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異界人
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隊長は兵士の一人に指示して、優弥の拘束を解いてくれた。
それだけでなく、手を取って立ち上がらせてくれ、落としてしまった学ランとコートを拾い、土埃を払ってから手渡してくれる。
「遥か昔、この世界が魔王の手によって滅ぼされようとした時、異世界からやって来た人々が現れ、魔王を討ち倒し、見事世界を救ってくれたという伝説がある」
手のひらを返したように丁重に扱われるのを訝しんでいたら、隊長が説明をしてくれた。
「その後も、この世界が窮地に立たされた折りには必ず異世界からやって来たという人々が現れ、世界を救ってきた。彼らは異界人と呼ばれ、救世の象徴として尊ばれている」
なんとも壮大な話だった。もはや、伝説に近いのではないだろうか。
そんな現実味のない話で優弥をこのように丁重に扱ってくれるとは。
「二十年程前に魔王が現れて世界を滅ぼそうとしたが、その際にも七人の異界人が現れ、見事魔王を打ち倒した」
と、思ったら意外と最近だった。
(窮地に陥り過ぎだろ……)
心の中で突っ込むだけに留めておく。
「しかし、なぜ僕がその異界人だとわかったんですか?」
代わりに、抱いた疑問をぶつけてみた。そもそも、なぜばれたのか。先程の問答でわかるものなのだろうか。
隊長は、ふっと面白そうに微笑んだ。
「過去何人かの異界人が、ニホンからやって来たと言っていたらしい」
「ニホン、から……」
なるほど、それでか。
過去の異界人達も、優弥と同じ日本人だったのか。
「異界人は貴重な存在故に情報が少ないからな。いろんなことを聞くらしい。私の知っている限りだと、あなた達の住むチキュウという世界の、ニホン、アメリカ、イギリス、ドイツという国から来た異界人がいるらしい」
それには優弥も驚いた。そんなに多様な国からこっちの世界に来た人がいるだなんて。
「隊長、準備が出来ました」
とある隊員から声をかけられた。
その兵士に促されるままに進むと、焚き火の近くに丸太が二つ用意されていた。隊長が片方に腰掛ける。どうやら椅子代わりのようだ。
焚き火の周りでは慌ただしくテントを張っている。
どうやらここで夜営をするらしい。
「どうぞ、座られるといい」
隊長に促され、優弥も丸太に腰掛けた。
「改めて、私はマクルスト王国軍第三部隊の隊長、ヴェルディス・マクワーレンです」
フルフェイスの兜を外し、丁寧に自己紹介される。
端整な顔立ちだった。綺麗な金髪に、水色の瞳が洋風な顔立ちをさらに際立たせている。こっちの世界がどのような顔立ちの人がいるのかわからないが、少なくとも元の世界ではかなりイケメンの部類に入るだろう。
それに若い。見た感じ、二十代前半といったところだ。その若さで隊長とは、実はかなりすごい人なのではないだろうか。
「折窪 優弥です。ユウヤ・オリクボ、と言った方がいいんですかね?」
「そうですね、恐らくそうでしょう」
隊長はくすりと笑った。
「それでは、あなたの事情をきかせていただけますか?」
隊長が真剣な眼差しで見つめてきたので、今度は正直に話す。
「成程、やはりその光る子馬があなたをこの世界に連れて来たのですね」
「はい。この世界にはよくいるんですか?」
優弥の質問に、隊長は目をぱちくりとさせて驚き、声を出して笑いだした。
「ぷっ、はははは。いや、失礼。確かにこの世界はあなたと世界とは違っていますが、さすがに光る子馬などそうはいません。その子馬はおそらく聖獣でしょう」
「聖獣?」
これは聞き慣れた言葉ではあるが、こちらの世界ではどのような扱いなのか。
「神の使いとされる、七体の獣のことです。この世界の平和と均衡を保つ存在とされている、とか」
「とか?」
「私はそういう神話などに明るくなくて」
そう言って隊長は苦笑いをした。
「王都に戻れば詳しい人間を紹介することはできますが」
「王都……」
そこに行けば色々とわかるのだろうか。神獣のこと、異界人のこと。
そして元の世界に戻る方法も……。
「あの、その王都に連れて行ってもらえないでしょうか?」
優弥には目の前の人物に頼るしかなかった。異世界から来ただなんてとんでもない話を理解してくれる人。
何もわからないこの世界で、唯一頼れる存在。
「もちろん、異界人の為ならやぶさかではありません」
隊長は二つ返事で答えてくれた。だが、残念そうに続ける。
「しかし、いくつかの条件があります」
「条件?」
優弥は一気に不安になる。まさか条件を突き付けられるとは。
いや、ある意味当然か。こんなところで出会った人物を、何の他意もなく助けるなどありはしない。ましてや自分は異界人という存在なのだ。この世界を、救うための……
「まず、異界人だということを隠していただきたい」
「はい?」
それだけでなく、手を取って立ち上がらせてくれ、落としてしまった学ランとコートを拾い、土埃を払ってから手渡してくれる。
「遥か昔、この世界が魔王の手によって滅ぼされようとした時、異世界からやって来た人々が現れ、魔王を討ち倒し、見事世界を救ってくれたという伝説がある」
手のひらを返したように丁重に扱われるのを訝しんでいたら、隊長が説明をしてくれた。
「その後も、この世界が窮地に立たされた折りには必ず異世界からやって来たという人々が現れ、世界を救ってきた。彼らは異界人と呼ばれ、救世の象徴として尊ばれている」
なんとも壮大な話だった。もはや、伝説に近いのではないだろうか。
そんな現実味のない話で優弥をこのように丁重に扱ってくれるとは。
「二十年程前に魔王が現れて世界を滅ぼそうとしたが、その際にも七人の異界人が現れ、見事魔王を打ち倒した」
と、思ったら意外と最近だった。
(窮地に陥り過ぎだろ……)
心の中で突っ込むだけに留めておく。
「しかし、なぜ僕がその異界人だとわかったんですか?」
代わりに、抱いた疑問をぶつけてみた。そもそも、なぜばれたのか。先程の問答でわかるものなのだろうか。
隊長は、ふっと面白そうに微笑んだ。
「過去何人かの異界人が、ニホンからやって来たと言っていたらしい」
「ニホン、から……」
なるほど、それでか。
過去の異界人達も、優弥と同じ日本人だったのか。
「異界人は貴重な存在故に情報が少ないからな。いろんなことを聞くらしい。私の知っている限りだと、あなた達の住むチキュウという世界の、ニホン、アメリカ、イギリス、ドイツという国から来た異界人がいるらしい」
それには優弥も驚いた。そんなに多様な国からこっちの世界に来た人がいるだなんて。
「隊長、準備が出来ました」
とある隊員から声をかけられた。
その兵士に促されるままに進むと、焚き火の近くに丸太が二つ用意されていた。隊長が片方に腰掛ける。どうやら椅子代わりのようだ。
焚き火の周りでは慌ただしくテントを張っている。
どうやらここで夜営をするらしい。
「どうぞ、座られるといい」
隊長に促され、優弥も丸太に腰掛けた。
「改めて、私はマクルスト王国軍第三部隊の隊長、ヴェルディス・マクワーレンです」
フルフェイスの兜を外し、丁寧に自己紹介される。
端整な顔立ちだった。綺麗な金髪に、水色の瞳が洋風な顔立ちをさらに際立たせている。こっちの世界がどのような顔立ちの人がいるのかわからないが、少なくとも元の世界ではかなりイケメンの部類に入るだろう。
それに若い。見た感じ、二十代前半といったところだ。その若さで隊長とは、実はかなりすごい人なのではないだろうか。
「折窪 優弥です。ユウヤ・オリクボ、と言った方がいいんですかね?」
「そうですね、恐らくそうでしょう」
隊長はくすりと笑った。
「それでは、あなたの事情をきかせていただけますか?」
隊長が真剣な眼差しで見つめてきたので、今度は正直に話す。
「成程、やはりその光る子馬があなたをこの世界に連れて来たのですね」
「はい。この世界にはよくいるんですか?」
優弥の質問に、隊長は目をぱちくりとさせて驚き、声を出して笑いだした。
「ぷっ、はははは。いや、失礼。確かにこの世界はあなたと世界とは違っていますが、さすがに光る子馬などそうはいません。その子馬はおそらく聖獣でしょう」
「聖獣?」
これは聞き慣れた言葉ではあるが、こちらの世界ではどのような扱いなのか。
「神の使いとされる、七体の獣のことです。この世界の平和と均衡を保つ存在とされている、とか」
「とか?」
「私はそういう神話などに明るくなくて」
そう言って隊長は苦笑いをした。
「王都に戻れば詳しい人間を紹介することはできますが」
「王都……」
そこに行けば色々とわかるのだろうか。神獣のこと、異界人のこと。
そして元の世界に戻る方法も……。
「あの、その王都に連れて行ってもらえないでしょうか?」
優弥には目の前の人物に頼るしかなかった。異世界から来ただなんてとんでもない話を理解してくれる人。
何もわからないこの世界で、唯一頼れる存在。
「もちろん、異界人の為ならやぶさかではありません」
隊長は二つ返事で答えてくれた。だが、残念そうに続ける。
「しかし、いくつかの条件があります」
「条件?」
優弥は一気に不安になる。まさか条件を突き付けられるとは。
いや、ある意味当然か。こんなところで出会った人物を、何の他意もなく助けるなどありはしない。ましてや自分は異界人という存在なのだ。この世界を、救うための……
「まず、異界人だということを隠していただきたい」
「はい?」
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