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約束
しおりを挟む遅れて教室に戻るとまだ授業は始まっておらず、一先ず安心する。
「栄人、遅かったじゃん。何かあったのか?」
「いや?何も。ほら、授業の用意。」
「あ、あぁ。ってなんでそんなに顔が赤いんだ?」
「えぇ?気のせいだろう。」
尊に痛い所を突かれたけど、無理やり気のせいにしておく。
それからは穏やかな日が続いた。特にこれと言って何もなく、いつもの日常が続いた。
そんな日々が過ぎるたびに寮長、もとい響先輩の卒業式が近づく。
卒業式の準備も着々と進み、俺たち一年生のちょっとした練習も始まったぐらいだ。
生徒会は来年も変わらずだが、風紀は三年生もいるらしく新一年生や在学生からスカウトをするんだとか。だから、トップは変わらないが一応の新チームになるらしい。
今日も何事もなく一日が終わり、寮へ戻る。寮の入口で見知った人影を見つける。
「栄人、久しぶりだなぁ。」
相も変わらず今日も気だるげな寮長だ。
「お久しぶりです、寮長。どうしたんですか?外に出て。」
「お前を待ってたんだよ。卒業式の日、どうせ一年も参加するんだろ?終わったら正門のところで待っとけ。」
それだけ、と言う言葉のように言いたいことだけ言って俺に背を向けて寮内へ入ってしまった寮長。
それくらいなら別にラインとかでも良かったんじゃ…
あ、これは失礼。折角顔を見に待っててくれた先輩に失礼だった。
とりあえず、卒業式の日のすぐに帰ってすぐ寝るという俺の予定は潰れたようだ。
でも卒業式の日に寮をすぐに出るわけじゃないから、わざわざ正門で待つなんてことしなくても寮で会えばいいじゃんね。正門に何があるんだか。
響先輩の謎な行動は俺に疑問を残したまま、当日までのお楽しみになったのだった。
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