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宗也サイド
しおりを挟む分家に来ていてたまたま買い出し頼まれて、いつもなら面倒で断るのに今日は素直に従った。
そして行った先で栄人に会った。まさか会うとは思ってなかったし、柄にもなくちょっと浮かれたりもした。
そして、初めて栄人の弱みを見た気がした。
誰にでも優しくて、偏見を持たない栄人は多分色んな人から見ても魅力的だろう。でも、誰とも深く関わろうとしないのは意図的だと思ってたが……今日の話を聞いて、無意識なのだと思った。
人が傷つく対象は人によって違う。だから、栄人が気にしてないと言っていたが、無意識に人との距離を取るぐらいには深く傷つたはずだ。優しいからこそ、なんだろうな…と俺は一人でに栄人を思い浮かべる。
周囲のノリとか流れに流されやすいのに、自分の考えは持っていて偏見を持たない。それでいて、あの見た目。ライバルが多いし、なんといっても会長が惚れているから気にしないようにしていたけど、弱みを見たら守りたくなる。栄人が嫌がるものから。
それが完全なる俺のエゴだとしても。
そう言えば…とふと思う。栄人と誰かとのキスはよく見るけど、俺は栄人とキスしたことはない。あの紅く色づいた柔らかそうな唇はどんな味なのだろうか。そこまで考えて、自分が気持ち悪い想像していることに気づき、首を振って煩悩を断つ。あくまで俺は誰にも気づかれずに想っていられればそれでいいんだ。そして一緒にいれればそれで……どうこうなろうとは思ってない、今は。
まぁ、キス……はしたいけど……
あわよくば、あの白い体を触りたっ…ヴェッホン、本当に俺は何も望んではない。
そこには、いつもの澄ました寡黙な生徒会庶務の姿ではなく、男子高校生ならではの悩みを持った宗也の姿があった。
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