これで異世界なんて、どうかしてるっ!

ひむべーれ

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三つの力

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「この世界で戦闘に利用される力は三つあります。まず人間が元々内包している、気力。大気中や場所に多く存在し、魔法を使うのに利用する魔力。物質や神聖なものが宿している霊力。この三つです」

「気力と、魔力と、霊力」

 そう言われると分かり易い。つまり、気力がLP、魔力がMP、霊力がSPということか。

「魔力は魔法を使うのに利用するのはわかりますが、霊力はもしかしてスキルを使うのに必要なものですか?」

 隊長は良くできましたと言わんばかりに頷いた。

「今、ユウヤ殿がかけているその眼鏡には霊力が宿っていて、その力により『スキル・鑑定』が使える『鑑定眼鏡』となっているんです」

「つまり、スキルというのは個人で持っているものではなく、色んな物に宿っていて霊力によって発動するもの、ということですか」

「その通りです。そして気力はステータスを上昇させたりするのに使います」

「ステータスの上昇?」

「気力を使い、攻撃力や防御力などを一時的に上昇させることが出来るのです」

 なるほど。気力を100使って一時的に攻撃力を100上昇させる、みたいなことか。

「練度によって上昇率や効果時間が変わりますが、人族なら誰しもが持っているので一番利用される戦術ですね。魔力や霊力は人によってその容量などが大きく違いますが、気力はほとんどの人が戦闘に使えるだけの一定量を持っています。無論、例外はいますが……」

 そこで隊長は影を落とす。誰かそういう知り合いでもいるのだろう。

「とても便利な力ですけど、デメリットはあるんですか?」

 今の話を聞く限り、戦闘を行うとなったら真っ先に頼りそうな力だ。誰しもが使うのではないだろうか?

「まず、ちゃんと使えるようになるまで訓練する時間が必要となります。魔力は詠唱や魔方陣などを覚えたら、相性が良ければすぐに魔法を使えるようになりますし、スキルはその物を持っていればすぐに使えます。しかし気力は違います」

 誰しもが持っているが誰しもが使える、というわけではないということか。

「そして、気力を使い切ったら命が削られます」

「寿命?」

 急に怖い話になった。

「はい。気力とは、言わば生命エネルギーです。それを使い切ったら、肉体も精神もボロボロになってしまう」

「なるほど……」

 つまり命を危機に晒して手に入れる力、諸刃の剣ということか。

「でもマイナスばかりではありません。MPやSPは一定以上の休息時間がなければ回復しませんが、LPはもっと短時間で回復していきます。戦闘中にでもある程度回復させることは可能なので、使い切るなんてそうそうありません」

「LPをHPやMPに変換することはできるんですか?」

「HPにはできますが、MPにはできません。気力、魔力、霊力はそれぞれ独立した、異なった力ですから」

 それもそうか。しかしこれでだいぶわかってきた。HPとLPとMP、それに物理攻撃力・防御力が高い優弥は前衛でガンガン戦うタイプになるのだろう。
 だが、そこで新たに気になることが出てきた。

「この世界の平均的なステータスってどのくらいなんですか?」

 優弥の素朴な疑問も良くある質問のようで、隊長は迷いなく答えてくれた。

「HPは500くらいあったら一人前ですね」

 HPは平均より高い。やはり前衛タイプと考えて良いようだ。
 しかし、とんでもない話が続く。

「LP、MPは300くらいです。もちろん、気力、魔力それぞれを中心に戦うタイプで別ですが。SPは100もあれば十分ですね。もともと人族は霊力をそんなに持っている種族ではないので」

 MPはLP平均を大きく上回り、SPは倍以上ある。これは異界人アイナーだから特別になっているのかとも思ったが、隊長の話はまだ続いている。

「攻撃力・防御力は200あればどの国の部隊でも隊長クラスになれます。前衛なら物理、後衛なら魔法となりますね」

 低いと思っていた魔法攻撃力・防御力も平均以上はあるらしく、物理に至っては倍以上な上に、補正もかかってるからとんでもないことになっている。
 これは聖槍様々と言ったところか……。

 優弥はその時点ですでに唖然としているが、最後にとんでもない爆弾が待っていた。

「それがレベル30の平均ですね」

「え……」

 優弥はまだレベル21。つまり、どのステータスも平均を大きく上回っている。

(もしかして、ステータスだけでも隊長より強いのかも……)

 事実、優弥のステータスは隊長のステータスを圧倒していたのだった。
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