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第10話
しおりを挟む私は2人に改めて、
「私は…確かにワーカー伯爵の娘ですが…実母が亡くなり、後妻に今の義母が義姉と共に伯爵家に来てからは……その…まともな教育を受けておりません。
10歳までは一応教育を施されておりましたので、読み書きに計算、簡単な歴史は勉強しておりますが、淑女としてのマナーも語学も教養も…公爵夫人としては足りないものばかりです。
ですので…王家から伯爵位以上のご令嬢と条件がありましたが、私は普通の伯爵令嬢としての教育水準には達しておりません。
本当の意味での条件を満たしていないと思うのです。
騙したようになってしまい…本当に申し訳ありません」
と頭を下げた。
すると、2人は、
「へ?条件?」
と不思議そうです。
するとメイナードさんが、
「それは…きっと王弟殿下の仕業ですな。こちらはそんな条件は付けておりません」
とさらりと答えた。
「で、でも、今、私が言ったように、私に公爵夫人が務まるとは…」
と私が言うと、
「お坊っちゃまは元々社交が大嫌いですので、アメリア様にもそれを望んでおりません。
アメリア様が夜会に出たい、茶会を開きたいと言うならば、 もちろん好きにしていただいて構いませんが、公爵夫人だからと肩肘を張る必要はございませんよ。
ご自由になさればよろしいかと」
…私も別に夜会も茶会も必要ないのだが、公爵夫人って、そんな事で良いのだろうか?
「いえ…あの…私は…デビュタントもまだですし、社交にも縁はありませんでしたから、特に、そういう希望はありませんが…」
と言うと、
「アメリア様は18歳…なのでは?」
とメイナードさんが恐る恐るといった具合に訊ねてきた。
「あ…いえ。まだ17歳。あ、明日で18歳になります」
「あぁ…良かった。デビュタントがまだだと聞いて、未成年かと。
明日がお誕生日でしたか!それは、それは!お誕生日が結婚記念日になるわけですな!盛大にお祝いをいたしませんと」
とメイナードさんは嬉しそうだ。
…なるほど、私は明日結婚するようだ。
父から詳しい事はこちらで聞けと何にも聞いていなかったので、わかって良かった。
自分の事の筈なのに、まるで他人事のように感じるが。
「お、お祝いは…遠慮しておきます。
でも、バルト公爵様は、この結婚に乗り気ではないと…そう聞いているのですが」
と私が言うと、メイナードさんの顔は瞬時に暗く陰った。
「アメリア様はちゃんと自分のご事情をお話してくださいました。
こちらも話しておかなければ、それこそフェアじゃないでしょうね」
とメイナードさんはポツリポツリと話し始めた。
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