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30:淫らな魔性※

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フランツ王子はオスヴァルトとの攻防戦の後、アヒムに世話係をつけることを約束させた。オスヴァルトはどうにも、王と彼に似た王子に弱いようだ。

世話係は中肉中背の平凡な男で、出身階級はわからない。ただ、アヒムを見る視線には覚えがある。彼もアヒムに狂っている一人なのだと、その目を見てわかった。

「アヒムさま、それは」

はじめてアヒムの白い体を見たときの動揺した瞳と欲情した表情はみんな一緒であり、世話係も同じだった。

「へいかが着けて行ったんだ。窮屈で死んでしまいそうだよ」

着替えの際に一糸纏わぬ姿を見せると、貞操帯に目がいった世話係にそう説明した。

「前も苦しいけれど、後ろが酷いんだ。僕の孔に棒をいれて塞いでいるんだ」

アヒムは世話係に背中をむけてシャツを着た。彼の視線はアヒムの臀部に釘付けになっていた。

そうして、アヒムの態度にどぎまぎしながら世話係は欲望をもて余していた。

「君はフリートヘルムさんを知っている?」

「え? ああ、はい。磁器生産の影の立役者ですよね」

世話係は話題が急に変わってドキリとした。自分の邪な視線に気づかれたのかと焦った。

「そう。工房の中で唯一僕を子ども扱いしてくれる大人の人。まるで叔父みたいな人。とてもお世話になった人なんだ」

優し気な慈愛に満ちた瞳をしながら語るアヒムをみて、世話係はふと思った。

「ですが、今年の冬に亡くなったと聞きましたが」

「そう。僕は死目に会えなかったし、お別れも言えなかった。まだ墓参りにも行けていないのに、彼が眠る場所すらわからないんだ」

着替えを済ませたアヒムはベッドサイドに座って悲しそうに微笑んだ。

世話係はそのか弱く憐憫な姿に心を動かされた。この人を笑顔にしたい。その憂いを晴らしてあげたいと強く思った。

「よければ私がお手伝いします」

世話係はアヒムの足元に跪いて、足の甲に口づけをした。

アヒムは真っ暗な瞳でそれを見下ろしていた。

「彼の骨壺は僕の磁器こどもじゃないと」

アヒムはにっこりと嗤った。


隷属の代価にアヒムは世話係の欲望を満たし、アヒムは世話係を使役した。

一日に一度の、貞操帯を外すことが許された時間がある。ただ体を清めるための短い時間はまさに、世話係の欲望を満たすのにうってつけの時間だ。

「オスヴァルト卿に鍵をもらって開けてくれないかい?」

アヒムは世話係の男にそう言った。

世話係は顔を紅潮させながらもコクりと頷いた。

おぼつかない手つきで錠前を外し、大きな木桶に湯を満たして入浴の支度をした。

用をたしたアヒムは、世話係が用意した湯の張った人が一人入っても十分な大きさの桶の中にはいる。底は浅く、湯が満たされても座ったアヒムの腰までしか浸からない。

「ベン、洗ってくれないかい?」

アヒムは無防備に腕を広げると、世話係はその腕をとって、ボディタオルで撫でていく。

腕も、背中も、胸も、脚も洗っていくと、アヒムはクスクスとわらう。

「まだ残っているだろう?」

アヒムは脚を広げて、いつもなら貞操帯で隠れている部位をさらけだす。

世話係が生唾をごくりと飲み込む。

「綺麗にしてくれ」

世話係は泡をのせて、アヒムの少し伸びた下生えを剃り始めた。徐々に芯を持ち始めるアヒムのそれから目をそらしながら、傷をつけないように刃を動かしていく。

「アヒムさま、後ろを」

桶に手をおいて、臀部を世話係に見せつける体勢を取る。

剃り終わって剃刀をおく音がしたが、アヒムは体勢を変えない。

「中も確認してくれないかい? また、あれを着けないといかないから」

「わ、わかりました」

世話係は上ずった声をあげながら、アヒムの臀部に触れて、後孔をひらくように、肉を引っ張った。

貞操帯に付属している棒を常時入れているそこは、簡単に開いて中を見せてくれる。

「失礼します」

指が二本、ズンッと入ってアヒムの中をかきみだす。

「んんっ」

湯とオイルがアヒムの中に入りながら淫猥な音をたてている。

王が遠征に出てから、アヒムの孔は飢えていた。無機質なものではなく、温かなものを飲み込みたいと叫んでおり、世話係の指を逃がさないようにきつく絞める。

「ベン、君のソコがとても苦しそうだ」

アヒムは後ろをむいて世話係の股間を指し示した。

「可哀想に。おいで。ただし、外にはオスヴァルト卿がいるから静かにね」

アヒムの許しを得ると、世話係は慌ただしくズボンの前を開けて、その粗末なものをアヒムの中に挿し込んだ。

王と比べると粗末なものであるが、雄に飢えていた孔は喜んでそれを食いつくした。

「んんっ、……ふぁ、んんん」

声が漏れないように、口をおさえられながら、つたない動きにすらアヒムの体は悦んだ。 

水がバシャバシャと跳ねて、肉の棒の呑み込みながらアヒムは恍惚に嗤った。


「アヒム殿、あまりこのようなことをされると困る」

オスヴァルトが相変わらず無愛想な顔をしてアヒムにそう言った。

アヒムは退屈そうにページを繰っていた手をとめて嗤った。

「バレていましたか。ですが、へいかが課したルールの元なんですから、ちょっとした息抜きとして目をつぶってくれるでしょう? じゃないと、フランツまで怒られる」

オスヴァルトは押し黙った。彼の弱味は王と王子なのだ。

彼はすでにフランツ王子や世話係との関係を知っていたが、黙認している。そうでなければ、今頃王が戻ってきて、誰かは血を流しているはずだ。

「陛下がすべて悪いんですから」

アヒムがにっこり微笑んでも、オスヴァルトには効果がない。それでいい。それがいい。その方が都合がいい。

その後、アヒムは忽然と姿を消した。


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