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第41話
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私が口を開きかけると、
「私の名はライオネル・ロードだ。ライオネルと呼んで欲しい。で、お嬢さんのお名前は?」
とにこやかに、余分な誰かさんは私に挨拶をした。
…名前…私の聞き間違えでなければ…この方、王弟殿下…ですよね?
私は背筋を伸ばして、覚えたてのカーテシーをすると、
「私はアメリア・バルトで御座います。王弟殿下にはいつも…」
一応「主人がお世話になってます』的な挨拶をしようとした私に、
「は?!バルト?!ウィルに妹は…いなかったよな?」
と大声をあげたかと思えば、旦那様に向かって確認を取っている。
「僕に妹はいない。…ライオネルが会いたがっていた張本人だ」
と苦虫を潰したような表情で旦那様は答えた。
…やっぱり勝手に此処に来た事を、不快に思っているのかしら?機嫌が悪そうだ。
「…って事はこの美人がお前の奥さんな訳?!嘘?!羨ましい!」
…ライオネル殿下って…こんなキャラクターなの?騒がし…いえ、明るい方だわ。…旦那様のご友人…とは思えないぐらいに。
あ、旦那様は友人とは思っていないんだったかしら?
ライオネル殿下は確かに、今の国王陛下に似た容姿をされている。流石の私も国王陛下の顔ぐらいは認識していた。
「騒ぐな。うるさいだろ。ほら、もう見たんだから気は済んだろ?さっさと自分の部屋に帰れよ魔法大臣」
…魔法大臣…ライオネル殿下は魔法大臣なのね。
「え~折角だから、アメリアちゃんと喋りたいよ。ね、いいよね?」
と私に向かってライオネル殿下は許可を求めた。
アメリア…ちゃん?初めて言われたわ。
それに、ここで許可を取るべきは、私ではなく旦那様なのだけど…。
私が返事に困っていると、そんな事はお構い無しに、ライオネル殿下はどっかりと私の向かい側の長椅子へと腰かけた。
旦那様は、
「おい、勝手に座るな。出で行けと言っただろ?!」
と殿下に言うも、
「本当にお前はケチだなぁ。それに、私は王弟だぞ?魔法大臣だぞ?そんな邪険に扱っちゃダメな存在だよ?もっと敬えよ」
とライオネル殿下は口を尖らすと、
「オルガ、私にもお茶を」
とユージーンに指示した。帰るつもりはなさそうだ。
またもや魔法のポットが殿下の前でお茶をカップに注ぐ。つい、私はそれを見つめてしまっていた。何回見ても不思議だ。
「アメリアちゃん、今日はどうして此処へ?」
とカップから一口お茶を飲んだ殿下に訊ねられる。
旦那様も自分の椅子に座り、
「そうだ。どうした?こんな所まで」
と訊ねてきた。
私の代わりにモーリス先生が、
「私が連れて来たんです。公爵領では退屈だろうと思って。王都巡りでもと思ったんですが、アメリア様は此処に来てみたいと」
と答えてくれた。
私も、
「あの、旦那様、勝手をして申し訳ありません。旦那様のお勤め先を見てみたくて」
と素直に謝った。
「謝る必要はない。お前は別に囚人ではないんだから、自由にすれば良い。確かに公爵領には…若い女が喜びそうな物は何もないからな」
と旦那様もお茶を飲みながら私に言った。
…良かった。怒ってはいないみたい。
「今日はモーリス先生のご厚意に甘えてしまいましたが、私、公爵領でゆったりとした時間を過ごすのも大好きです。ドレスやアクセサリーにも興味はないので…」
と私が言うと、
「え~!そんな貴族のご令嬢がいるの?
私の知っている令嬢は、やれ新作のドレスが欲しいだの、大きな宝石の付いたネックレスが欲しいだのと、物欲の権化みたいな女性ばかりだが?」
とライオネル殿下は目を丸くした。
…ライオネル殿下のお付き合いしている女性の方に問題があるのではないかしら?
「私の名はライオネル・ロードだ。ライオネルと呼んで欲しい。で、お嬢さんのお名前は?」
とにこやかに、余分な誰かさんは私に挨拶をした。
…名前…私の聞き間違えでなければ…この方、王弟殿下…ですよね?
私は背筋を伸ばして、覚えたてのカーテシーをすると、
「私はアメリア・バルトで御座います。王弟殿下にはいつも…」
一応「主人がお世話になってます』的な挨拶をしようとした私に、
「は?!バルト?!ウィルに妹は…いなかったよな?」
と大声をあげたかと思えば、旦那様に向かって確認を取っている。
「僕に妹はいない。…ライオネルが会いたがっていた張本人だ」
と苦虫を潰したような表情で旦那様は答えた。
…やっぱり勝手に此処に来た事を、不快に思っているのかしら?機嫌が悪そうだ。
「…って事はこの美人がお前の奥さんな訳?!嘘?!羨ましい!」
…ライオネル殿下って…こんなキャラクターなの?騒がし…いえ、明るい方だわ。…旦那様のご友人…とは思えないぐらいに。
あ、旦那様は友人とは思っていないんだったかしら?
ライオネル殿下は確かに、今の国王陛下に似た容姿をされている。流石の私も国王陛下の顔ぐらいは認識していた。
「騒ぐな。うるさいだろ。ほら、もう見たんだから気は済んだろ?さっさと自分の部屋に帰れよ魔法大臣」
…魔法大臣…ライオネル殿下は魔法大臣なのね。
「え~折角だから、アメリアちゃんと喋りたいよ。ね、いいよね?」
と私に向かってライオネル殿下は許可を求めた。
アメリア…ちゃん?初めて言われたわ。
それに、ここで許可を取るべきは、私ではなく旦那様なのだけど…。
私が返事に困っていると、そんな事はお構い無しに、ライオネル殿下はどっかりと私の向かい側の長椅子へと腰かけた。
旦那様は、
「おい、勝手に座るな。出で行けと言っただろ?!」
と殿下に言うも、
「本当にお前はケチだなぁ。それに、私は王弟だぞ?魔法大臣だぞ?そんな邪険に扱っちゃダメな存在だよ?もっと敬えよ」
とライオネル殿下は口を尖らすと、
「オルガ、私にもお茶を」
とユージーンに指示した。帰るつもりはなさそうだ。
またもや魔法のポットが殿下の前でお茶をカップに注ぐ。つい、私はそれを見つめてしまっていた。何回見ても不思議だ。
「アメリアちゃん、今日はどうして此処へ?」
とカップから一口お茶を飲んだ殿下に訊ねられる。
旦那様も自分の椅子に座り、
「そうだ。どうした?こんな所まで」
と訊ねてきた。
私の代わりにモーリス先生が、
「私が連れて来たんです。公爵領では退屈だろうと思って。王都巡りでもと思ったんですが、アメリア様は此処に来てみたいと」
と答えてくれた。
私も、
「あの、旦那様、勝手をして申し訳ありません。旦那様のお勤め先を見てみたくて」
と素直に謝った。
「謝る必要はない。お前は別に囚人ではないんだから、自由にすれば良い。確かに公爵領には…若い女が喜びそうな物は何もないからな」
と旦那様もお茶を飲みながら私に言った。
…良かった。怒ってはいないみたい。
「今日はモーリス先生のご厚意に甘えてしまいましたが、私、公爵領でゆったりとした時間を過ごすのも大好きです。ドレスやアクセサリーにも興味はないので…」
と私が言うと、
「え~!そんな貴族のご令嬢がいるの?
私の知っている令嬢は、やれ新作のドレスが欲しいだの、大きな宝石の付いたネックレスが欲しいだのと、物欲の権化みたいな女性ばかりだが?」
とライオネル殿下は目を丸くした。
…ライオネル殿下のお付き合いしている女性の方に問題があるのではないかしら?
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