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不思議な事がある

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興味ありませんよー、って主張されてるみたいで結構切ない。

ていうかお前、朝からそこに居たよな!?

そこに根でも生えてんのかよ! って言いたいとこだけど、僕が飯を作り始めたら途端にソワソワし出すんだよなぁ。そういうとこはさすがにワンコだ。

「……あ」

そして、ちょっと不思議な事がある。

「まただ。今日は……ホロホロ鳥?」

昨日、一昨日と、家に帰って来たらなぜか朝までなかった素材がテーブルにのってたんだ。今日は素材じゃなくて美味しいって噂の食材だけど、不在時に何か物が増えてるって地味に怖い。

まぁでも今ウチには番犬がいるわけで。

「なぁネロ、このところ毎日なんかモノが増えてるんだけど、誰が来てるの? もしかしてお前のご主人様じゃないよなぁ」

フン、と鼻息を漏らしてネロがそっぽを向く。

違うって事か。そもそもそれならネロだってここに残ってるはずないもんなぁ。そこでハッとして言ってみる。

「もしかしてさ、ネロ……?」

だってネロが来てからこういう不思議な事が起こるようになったわけだし。そう思って言ってはみたものの、玄関も窓も鍵は閉まったままでネロが外に出た様子もない。ネロもツーンとそっぽを向いたままだし。

「ま、いいか」

考えても分からない事は考えない。孤児としてそれなりに苦労した僕が辿り着いた座右の銘に従い、気持ちをスパッと切り替える。

「せっかく美味しい肉だし、さっそく調理しよう。ネロ、たっぷり喰わせてやるからな!」

「わふ!」

「飯の時だけは返事がいいんだからなぁ、ほんとゲンキンなヤツだよ」

しっぽがフリフリと揺れてて可愛い。

「ホロホロ鳥はデッカいからなぁ、お前がたらふく喰っても大丈夫だよ!」

伸び上がって料理が出来るのをわふわふと嬉しそうな声を上げながら見ているネロ。料理をしながらそんなネロを横目で見つつ、僕は色々な謎を解くための方策を考える。

明日は少し早く帰れそうだし、冒険者ギルドに寄ってみよう。

あれだけの魔物を狩れるワンコを連れてるんだ、ネロのご主人様は有名な冒険者の可能性が高い。冒険者ギルドで聞けば、もしかしたらネロのご主人様の情報が聞けるかもしれない。

そしてもうひとつ。

ホロホロ鳥のシチューと胸肉とレタスのマヨ照り焼きをがっつくネロを眺めながら、僕は思いついたアイディアについニヤニヤしてしまった。

ごはんの後にお風呂でしっかりネロを洗ってやれば、さっき飯をがっついてた時の元気はどこへやら、ネロの耳もしっぽもシオシオと萎れて、暖炉の前でそっぽを向いて丸くなっている。

ピス……と時々悲しそうな声を漏らしてるネロを尻目に、僕はベッドサイドの壁に、ある仕掛けを施した。
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