染まらない愛

謎希

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恋を例えるなら苺

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 私はあの出来事が終わってから凄いいろんな視線を学校の至る所から感じるようになった。
この日、太陽がすごく強く私は帽子ぼうしかぶって屋上に向かった。
類さんがサングラスをつけて屋上のベンチに座ってアイスティーを飲んでいた。
「暑いね、おっ。来たね。今注目されてる女子高生真白ちゃんの登場だね。」
私はおどろいた。類さんにサングラスだ。意外な組み合わせ。
「サングラスかけるんですね、類さんって。」
その言葉で類さんは笑った。
「そりゃ、僕だってサングラスつけるよ。これって便利だよね。」
紫色の髪と黄色のメッシュにサングラスが映えていた。
そうやって話しているが、中々快斗が屋上に来ない。ここに集まるのは自然なことになっていた。
「ん?来ないな。あいつ、君に決めてからあまり女子と話してるイメージないんだが。」
そうやって話しているとうわさ通り、快斗がきた。
「おい、助けてくれ。男子たちがうるさいんだよ。」
その声を聞いて、類はあごに手を当てた。
(僕がデートで女子をエスコートする方法を初心者の快斗に教えてくれ。僕が言っておいたんだけど、うざがられてるんだ。そうしたら、ダメって言ったのに。)
「そうなんだ。後で僕も言っておくよ。」
あと、もう少しでバレンタインだよなと考えて真白ちゃんにメールを送っておいた。
『ねえ、チョコってどうする。もし、まだ作って無いんだったら話があるんだけど。』授業の5分前のチャイムが鳴り始めた。
「みんなチャイムが鳴り始めたよ。そろそろ戻らないとね。」と類さんが言った。私たちは急いで教室に向かった。
類さんの場合。
 僕はみんなが降りていくのを見てから、持ってたサングラスに息を吹きかけた。
「ふぅ、二人の影武者かげむしゃのこの僕今日も頑張らないとね。」と空に向かって腕を突き伸ばした。
僕は教室に降りて、昔から仲のいい中宮潤香なかみやうるかが話しかけてきた。
「ねえねえ、今二人ってどう言う感じ。私の手助けいる。」と言ってきた。
「そうだね、必要になったら声をかけるよ。今ブームになっているものとかありそう。」潤香はそう言うものに敏感びんかんだ。僕はブームなものを潤香から聞いた。本当に助かる。
僕は授業を受けて、入ってる部活もないからいつも通り屋上のテラスに勉強しに行った。
行ってみると、先客がいたみたいだった。何も飲まずに、勉強しているみたいで汗を買いっているみたいだったから僕はその子の分まで飲み物を買って持っていった。
「勉強お疲れ様。これ君の分のオレンジジュース。僕の選択せんたくだったけど、大丈夫かな。」
その声に驚いて、
「あ、お疲れ様です。オレンジシュース大好きなので。」と言って、真白ちゃんはオレンジジュースを受け取ってくれた。
「昼のメール見てくれたかな。」と言って聞いてみた。それを聞いて、今気づいたのか急いでメールをチェックした。
「ごめんなさい、見れてなくて。」と律儀りちぎに謝ってくれた。
いつも本当に思うことは快斗には真白ちゃんって勿体無もったいないなと思っていることだ。
僕は真白ちゃんのひとみを見つめて、クスッと笑った。
「チョコ作りのことなんだけどどうかな。」
「いつも通り作ってみようかなって思うんだけど。今回はいつも気になっているものに挑戦ちょうせんしようと思っていて、父と母がケーキなどの職人なんで作り方を聞いてやってみようと思うものがあって。」
僕はその考えを聞いて、瞳を細めた。僕は昔このような前向きな少女を知っているような気がして思い出そうとした。
「どうしたんですか。」僕の考えている時の顔が気分が悪そうに見えたのかそう聞かれた。
「ううん、大丈夫。ちょっと僕の友達でチョコ作り上手い人と一緒につくろうと言おうと思ったけど、そんな凄い人のむすめならいらないかな。って思って。」
その言葉に真白ちゃんは強く首を振った。
「そんなことないです。一緒に人と作れることは好きなのでいいですよ。」
人のことを悪く思わないその心、そういう声かけがあるなら快く了承りょうしょうする人なんだなと思った。
「おっと、本当の目的を忘れていたよ。ここに宿題をしにきたんだった。となりいいかな。」
「はい、いいですよ。」
「ありがとうね。話で時間とっちゃった分、わからないところあったら教えるからね。」
僕は自分に買った、天然水を飲みながら自分の宿題をやっていた。
終わって、今日の予定がないか確認したが、なかったからそのまま真白ちゃんの宿題を教えることにした。
「あの、ここなんですけど。」
僕は聞かれたから教えようとしたら、いつの間にか快斗が真白ちゃんの後ろにいて腕で真白ちゃんを包み込むようにしてその腕の先端、指先で公式を指さした。
「この公式を使うとやりやすいよ。」
その行動に真白ちゃん自身も驚いているようだった。
「あ、ありがとう。」真白ちゃんも顔が真っ赤になっていた。
僕は見ていると微笑ほほえましくなって笑ってしまった。
「おい、なんで笑ってんだよ。」と快斗が僕にきく。
「そんなのお前の成長を笑っているんだよ。」
「笑うな。」とまたガヤガヤしていると屋上の扉がわかりやすく開いた。
「穂村先輩。今日部活あるんですけど。大役がいなくて困っているんで、早く部室に来てくれませんか。大体真白言ったよな。明日部活あるからって、穂村先輩見かけた時点で言ってくれよな。」
大和一也くん、真白ちゃんの弟だ。彼はからかうかいがあるんだけど、頑張るって点では人一倍すごいからその点では一眼置いている。
そうしたら快斗から僕をからかう声が聞こえた。
「おい、サボりぐせまだ治ってないのかよ。いい加減に直せよ。」
僕は痛いところを久しぶりに快斗に突かれた。
僕はそれには反論もできなかった。
「ぐうの音も出ないとはこのことだな。」
「仕方ない、練習に行くか。じゃあ、真白。明日よろしくね。」と言った。このことは快斗にも一也にも内緒だ。
 その週末に真白ちゃんと潤香さんと約束していて、お互い材料を持って学校近くのバス停の前で待ち合わせと言ったのだ。
 二人は初めてなのに、趣味しゅみが同じだったのかすぐに話が弾んでいた。
チョコ作りは安全に何事もなく進んだ。僕の家のキッチンが広くて助かった。
もう少し彼女の恋に苺のように酸っぱく、時々甘いそのような恋が待っていることを天に願う類だった。
快斗の場合。
 僕はバレンタインの日に何故か女子にチョコを作ってきて欲しいと言われている。
「チョコを作るなんて久しぶりだな。真白にも作ってあげようかな。」と独り言を呟いていると、
「快斗くーん。」と黄色の悲鳴を聞いた。
僕はため息をついて女子たちと話をしてた。その僕を遠のきに見ていた黒田琴音くろだことねを僕は見逃さなかった。
昔から仲が良かった琴音だ。
琴音は昔からボーイッシュだった。この高校は誰がどの制服も着て良かったからズボンの制服を着ている。
「おい、琴音。」と僕は後ろから声をかけた。
「快斗か。どうした、俺に用か。」琴音は俺っ子だ。一人称は相変わらず俺で健在だ。
「いや、珍しく俺にたわむれている女子を見ていたな。 と思ってさ。」
「そうじゃなくてさ。俺なんでか自分でもわからないんだけど、恋がうとかった快斗がやっと恋人を作ったんだ。ってホッとしててさ。」
琴音ってこう言う風に思ってくれてたんだって安心した。
 「そうか。」っていって、僕が多分真白が来ているであろう屋上に向かった。
扉越しに仲良く話しているのが見えた。僕は何故かそれを見ていると胸がムカムカしていた。自分でこれが嫉妬しっとだと気づいた。僕は静かに扉を開けて、僕はしのびのごとく近寄り、腕を使って抱き締める形をとり悩んでいた問題に答えた。
自分でもなんでこんな行動を取ったのかわからない。ただただ類に嫉妬してたのか見せつけたいがために動いてしまったのかもしれない。
僕も真白も顔が真っ赤だった。類が部活をサボっていたことを知って、それを呼びにきた真白の弟の大和一也と一緒に部活に行かせた。
僕はそれから真白の宿題を見ていた。わからないところを教えてあげた。僕はそれだけで楽しかった。以前は教えて欲しいと言ってきた女子たちに宿題とかを教えてたけど、その時より楽しく感じた。終わった時に
「お疲れ様。よく頑張ったな。」と言って頭をでた。
僕は一応男として女子に人気だったが、今まで頭を撫でたことはない。今回の真白を撫でたのが初めてだった。
多分ぎこちない撫で方になっただろう。僕は類の明日よろしくねと真白に言っていたのが気になるが僕は聞かなかったことにして、僕は帰った。
帰って、自分の部屋に行くと、電話が鳴った。相手は琴音だった。
「もしもし、どうした。」
『明日、用事ある。ちょっと付き合って欲しいことがあるんだけど。』
「いいけど、チョコのことか。」
『俺はそうじゃないんだ。本当にいいの?』
「ああ。真白なら類と何かたくらんでるし。別に真白のことなら気にしなくていい。あいつらは多分チョコだろ。」
『そうなんだ。明日はじゃあいつものところで待ち合わせね。』と言って琴音が切った。
俺は今日いろんなとこの女子からは今年からは私らが作るから大丈夫だよ。真白からもあると思うけど、私らからはついででチョコ作っとくしさ。楽しみにしといてね。って言われてしまった。
「じゃあ、真白にはプレゼント作っておくか。」と言いながら僕は台所に向かった。
 その次の日琴音が遅れてきた。
「ごめん、ニュースで天気とか花粉とか見てたら遅くなった。ごめん。」
「いや、そんなことない。僕もさっき来たところ。で、どこ行くの。」
「えっと、俺の男子服卒業じゃないけど、女子服初めて買いたくなってね。それと、あとは内緒ないしょ。じゃあ、ついてきてね。」
僕はうなずいてついて行こうとすると手をつながれた。
いきなりのことで驚いたが、何も言えなかった。
そのまま連れて行かれるところに一緒に行った。まず向かったところは洋服ショップだった。
「こんな服とかどうかな。」琴音はしっかりと赤面していた。僕もこんな琴音の一面を見るのは初めてだったから顔を逸らしてしまった。
「何か言わないと普通なら怒られるよ。俺だから良いけど。感想とか言わないと気まずいでしょ。」
「似合ってる。その服着ると何か繊細せんさいな花を見てるみたいだ。」感想と言われたので僕は思ったことを言ってみると、
「いや、そこまで言ってとは言ってないけど。」ますます顔の赤みが増していった。
「でも、感想言えって言ったから。」
「そういうの普通は一発目に言うの。わかった?俺は着替えるから。」と言って着替えるために、試着室の扉を閉めた。
次は雑貨屋だった。
「ねえねえ、ここのヘアピン可愛い。こっちの髪留めもいいじゃん。あー、この腕時計とかもめっちゃオシャレ。どれにしようかな。俺はこれがいいと思うんだけど、快斗はどう思う。」
「いいな、そのヘアピン。琴音がつけると、琴音の髪色が映える。腕時計か、それならこれとかかな。肌が敏感だろ、それだったらこの革の可愛いやつならどうだ。それなら腕の繊細さが際立つ。」
僕が遠慮えんりょなくめすぎたのかまた、顔を赤らませた。
「じゃあ、両方買うことにするね。それなら快斗はこの腕時計だね。」
と言って買いに行こうとするものを見た。僕が選んであげたやつと一緒だった。おそろいと言うべきものか。
その後は昼ごはんを一緒に食べた。
「ここの洋食店美味しい評判なんだよ、知ってる?ここで昼食べようよ。」
言われるがままに手を引かれてそこで食べることになった。
僕が海鮮パスタを頼んで、琴音はオムライスを頼んだ。
「ねえ、快斗の頼んだやつ美味しそうだな。食べさせてよ。」と言ってきて、琴音があーんの口になった。
僕は仕方なく配分に気をつけて琴音の口の中に入れてあげた。
「うーん、おいひい。それじゃあ、俺のも食べる?このオムライス美味しいんだよね。」
その言葉で気づいた。僕もあーんしないといけない流れだと言うことに。仕方なく口を開けて、あーんの形にした。
「うん、美味しい。」昼ごはんを食べ終わってからはいきなり映画を見にいくことになった。
恋愛系の映画だった。僕はあまり泣くことができなかった。けど、琴音が隣で静かに泣いていた。僕は映画を見てる邪魔じゃまにならないようにスッとハンカチを差し出した。多分、求められるであろう行為をした。
終わってから
「ハンカチ、ありがとうね。明日返すよ。」
「え、大丈夫だよ。」
「遠慮しないで。」
もう今言うのは遅いとおもったが、昼ごはんの時点で気付いてた。
「黙って、琴音だけはデートを楽しもうと思ってたの?」その言葉を言った時に、彼女の顔を涙が濡らした。
「そうだよ。小学校に転校してきてそれから数年経って、中学生になってから快斗のことが好きになってたの。だから、快斗が好きな人がいるって噂になった時点で私の恋は終わってたの。だから、俺の初恋での最後の思い出。これぐらいいいでしょ。ファーストキスは真白ちゃんのために置いておいてあげてね。今日は付き合ってくれてありがとうね。楽しかったよ。」
「う、うん。」と言って俺は琴音の手をいきなり取った。自分でも何をしたいかよくわかってない。
「僕実は気になってたんだ。僕が女子たちの話を聞いてて前まで嫌がって見てこなかったのに、昨日は見てたんだよね。やっぱり嫌だったんだ。」
「え?」
その時振り向いた顔はさっきよりも涙に濡れていた。
「気づいてたんだ。そういうの気づかないかと思ってたよ。」
「さっさといくぞ。」そう言って手を引いてバスに乗った。
「寄りかかれ。」と言って僕はずっとスマホを見ていた。
その時の、琴音は
(寄りかかれってどんだけ成長したの、今日付き合わせてごめんね。俺は嬉しいな。)
そう言って俺は目を閉じた。
真白の場合
 私は次の日類さんに指定された場所に向かった。
そこには類さんが言ってた特徴と同じ人が立ってた。向こうは私に気づいたらしく、
「あなたが真白ちゃんかな。」
「はい、そうです。ってことはあなたが潤香さんですか。」
「うん、そうなの。ったく人を誘っておいてまた類は遅刻なの。あいつ、サボり癖と遅刻癖はいつになっても治らない。」
と顔が笑ってない。私はその顔を見なかったことにして
「あの、類さんってそんなに遅刻とか、サボりとかするんですか。前にも部活にサボろうと普通に部活ないって嘘付いて屋上のテラスに来てました。」
「そうなんだ、その日は生徒会の仕事を私はしてたせいで知らなかったんだけど。あの日もサボってたんだ。私と仲良いからって知っている人は私に類どこって聞きにきたな。そうそう、あなたの弟さんがいち早くあの日は聞きにきたんだ。私は実はどこにいるか知らなくて、屋上って言ったけど、本当にいたらしくてね。」
そんな話をしていると、愚痴ぐちられてることも知らずに類がきた。10分も遅れてきた。
「ごめん、ごめん。今日使ってもらうのうちのキッチンだから。綺麗にしてからきたんだ。」
その話を聞いて、今すぐにでも怒れそうに準備してたであろう潤香の顔が収まった。
「そういえば、真白って類の家見たことある。」
私は急に会おう言う話を振られた。
「いえ、見たことありません。」
「そうなんだ。見て腰抜かさないでね。」
と言われた。私はどんな家だろうと思って、想像しながらついていった。類さんの私服は思ってたよりも奇抜きばつだった。ついでにサングラスもかけていた。かなり向かっている最中にいろんな人から注目を浴びて私は一緒にいることが恥ずかしくなってきた。
「ここ、ここ。さまずは、広間に来てね。僕は使用人に話してくるから。」
と言って、早足に歩いて行った。
 私は目の前に広がっているものが豪邸ごうていだと理解するのに数秒はかかった。
潤香さんに腰を抜かさないようにと言われて気をつけていたが、あまりの凄さに声が出なかった。
私が言葉を失っていると
「すごいよね、類の家って。いつ見てもすごいな。さあて、広間はこっちだよついてきて。」と言ったので私は潤香さんについていった。私はその時一つの考えが浮かんだんだから、潤香さんに聞いてみた。
「いつも類さんってお金持ちを想起させないような対応とか態度とかそんな感じなんですけど。なんでなんですか。」
私のその問いに潤香さんはこう答えた。
「類は昔親に買ってもらった鉛筆とか筆箱を持って行ったの。でも、その筆箱とかを見た他の生徒が類はな何にもしてないのに。見せびらかしてる感じでうざいとか言っていじめられたらしいんだよね。だから、類はもうそんな目に合わないようにまず、自分の性格や服装から変え始めて、中学の時から髪を染め始めたんだ。今のあの色にね。それからサボり癖とか遅刻癖をつけ始めてちょっとずつみんなの頭の中からお金持ちという概念というかそう言うものを取っ払うようにしていたんだって。」
私はそれを聞いて、類さんを外見とかで反応していたんだけど内面もちょっとだけだけどしれて嬉しかった。
広間についてから私は、いや私たちは使用人とかに言われるがままいろんな場所を通された。
そうしてまずはご飯が置いてある食卓に行った。
そこには類さんが先にいた。
「じゃあ、食べたいのを言ってね。これってなんでも大丈夫なの。」使用人の気を使いながら食べたいものを私たちに食べさせてくれるっぽい。
私は遠慮しがちに、選んだ。
「じゃあ、冷やし中華。」
「私はハヤシライス。」と大きな声で頼んだ。私はそこで思っていたツッコミが出てしまった。
「いや、カレーじゃないんだ。」
その声を聞いて、類はクスって笑って、潤香さんはそんな私をぽかんと見ている。
「私はね。コッテリしたカレーよりあっさりしたハヤシライスが好きなの。カレーも好きなんだけど、ハヤシライスがいいんだよね。」
と言った。
「じゃあ、僕はハンバーグと白ごはんそれと野菜ちょっともらうね。」
と類さんが言った。この中では一番まとも?な方だった。
ご飯を食べてから、言っていたキッチンに通された。かなり広く綺麗に整理されていた。
「これを整理してたんですか。」
「そうそう。二人が今日使ってくれるから朝5時から起きて準備してたよ。」
それを聞いて、私は驚いた。5時に起きて整理してたのに、今日の待ち合わせに遅れてしまう。どれだけ頑張って綺麗にしたんだろう。感心してしまった。
それから私と潤香さんでチョコ作りを始めた。
私は苺ジャムやラム酒などを使ったビターなチョコを作り始めた。
いちごジャムとチョコを混ぜるのに固まりにくいって聞いたから私は自分で思いついた色々な方法で完璧な品に作った。そして、あとは、同学年の人にラム酒を使ったビターなチョコを作り始めた。
潤香さんもかなり凝ったチョコを作っているようだった。昨日夜電話をしたときに潤香さんもかなり料理をすることが好きだそうで私は今同じ空間にいれることが嬉しかった。
チョコ作りが終わった。明日がバレンタイン当日。私が潤香さんと類さんに別個で作ったチョコを渡した。
「あの、類さん潤香さん今日はありがとうございました。本当に楽しかったです。」
「僕も楽しかったよ。ありがとう。」
「類さんはしっかり明日の分もあるんですけど、今日のお礼です。どうぞ」
「うわあ、凄い。明日の分も作りながら。お礼のチョコ作ってるなんて。私は作れなかったけど、大丈夫?」
「はい、大丈夫です。」
「今、もらうね。」
と言って類さんが食べた。それに釣られて潤香さんも食べた。
「美味しいね。苦くて、でもこの胸を刺激する。これは甘いと表現してもおかしくない。」
「ありがとうございます。」
「あ、私こういうタグいはコーヒーがないと無理かも。でも、ありがとう。」
「いえいえ、本当に今日はありがとうございます。」
 帰りは類さんが行きの場所まで送ってくれた。
その次の日、今までのバレンタインデーで一番緊張した。
私は友チョコだったり、クラスの男子にも友チョコとして送った。
 その日の放課後に私はいつも通り屋上に行った。もう類さんとかにはチョコを渡してある。
行くともう快斗は来ていた。
私は屋上の扉を開けて、私は一歩踏んで、声をかけた。
「あの、快斗。私のチョコあげる。快斗のは“特別”ね。」
と私は言って快斗に渡した。
それを見て快斗は何か言葉をこぼした。
「敵わないな。」と言ってからチョコを取り出して私に見せた。
「真白のためだけに僕は作ったんだ。」
私は快斗の作ったチョコを受け取った。
「ありが…」と言いかけた時に、快斗が指で私の顎をなぞり、顔を持ち上げた。
なんだろうと思っていると私の唇と快斗のそれが重なった。
私は自然すぎて驚く反応すら取れなかった。
苺のように真っ赤にしてしまった反応になっただろう。
そうすると今度は私の唇の上に指を置いた。
「このことは僕たちだけの秘密だ。誰にも言うなよ。それと今のような顔、他の奴らの前でやるなよ。」
私はこの日を忘れることは絶対にないだろう。自然に奪われた唇、トドメに刺された言葉。
初めての恋にこれほどドキドキしてしまった。これからの展開に私はドキドキしながら生活をしていこうと思い、快斗からもらったチョコを抱きしめた。
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