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異世界での邂逅
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それはとても綺麗な槍だった。
刃の先から柄まで真っ白で、柄の先には馬の尻毛のような装飾があるが、その毛先まで白い。
所々に銀で装飾が施されているようで、夕日に反射してきらきらと輝いているように見える。
その輝きをぼんやりと眺めながら、優弥は途方に暮れていた。
こんな所に一人取り残され、一体どうすれば良いのだろうか。
あの子馬の言葉を信じるならここは異世界である。
いや、あの子馬の言うことを丸々鵜呑みにせず、ここは地球のどこかで、ただ転移しただけなのかもしれない。
そんな淡い期待が浮かんだが、では目の前で子馬が槍になったのはどう説明するのか、夜空に浮かぶ三つの月は何なのか、そもそも転移しただけってそれだけでも充分とんでもないことなのだが。
考えるだけで頭が痛くなってくる。完全にキャパシティーオーバーだ。
目の前で起きたことなのに、全然受け入れることができない。
再び、ざあっと風が吹いた。辺りは真っ暗になっていた。
「……っ!」
優弥はぶるっと身震いした。
日が落ちたからか、気温が大分下がった気がする。
一つだけはっきりしていることがある。
ここが異世界にしろ、そうでないにしろ、このままではここで野宿することになる。
夜空を見上げると、そこには無数の星と三つの月。
ここは空気が綺麗なのか、星空が良く見える。
そのおかげで周りをある程度は見渡せるが、それでも殆ど暗闇である。
優弥はもう一度身震いした。
それは下がった気温のせいか、それとも暗闇の深さのせいか。
学生服にコートを着込んでいるから、外気温には耐えられる。どちらかというと暖かい気候で、コートを今すぐにでも脱ぎたいくらいだ。
目の前に落ちている槍を拾い、それを支えにして立ち上がる。
まだ少し手足が震えていて、うまく力が込められないからだ。
持ち上げてみると槍は思った以上に軽かった。
しっかりとした作りだし、優弥の身長よりも少し長いくらいなのに簡単に持ち上げられ、とても扱いやすい軽さだった。
日が落ちたのとは逆方向にちょっとした高台があったので、頑張って上まで行ってみる。
「あれはっ……!」
そこから見下ろすと、草原にうっすらと切れ目が走っているのが見えた。
どうやら道があるらしい。
優弥は一目散に駆けていった。
道というのは、どこかとどこかを繋げているもの。
つまりその道を辿っていけばどこかしらには辿り着くということだ。
まっすぐ駆けていくと道にはすぐにぶつかった。
そこに何があるというわけでもないのに、優弥は安心してまたへたり込んでしまった。
道と言っても綺麗に舗装されているわけではなく、ただ砂利道だ。
しかし道幅は広く、車がすれ違える程はある。
優弥は一息着いて左右を見る。
果たして、どちらに行けばいいか。
左を見ると、遠くに一際大きな山が見える。どうやら、その山に向かっているらしい。
右を見ると、ひたすら広がっている草原、その地平線まで道は続いていた。
山は麓に町があるのか、それとも山中にあるのか。そもそも、人が住んでいる山なのかわからない。
となると、右にまっすぐ進むのが得策か。
日は落ちたばかりだから、まだそんなに遅くはないはず。
姉達に腕時計を付けろと散々言われていたが、まだ必要性を感じていなかったから付けていなかったのが仇となった。
すぐに帰るつもりだったからスマホを家に置いてきたのが良くなかったか。電池切れ寸前だったから、持っていてもあまり意味がないかもしれないが。
そもそも、時間が合っているのかどうかわからない。
優弥は夜空を眺めていたところで、こちらにやってきた。
その時、まだ日が落ちかけていたところだ。
時間は大分ずれている。
だが、およその目安にはなったか。
「ちゃんと姉さんの言うことを聞いておけばよかった……」
優弥が持っているものといえば、さっき拾った槍と、きんつばが五個入った袋だけ。
なんともアンバランスなことこの上ない。
「はぁ……」
優弥は一つ溜め息を吐いて、コートを脱いだ。走ったことで体温が高くなり、着ていられないくらいに暑かった。学ランも脱ぎ、シャツを腕捲りまでしてしまう。コートと学ランはきんつばの袋と一緒に左手で持つ。
そして草原の地平線まで続く方に歩き始める。
ひたすらまっすぐ。
辺りは暗く、便りになるのは星明かりだけ。
虫の鳴き声や、草が風に靡く音が綺麗に聞こえる。
草原の草は優弥の膝下くらいまでしかないので、見通しは良い。
何か見えないかとたまにきょろきょろと見回しながらひたすらまっすぐ進んで行った。
感覚としては一時間くらいは歩いた気がするが、まだ何も発見できていない。
そこからさらに一時間くらい経ち、逆に進めば良かったかな、と後悔し始めた頃だった。
遠くに明かりが見えた。
それはゆらゆらと揺らめく火のようだ。
幸運なことに、自分の進む先、つまりこの道の先に見えた。
進む足が逸る。
誰かいるのか、それとも町があるのか。
どうやら人のようだ。
誰かが松明か何かを持って、なんとこちらの方に歩いているらしい。
なんてラッキーなんだ。
例えどんな人だとしても、誰か人に会えれば自分の置かれている状況がわかるかもしれない。
ここは日本なのか、それとも。
不安を掻き消すようかのように走った。
しかし、徐々にその速度がゆっくりとなっていく。
近付くにつれて、火が多くなっていく。
一つ、二つ、三つ四つ、とどんどんと増えていく。
大雑把に数えて二十くらいの火。
それくらいの団体がこちらにやってくる。
いや、松明を持っていない人もいるようなので、もっと大人数だろう。
さすがにそれ程の団体とは思わず、恐怖で足が止まってしまった。
揺らめく火に照らされてその団体の様子が明らかになっていくと、その不安はさらに募っていく。
彼らは鎧を着込んでいた。
顔が見えなくなるくらい着込んでいる者もいれば、軽鎧を簡単に着込んでいる者もいる。
その団体は、どうやら軍隊のようだった。
刃の先から柄まで真っ白で、柄の先には馬の尻毛のような装飾があるが、その毛先まで白い。
所々に銀で装飾が施されているようで、夕日に反射してきらきらと輝いているように見える。
その輝きをぼんやりと眺めながら、優弥は途方に暮れていた。
こんな所に一人取り残され、一体どうすれば良いのだろうか。
あの子馬の言葉を信じるならここは異世界である。
いや、あの子馬の言うことを丸々鵜呑みにせず、ここは地球のどこかで、ただ転移しただけなのかもしれない。
そんな淡い期待が浮かんだが、では目の前で子馬が槍になったのはどう説明するのか、夜空に浮かぶ三つの月は何なのか、そもそも転移しただけってそれだけでも充分とんでもないことなのだが。
考えるだけで頭が痛くなってくる。完全にキャパシティーオーバーだ。
目の前で起きたことなのに、全然受け入れることができない。
再び、ざあっと風が吹いた。辺りは真っ暗になっていた。
「……っ!」
優弥はぶるっと身震いした。
日が落ちたからか、気温が大分下がった気がする。
一つだけはっきりしていることがある。
ここが異世界にしろ、そうでないにしろ、このままではここで野宿することになる。
夜空を見上げると、そこには無数の星と三つの月。
ここは空気が綺麗なのか、星空が良く見える。
そのおかげで周りをある程度は見渡せるが、それでも殆ど暗闇である。
優弥はもう一度身震いした。
それは下がった気温のせいか、それとも暗闇の深さのせいか。
学生服にコートを着込んでいるから、外気温には耐えられる。どちらかというと暖かい気候で、コートを今すぐにでも脱ぎたいくらいだ。
目の前に落ちている槍を拾い、それを支えにして立ち上がる。
まだ少し手足が震えていて、うまく力が込められないからだ。
持ち上げてみると槍は思った以上に軽かった。
しっかりとした作りだし、優弥の身長よりも少し長いくらいなのに簡単に持ち上げられ、とても扱いやすい軽さだった。
日が落ちたのとは逆方向にちょっとした高台があったので、頑張って上まで行ってみる。
「あれはっ……!」
そこから見下ろすと、草原にうっすらと切れ目が走っているのが見えた。
どうやら道があるらしい。
優弥は一目散に駆けていった。
道というのは、どこかとどこかを繋げているもの。
つまりその道を辿っていけばどこかしらには辿り着くということだ。
まっすぐ駆けていくと道にはすぐにぶつかった。
そこに何があるというわけでもないのに、優弥は安心してまたへたり込んでしまった。
道と言っても綺麗に舗装されているわけではなく、ただ砂利道だ。
しかし道幅は広く、車がすれ違える程はある。
優弥は一息着いて左右を見る。
果たして、どちらに行けばいいか。
左を見ると、遠くに一際大きな山が見える。どうやら、その山に向かっているらしい。
右を見ると、ひたすら広がっている草原、その地平線まで道は続いていた。
山は麓に町があるのか、それとも山中にあるのか。そもそも、人が住んでいる山なのかわからない。
となると、右にまっすぐ進むのが得策か。
日は落ちたばかりだから、まだそんなに遅くはないはず。
姉達に腕時計を付けろと散々言われていたが、まだ必要性を感じていなかったから付けていなかったのが仇となった。
すぐに帰るつもりだったからスマホを家に置いてきたのが良くなかったか。電池切れ寸前だったから、持っていてもあまり意味がないかもしれないが。
そもそも、時間が合っているのかどうかわからない。
優弥は夜空を眺めていたところで、こちらにやってきた。
その時、まだ日が落ちかけていたところだ。
時間は大分ずれている。
だが、およその目安にはなったか。
「ちゃんと姉さんの言うことを聞いておけばよかった……」
優弥が持っているものといえば、さっき拾った槍と、きんつばが五個入った袋だけ。
なんともアンバランスなことこの上ない。
「はぁ……」
優弥は一つ溜め息を吐いて、コートを脱いだ。走ったことで体温が高くなり、着ていられないくらいに暑かった。学ランも脱ぎ、シャツを腕捲りまでしてしまう。コートと学ランはきんつばの袋と一緒に左手で持つ。
そして草原の地平線まで続く方に歩き始める。
ひたすらまっすぐ。
辺りは暗く、便りになるのは星明かりだけ。
虫の鳴き声や、草が風に靡く音が綺麗に聞こえる。
草原の草は優弥の膝下くらいまでしかないので、見通しは良い。
何か見えないかとたまにきょろきょろと見回しながらひたすらまっすぐ進んで行った。
感覚としては一時間くらいは歩いた気がするが、まだ何も発見できていない。
そこからさらに一時間くらい経ち、逆に進めば良かったかな、と後悔し始めた頃だった。
遠くに明かりが見えた。
それはゆらゆらと揺らめく火のようだ。
幸運なことに、自分の進む先、つまりこの道の先に見えた。
進む足が逸る。
誰かいるのか、それとも町があるのか。
どうやら人のようだ。
誰かが松明か何かを持って、なんとこちらの方に歩いているらしい。
なんてラッキーなんだ。
例えどんな人だとしても、誰か人に会えれば自分の置かれている状況がわかるかもしれない。
ここは日本なのか、それとも。
不安を掻き消すようかのように走った。
しかし、徐々にその速度がゆっくりとなっていく。
近付くにつれて、火が多くなっていく。
一つ、二つ、三つ四つ、とどんどんと増えていく。
大雑把に数えて二十くらいの火。
それくらいの団体がこちらにやってくる。
いや、松明を持っていない人もいるようなので、もっと大人数だろう。
さすがにそれ程の団体とは思わず、恐怖で足が止まってしまった。
揺らめく火に照らされてその団体の様子が明らかになっていくと、その不安はさらに募っていく。
彼らは鎧を着込んでいた。
顔が見えなくなるくらい着込んでいる者もいれば、軽鎧を簡単に着込んでいる者もいる。
その団体は、どうやら軍隊のようだった。
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