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衝撃
しおりを挟む昨日寝れないとか言ってた俺は、意外とぐっすり眠れて、万全の体調だ。ただ、寝起きにあの顔が目の前に合ったら心臓に悪いよな。しかも、なんか俺も会長に抱き着いたみたいな体勢だったし恥ずかしすぎだろ。
照れ隠しに会長のこと怒っちゃったし。ちょっと罪悪感に苛まれているが、気にしないことにする。
「班の班長は点呼を取って報告しに来い。」
先生の声に各班の班長が前に集まる。今から各班ごとにレクリエーションを兼ねた山登りをするらしい。レクリエーションと言ったら聞こえはいいがスタンプラリーみたいなものだ。
「次は俺たちの班だ。ケガすることなく終えよう。」
会長の一言で動き始める。一応は登山コースを上るらしいが一つ逸れると険しいコースになるらしいから気を付けないとだよな。
「班ごとに時間差で出発しているとは言え班の数からしてそこまでの時間は空けられない。追いつくのも時間の問題だな。」
「そうだね~それで問題起きなければ、いいけどね~」
会長と会計が真剣に話している後ろを俺たちはついて行くのみ。出発してから数分後に最初のスタンプラリーのポイントに到着する。
何年の先生だか分からんが、1人教師が立っていた。
「おう来たな。ここではクイズに正解するとスタンプを上げることができる。頑張って正解しろよ?って言っても生徒会じゃあ簡単か。」
先生の言葉通り難なく正解を重ねた俺たちの班は次の場所を目指す。
それから2、3か所ほどクリアをした頃、朝から良かった天気が傾き始めた。
「これは一降りしそうだな。雨が降ってないうちに行けるところまで急ごう。」
会長のその言葉にペースアップする。これで上まで登れたらいいんだけど…
そんな俺の思いも虚しく、ポツポツと降り始めた雨は次第に勢いを増す。
「…本格的に降り始めたねぇ。これは苦戦する班が多いんじゃない?」
「そうですね、これだと足場も悪くなりますしペースが一気に落ちてしまいますもん。」
会計の言葉に紡さんが同意する。確かに、ここまで降られると無駄に体力奪われそう。
「ここのあたりは落ち葉も多くて滑りやすい。気を付けてくれ。」
会長の忠告をしっかり聞いて、慎重に上っていると…
「今はさすがにヤバいんじゃない?」
「でも、やるなら今しかない!」
「そうだよ、もう我慢できないもん!」
コソコソとした話し声が聞こえる。俺たちの班の他に誰かいるのか?まぁ他の班とそんなに離れているわけでもないし不思議ではないか。
すると、耳元で何かが聞こえた。
「悪く思わないでね。君のせいなんだから。恨むなら自分を恨んでね…」
「え…?」
その言葉とともにドンッと身体に横から衝撃が加わり、いきなりのことで身体が対応できず、すぐ横の崖から滑る落ちる。視界が回り、身体のあらゆる所が擦れているのか痛みが走る。
ドンッ「ヴッ…」
身体に来たその衝撃を最後に俺の意識は途絶えた。
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