の閉める音も確認した。突然の出来事は静かに収束したが⋯⋯
話って何の?
22時に また来るって⋯⋯ カヤミが 俺の部屋に
この約束を非常に喜んでいる自分をひしひしと感じる。詳細が不明なので何を言われるのか分からない、そんな不安感も同時にあるが。
久々に4人で食卓を囲む夕食。カヤミとは数回会話を交わし、特に変わった様子は何もなかった。食卓での談話、シャワーに行く等、各々の時間が過ぎていく。
ロティルは21時過ぎに部屋へ戻って来ると、22時まで荷物の整理をすることにした。しかし、集中出来ず、ちっとも捗らない。約束の時間が迫り、浮足立って気もそぞろ⋯⋯今度はソワソワが止まらなくなる。
ジャスミンの香りの落ち着き効果とやらは今は全く効いてなさそう
そろそろ⋯⋯ いや もう時間だ!
「うわ⋯⋯ かなり寝ちゃった」
時間の経過に驚きつつ、寝起きの身体を奮い立たせてドアの方に応対へと急ぐ。
「はい、と⋯⋯ あ⋯⋯っ お疲れ。朝以来だね⋯⋯」
「まだ寝てました? ポーラが夕飯は食べろって」
ドアを開けるとノックの主は診察終了後で白衣を腕に抱えたカヤミだった。実は帰りを待っていてくれた⋯⋯それを思い出し、ロティルは照れて僅かに視線を下げる。
会った初日の夕方と同じ状況、同じ姿。しかし、態度は まるで違う。ロティルが昼食を抜いた事をポーラに何か言われたようだった。
「悪い、仕事のあとなのに起こしに来てもらっちゃって⋯⋯」
「別に。部屋に行くついでなので。夜間に採取して疲れてたんでしょう。寝れる時に寝た方がいいですよ」
「ん⋯⋯」
眼鏡を取りながら、ロティルのことを少しだけ気遣う。その時、ほのかに香る匂いを感じた様子のカヤミ。
「なにか⋯⋯いい香りがする」
「あぁ、旅先で買った石けんの匂いかな。風呂場に置いてあるから、もし良かったら使って」
「石けんの⋯⋯へぇ⋯⋯ あとで使わせてもらいます」
「うん。じゃあ、すぐ下へ降りるよ。ありがとう」
カヤミが背を向け行こうとしたのが見えたので、ロティルはドアを閉めようとする。
「待って下さい!」
「え!?」
聞こえてきた制止を頼む声。手を止めると、再び同じ位置へとカヤミが戻って来た。何事かと慌ててロティルも問いかける。
「ど どうしたの?」
「あの、 あとで話があって⋯⋯時間、もらえますか?」
「⋯⋯!?」
途切れ途切れの言葉で遠慮がちに用件を伝えられた。ロティルはカヤミの行動に驚き、心配し、また驚かされ⋯⋯と気持ちが忙しない。
「あ うん⋯⋯全然、大丈夫だよ」
「じゃあ⋯⋯22時あたりにまた来ます」
了承され、カヤミは頭を下げると、今度は すんなり部屋へと戻り、扉の閉める音も確認した。突然の出来事は静かに収束したが⋯⋯
話って何の?
22時に また来るって⋯⋯ カヤミが 俺の部屋に
この約束を非常に喜んでいる自分をひしひしと感じる。詳細が不明なので何を言われるのか分からない、そんな不安感も同時にあるが。
久々に4人で食卓を囲む夕食。カヤミとは数回会話を交わし、特に変わった様子は何もなかった。食卓での談話、シャワーに行く等、各々の時間が過ぎていく。
ロティルは21時過ぎに部屋へ戻って来ると、22時まで荷物の整理をすることにした。しかし、集中出来ず、ちっとも捗らない。約束の時間が迫り、浮足立って気もそぞろ⋯⋯今度はソワソワが止まらなくなる。
ジャスミンの香りの落ち着き効果とやらは今は全く効いてなさそう
そろそろ⋯⋯ いや もう時間だ!
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