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犬、やめました。
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しおりを挟む何が起こってるのか理解出来ないまま、青から緑、緑から黄色と、次々と色が変わる観覧車の電球に照らされる彰の瞳を見た。
「俺、昔っからお前に酷い事をして、散々泣かせて来たよな」
こんな状況で、いきなり改まったように言ってくる彰に、視線を縫い付けられたかのようにひと時も目が離せない。
「お前はその事をとっくに許してるって言ったけど、俺の中ではこれで終わりにしたら駄目だって思ってる。
お前に付けてしまった心の傷を、俺は一生かけて償っていきたい。
でも……それ以上に、一生かけてお前を幸せにしてやりたいと思っている」
「……彰」
いつもと違うこの雰囲気に、変な緊張感が走って勝手に心臓が早まり、そのせいで上手く唾を飲むことさえ難しい。
これは一体なのんなのか。
状況を理解しようとしよう頭を働かせていると、彰はゆっくりと私の胸元辺りに何かを差し出してきた。
ゆっくりと視線を落として彰の手元に焦点を合わす。
すると、そこにはとても小さな黒い箱があった。
それが何なのかを予想するより先に、その箱は彰によって開かれた。
そして、その箱の中身が自分の視界に触れた瞬間、息の仕方を忘れたかのように呼吸が止まった。
「…………っ」
「遥。俺は一生、お前と一緒にいたい」
彰の手の中にある箱の中には、夜景に照らされて光り輝く大粒の宝石が付いた指輪があった。
突然の事に頭がついて行かず、頭が真っ白になって言葉も出てこない。
驚き過ぎて、こんなの予想だにしてなくて、正直喜んでいいのか、それすらも分からない。
というか、これが現実なのかも怪しい程に現実味が無い。
だって普通に考えたらこれって……
「……やだ」
やっと口から出た言葉は、自分でも予想外の言葉で、自分も彰も驚きを隠せない。
「えっ!?」
「あっ!?違うの!やだってそう言う意味じゃなくて、って……違うくなくて……あれ?そのっ……ごめん。
私、訳わかんないこと言ってるよね」
頭が酷く混乱していて、自分が何を言いたいのか、自分が何を思っているのかさえ分からなくなる。
「違うの……こんな事されると私、勘違いしちゃうから!」
「は?」
「なんか……
プ、プロポーズかな?って思っちゃうし!どうせ、じょ、冗談……とかそんなんでしょ?」
「ハァ!?勘違いな訳ねぇだろ!
こんな……こんなクソ恥ずかし事、冗談なんかで出来るか!!」
「う……。た、確かにそうだよね……」
彰はそんな冗談を言うタイプじゃない。
でも……
「おかしいよ。私たちが再会したの、つい数日前なんだよ?」
「それの何がおかしいんだよ」
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