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いざ、王都へ
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「先程も話した通り、今、この世界はユウヤ殿、異界人を必要とするような危機に陥っていません」
「はい、だから異界人だということを黙っていてほしいと……」
優弥の言葉に、頷いて答える隊長。
「そうです。ユウヤ殿はかなり高いステータスだったのではないですか?」
優弥はギクリと肩を揺らしてしまう。
先程のやり取りと反応だけで見抜いてしまうとは。やはり一部隊を率いる長だ。
隊長はそれを可笑しそうに笑いながら見ている。
「そんな高いステータスの人物を放っておくことなんてできません。ユウヤ殿にお願いしたい」
「なんでしょうか?」
隊長は改まって、頭を下げる。
「ユウヤ殿に、我が部隊の一員となってもらいたいのです」
「え、はい。それが王都に連れていってもらう条件で……」
「そうではなく。王都までの道のりだけではなく、王都に着いた後、この世界の危機がわかり、それを取り除くまで、私の部隊の一員として力を振るっていただきたいのです」
「それは……」
隊長は真剣な眼差しで優弥を見つめていた。
しかし、優弥はそれを二つ返事で答えることができなかった。
(確かに、この世界の情報を知るなら、この世界の人と一緒にいた方がいいけど……)
目の前の人物は信頼するに足る人物だ。
しかし、それでも簡単に答えを出せないでいる。
(隊長が所属しているのは国だ。この世界の事情は知らないけど、もし他国と戦争をしていてたら……)
もしその戦争に参加しろと命令されたら。一兵士として部隊に加わることになったら断ることなどできないだろう。
優弥は、人の命を奪わなければならなくなる。
それだけは嫌だった。
例え異世界の人であろうと、それだけは絶対に嫌だった。
「一つだけ、条件があります」
「何でしょう。何でも言ってください」
隊長の言葉に熱が入る。何でも条件は飲みます、そんな強い意思が伝わってくるようだった。
「自分は、例えどんな状況であろうと、人を殺めたくはありません。もしそれを強要されるようなことがあれば、自分はどんな手段を取ってでも逃げ出します」
隊長は目を丸くさせていた。
優弥にとってはとても真剣な願いだったが、どうやら意外だったようだ。
優しげに微笑んで、力強く頷いた。
「わかりました。それがユウヤ殿の希望なら勿論受け入れましょう。ただ……」
その瞳はとても寂しげでいて。
「その気持ちだけは持ち続けてください。例えどんなことがあろうとも」
そう言って、手を出す。
優弥はその言葉の意図がよくわからなかったが、その手をしっかりと握って、
「わかりました」
とだけ答え、固い握手を交わす。
この約束を違えぬよう、この光景をしっかりと心に刻み込んだ。
「隊長、よろしいでしょうか?」
話がまとまったところで、タイミング良く外から声を掛けられた。
「今行く」
隊長は外に出ていった。
と思ったら二、三言葉を交わしただけですぐに戻ってきた。
「出発の準備が整ったようです。ユウヤ殿はいかがです?」
「はい、大丈夫です」
基本的に持ち物がないのだから準備のしようもないのだが、これは心の準備のことを聞かれているのかと思った。
心の準備は大丈夫だ。もう大丈夫。
この世界を、歩いていける。
隊長についてテントから出ると、外はさっぱりとしていた。
いくつもあったテントは、今出てきたばかりの一つを残してすべて片付けられており、馬車が二台あるだけだった。
近くにいた兵士がテントの入り口の支柱のてっぺんをぐいと持ち上げるとばさばさと音立ててまとまっていき、傘くらいの大きさになってしまった。そのまま馬車の荷台にしまう。
その光景を驚きの目で見ていた優弥が可笑しかったのか、隊長がふふふと笑った。
「魔法のテントは初めてですか?」
「魔法自体が初めてですから……」
その眼差しに、少し照れながら答える優弥。
「見た目より中がずっと広いのは魔法なんですか?」
「そうですよ、空間拡大魔法と呼ばれるものです。あの馬車の荷台にも同じ魔法がかけられています」
空間拡大魔法。そんな便利なものまであるのか。だから兵士の数が少ないのか。馬車の回りには十人程の兵士しかいない。怪我人などはみんな荷台に乗っているのだろう。
優弥は子供のような目で馬車を見つめていた。
しかし同時に、ユニーク魔法だろうが戦闘向きではないなとも思った。
それで生計を立てているんだろうし一財産は稼げそうな魔法だが、どう応用しても戦闘では役に立たないだろう。
もし、自分がそのような魔法だったら……。
優弥はワクワクした心のどこかで、そんなそら恐ろしい思いを感じでいた。
隊長は馬に乗り、いつでも出発できるといった様子。
「王都まで強行軍となります。一日半程で着くと思いますので、優弥殿は荷台でゆっくりとしていてください」
怪我人ばかりなのであまりあまり良い雰囲気ではないでしょうが、と苦笑する隊長。
「いえ、自分は無傷なので歩きます」
「しかし……」
隊長は渋い顔をしたが、無傷の自分が悠々と荷台に乗って楽をしているわけにはいかない。
「それに、この世界のことを教えてほしいので」
これが本当の理由だ。自分はこの世界のことを知らなすぎる。
教えてほしいことはいくらでもあった。
「わかりました。では、一緒に参りましょう」
隊長が折れて、晴れて優弥も王都まで歩くことになった。
優弥が歩きなので、自分だけ馬に乗っているのが悪いと思ったのか隊長も馬から降りた。
こうして、一行は月に照らされた夜道を王都へ向けて歩き出した。
知らないことも多い。知らなければならないことも多い。
でも、優弥の胸の中には、異世界を冒険するんだというワクワク感があった。
例えどんなに辛い旅路でも、元の世界に帰るために。
優弥は歩き出した。
「はい、だから異界人だということを黙っていてほしいと……」
優弥の言葉に、頷いて答える隊長。
「そうです。ユウヤ殿はかなり高いステータスだったのではないですか?」
優弥はギクリと肩を揺らしてしまう。
先程のやり取りと反応だけで見抜いてしまうとは。やはり一部隊を率いる長だ。
隊長はそれを可笑しそうに笑いながら見ている。
「そんな高いステータスの人物を放っておくことなんてできません。ユウヤ殿にお願いしたい」
「なんでしょうか?」
隊長は改まって、頭を下げる。
「ユウヤ殿に、我が部隊の一員となってもらいたいのです」
「え、はい。それが王都に連れていってもらう条件で……」
「そうではなく。王都までの道のりだけではなく、王都に着いた後、この世界の危機がわかり、それを取り除くまで、私の部隊の一員として力を振るっていただきたいのです」
「それは……」
隊長は真剣な眼差しで優弥を見つめていた。
しかし、優弥はそれを二つ返事で答えることができなかった。
(確かに、この世界の情報を知るなら、この世界の人と一緒にいた方がいいけど……)
目の前の人物は信頼するに足る人物だ。
しかし、それでも簡単に答えを出せないでいる。
(隊長が所属しているのは国だ。この世界の事情は知らないけど、もし他国と戦争をしていてたら……)
もしその戦争に参加しろと命令されたら。一兵士として部隊に加わることになったら断ることなどできないだろう。
優弥は、人の命を奪わなければならなくなる。
それだけは嫌だった。
例え異世界の人であろうと、それだけは絶対に嫌だった。
「一つだけ、条件があります」
「何でしょう。何でも言ってください」
隊長の言葉に熱が入る。何でも条件は飲みます、そんな強い意思が伝わってくるようだった。
「自分は、例えどんな状況であろうと、人を殺めたくはありません。もしそれを強要されるようなことがあれば、自分はどんな手段を取ってでも逃げ出します」
隊長は目を丸くさせていた。
優弥にとってはとても真剣な願いだったが、どうやら意外だったようだ。
優しげに微笑んで、力強く頷いた。
「わかりました。それがユウヤ殿の希望なら勿論受け入れましょう。ただ……」
その瞳はとても寂しげでいて。
「その気持ちだけは持ち続けてください。例えどんなことがあろうとも」
そう言って、手を出す。
優弥はその言葉の意図がよくわからなかったが、その手をしっかりと握って、
「わかりました」
とだけ答え、固い握手を交わす。
この約束を違えぬよう、この光景をしっかりと心に刻み込んだ。
「隊長、よろしいでしょうか?」
話がまとまったところで、タイミング良く外から声を掛けられた。
「今行く」
隊長は外に出ていった。
と思ったら二、三言葉を交わしただけですぐに戻ってきた。
「出発の準備が整ったようです。ユウヤ殿はいかがです?」
「はい、大丈夫です」
基本的に持ち物がないのだから準備のしようもないのだが、これは心の準備のことを聞かれているのかと思った。
心の準備は大丈夫だ。もう大丈夫。
この世界を、歩いていける。
隊長についてテントから出ると、外はさっぱりとしていた。
いくつもあったテントは、今出てきたばかりの一つを残してすべて片付けられており、馬車が二台あるだけだった。
近くにいた兵士がテントの入り口の支柱のてっぺんをぐいと持ち上げるとばさばさと音立ててまとまっていき、傘くらいの大きさになってしまった。そのまま馬車の荷台にしまう。
その光景を驚きの目で見ていた優弥が可笑しかったのか、隊長がふふふと笑った。
「魔法のテントは初めてですか?」
「魔法自体が初めてですから……」
その眼差しに、少し照れながら答える優弥。
「見た目より中がずっと広いのは魔法なんですか?」
「そうですよ、空間拡大魔法と呼ばれるものです。あの馬車の荷台にも同じ魔法がかけられています」
空間拡大魔法。そんな便利なものまであるのか。だから兵士の数が少ないのか。馬車の回りには十人程の兵士しかいない。怪我人などはみんな荷台に乗っているのだろう。
優弥は子供のような目で馬車を見つめていた。
しかし同時に、ユニーク魔法だろうが戦闘向きではないなとも思った。
それで生計を立てているんだろうし一財産は稼げそうな魔法だが、どう応用しても戦闘では役に立たないだろう。
もし、自分がそのような魔法だったら……。
優弥はワクワクした心のどこかで、そんなそら恐ろしい思いを感じでいた。
隊長は馬に乗り、いつでも出発できるといった様子。
「王都まで強行軍となります。一日半程で着くと思いますので、優弥殿は荷台でゆっくりとしていてください」
怪我人ばかりなのであまりあまり良い雰囲気ではないでしょうが、と苦笑する隊長。
「いえ、自分は無傷なので歩きます」
「しかし……」
隊長は渋い顔をしたが、無傷の自分が悠々と荷台に乗って楽をしているわけにはいかない。
「それに、この世界のことを教えてほしいので」
これが本当の理由だ。自分はこの世界のことを知らなすぎる。
教えてほしいことはいくらでもあった。
「わかりました。では、一緒に参りましょう」
隊長が折れて、晴れて優弥も王都まで歩くことになった。
優弥が歩きなので、自分だけ馬に乗っているのが悪いと思ったのか隊長も馬から降りた。
こうして、一行は月に照らされた夜道を王都へ向けて歩き出した。
知らないことも多い。知らなければならないことも多い。
でも、優弥の胸の中には、異世界を冒険するんだというワクワク感があった。
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優弥は歩き出した。
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