【完結】俺は遠慮します。

抹茶らて

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体育祭⑸

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障害物競走って言葉の通りで大丈夫なんだよな?

「ねぇ、君も犠牲者?」


そう声を掛けられて振り向くと、可愛らしい男の子がいた。そりゃそうだよな、ここ男子校だし。それより…

「犠牲者って?」

「あれ?君知らずに来たの?障害物競走、別名コスプレ競争だよ。」

…………………え?

「コスプレ?…ってあのコスプレ?」

「どのコスプレを言ってるかは分かんないけど多分それであってるよ。コスプレって言うより女装の方があってると思うけど。」

待って、いま聞き捨てならない言葉が…

「それでは障害物競争へ出場する選手の入場です。」

もっと詳しく聞きたかったのに、アナウンスが入ってそれ以上は聞けなくなってしまった。どうしよう、俺とんでもないことを了承しちゃったのかもしれない。

この障害物競走では全学年の全クラス1人ずつ出場枠があるらしく、その全員が一斉にスタートするらしい。競争と言うより見世物の方が言い得て妙だけど。

「それでは位置について、よーいドン!」

俺は少しでも早く終わらせたい一心で、足を動かす。多分最近で一番本気。

「おーっと!ここで1年生Sクラスの夜須川栄人君がトップに躍り出る!!」

100mほど走った先に袋がたくさん置かれており、その中から一つ選んで簡易的に作られた着替えスペースへ急ぐ。どんな衣装になるかは運ってことだ。って言っても碌なもの入ってないと思うけど……

カーテンで仕切ってあるスペースに入って袋を開け、絶句する。…………………これ着ないとなんだよな…?あーもうっ!悩んでる暇なんてねぇ!男だ栄人!やるぞ!

シャッ

「夜須川栄人君が選んだのは…ッ!…な、なんとこれは……」

言葉を失う司会者に内心焦る俺。え、似合ってない?俺意外と顔は悪くないから、意外とイケてね?とか思ったんだけど…

「……ハッ!失礼しましたっ!私あまりの美しさに言葉を失ってしまいました!夜須川栄人君はまさかのチャイナドレス!」

やべぇ、俺ほんとに似合ってない感じ?似合ってても複雑なんだが…もう司会者の声なんて入ってない俺は自分のチャイナドレス姿に不安を感じながら目の前の平均台の上を走り、ロープが垂れた壁を上って降りる。
まぁ丈がミニじゃなくて踝ぐらいまであるロングで両側面にスリットが入ってるから意外と動きやすい。

「なにあれ、エロくね?」
「黒髪に青が映えてるし、足キレイすぎだろ…」
「俺、男無理だと思ってたけど、あれはイケるわ。」

その後も障害物を難なくクリアした俺はそのままゴールする。見たか、俺のチャイナドレス捌きを!



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