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第8話

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アナベル母:『あなた!大変ですわ』

アナベル父:『どうしたんだ?』

アナベル母:「王宮から召集…いえ、お茶会の招待状です』

アナベル父:『ん?それがどうかしたのか?』 

アナベル母:『招待されたのは私ではありません。…アナベルですの』

アナベル父:『ま、まさか…王太子殿下の?』

アナベル母:『きっとそうですわ。はっきりと名言はされておりませんけど。
年齢が7歳から10歳の伯爵位以上のご令嬢が対象のようです。
…これは…王太子殿下の婚約者選びの為のお茶会でしょう…』

アナベル父:『そうか…王太子殿下も10歳だからな。そろそろ本格的に婚約者選びに乗り出したのか』

アナベル母:『そのようですわ。それが例え違っていたとしても、まず…王宮で開かれるお茶会など…アナベルには無理です』

アナベル父:『そうだな。今の今まで、どんなお茶会にも出さず、他の家との交流も断ってきたんだ。アンダーソン家を除いて』

アナベル母:『それもこれもあの娘が…大人しくお茶会に参加出来る性格ではないからですわ。どうしましょう…王宮でのお茶会で粗相をしてしまったりしたら…ますますアナベルの貰い手はいなくなってしまいます』

アナベル父:『それだけで済めば良いが、万が一王太子や王妃に無礼を働いたら…最悪、命はない…』

アナベル母:『そんなっ…!アナベルはあんな…娘ですが、私にとっては可愛い娘。…あなた!何とかして下さい!』

アナベル父:『…お茶会を欠席するしかあるまい』

アナベル母:『でも…このお茶会は強制参加と…』

アナベル父:『年齢を偽るか?』

アナベル母:『あなた…貴族の娘は出生届を王宮に提出してるのよ?無理だわ』

アナベル父:『病気になった事にするか…』

アナベル母:『見て、この招待状。下の方に小さな小さな文字で、(*病欠される際には、診断書の提出を。また、後日改めて召集に応じる事)と書いてあるわ!こんな…小さな文字…まるで*個人の感想です。効果には個人差がありますって書いてある、ダイエット商品の広告のようだわ』

アナベル父:『くそっ!なんとしても王家は対象者の令嬢全員と殿下を面会させたいようだな』

アナベル母:『ルシウス殿下は、両陛下の愛情を一身に受けてお育ちですもの。可能性のあるご令嬢の全員をルシウス殿下に相応しいか見極めたいのでしょう…』

アナベル父:『仕方ない…こんな所で最終手段は使いたくなかったが…メルヴィルと婚約させよう。それなら…このお茶会は欠席出来るようになる筈』

アナベル母:『そうよね?だって殿下の婚約者選びの為のお茶会ですもの。この際、アンダーソン家には犠牲になって貰いましょう』

アナベルの両親は苦肉の策としてアンダーソン伯爵家の長男メルヴィルと、アナベルを婚約させる事にしたのだった。
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