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第四章 レヴィの想い

<1>アラン様と僕1 ※レヴィ視点

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アラン様と初めて出会ったのは王宮の庭園だった。両親とはぐれてしまい泣いていた僕を見つけて、両親のもとへ連れて行ってくれたのだ。

このままこの庭で誰にも見つけられずに死んでしまうのではないかと、不安と恐怖で泣いている小さな子どもに、アラン様は美しい紅の目を細めて優しく笑いかけて言ってくれた。

「俺がいるからもう大丈夫だ」
あの笑顔を見た一瞬で、一目惚れしていないのかもしれない。

その日、第五王子に多大なご迷惑をかけたということで両親にはこっぴどく叱られた。夕食抜きの刑に処されたが、そんなことはまるで気にならないぐらい、頭の中はアラン様のことでいっぱいだった。

どうしたらあの方にもう一度会えるのだろう。
どうしたら仲良くなることができるのだろう。

僕の頭も心もそのことでいっぱいになっていた。大勢の姉の中で育ったせいか、泣き虫で外で遊ぶより家の中で人形遊びをする方が好きな子どもだった僕は、翌日から一変した。

父にアラン様が「ベリンガム帝国至上、もっとも若くして騎士団長に任命されたお方」という話を聞き、嫌いだった剣術や体術、魔法実践の時間を倍以上に増やしてもらった。

さまざまな戦術の本を読み、政治の知識を得るために父の読む新聞等もすべて目を通した。そうして半年後、再び訪れた王城でアラン王子に「弟子にしてほしい」と直談判したのだ。

大慌てする両親を前に、アラン様は優しい笑顔で俺の願いを叶えてくれた。
そうして僕はアラン様と一緒にいられる権利を勝ち得たのだ。

だがアラン様の弟子は一人ではなかった。僕と歳の近いジェームズ王子、ジュード王子、その他にも数人の高位貴族の子どもたちがアラン様の弟子として稽古をつけてもらったりしていたのだ。

出遅れたことが悔しくて、自分よりすでに親密そうに見える奴らが許せなくて、僕は誰ともあまりつるまずに、ひたすら稽古に励んでアラン様だけを見ていた。

他の奴らからは「愛想がない」「嫌味な奴」と言われることもあったが、気にしなかった。アラン様だけを見ていたいし、アラン様にも自分だけを見ていてほしい。

でもアラン様はそんな俺にいつも困ったように笑って「みんなと仲良くしな」と諭すように言っていた。

アラン様のおっしゃることには全て従うつもりだったが、それだけは無理な話で。
頑なに頷かない俺にいつも最後は「仕方ないなレヴィは」と両頬を軽く引っ張られる。触れてくださることが嬉しくて、この手が触れるものが僕だけならいいのにといつも思っていた。

だがそんな僕の幼稚な承認欲求のせいで、それから2年後、アラン様は命を落とすことになったのだ。
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