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佐藤とゲート探索

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「ああくそっ! ムカつくな! 石川の奴!!!」

 佐藤は八つ当たりとばかりに雑魚敵の生き血を啜っている。

 佐藤の得た職業は更に前世で【戦士】前世は【勇者】、そして今世は【吸血鬼】だ。

 しかし、【勇者】とは名ばかりの脳筋野郎だったんだがな...。

 回復魔法はほぼ一切使わずに吸血鬼のスキルで攻撃しながら回復をする脳筋スタイルが彼(彼女)の持ち味だ。

 ちなみに戦士時代は【奇跡の剣】とか言う剣を使って回復していたし、【神秘の鎧】とか言う自動回復する鎧や【生命の指輪】などの装飾品をたくさん装備してとにかく回復はアイテムやスキル頼みだったのを今でも覚えている。

「お前もそう思うだろ!? 高坂!」

 しかし、なにかと彼とは気が合う事が多い。

 ただし前世での彼のアホさ加減だけは許せたものじゃないがな...。

 それを踏まえても彼(彼女)はいい奴でもある。

 なんだかんだで人情に熱いし、一度友達だと認めた相手にはかなり良くしてくれる。

 そんな彼の言葉に俺は賛同した。

「ああ、佐藤の言う通りだ。全く...石川のやつはなにを考えているんだ?」

 と、ここ話を合わせておく。

 彼はその口車に乗せられて勝手に自分の士気を上げてくれるのだ。

「そうだよな!? 全く!!! 石川の野郎! 作戦が終わったら1発とっちめてやるからな!」

 そう言いながら雑魚敵を薙ぎ倒し、ボス敵をも簡単に討伐してしまった。

「あっ!? 勢いでついやっちまった!」

「おいおい、またやり直しじゃないか。何回同じミスをすればいいんだ? 佐藤」

「悪い悪い。次はミスらないようにするからよ」

 この図太さは直してほしい所だが、これも個性と言えるだろう。

 俺はため息を吐きながらもう一度高難易度のゲートを探して攻略し直すのだった。
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