60 / 140
その60
しおりを挟む
私は元気に職場復帰した。
しかし、3日ぶりの殿下は…荒れていた。
とにかく機嫌が悪い。
何があったんだ?!
私はユリアに何があったか訊こうとするも、じっと出来る暇がないほどに殿下からの要求が多い。
「髪型が気に入らないから変えろ」
「お茶の味が気に入らないから淹れ直せ」
「足が痛いから揉め」
「肩が痛いから揉め」
「喉が痛いから、ハチミツを持って来い」
「カーテンの色が気に入らないから代えろ」
等々。
命令の度に、私もユリアも右に左に大忙しだ。
夕方になってレジーがやって来たが、レジーの顔色が悪い。
聞きたい事が山ほどあるのに、殿下がその隙を全く与えてくれなかった。
私は、殿下が寝た後に、レジーと話をする事にした。レジーの顔色が悪い事も気になっていたし。
「レジー、大丈夫?顔色が悪いわ」
と私が訊ねると、レジーはしくしくと泣き出した。
レジーの話はこうだ。
アーベル殿下とのお茶会に、ミシェル殿下が着たいと言ったドレスは、お茶会には相応しくない物だった。
レジーは元々平民だ。お茶会には縁はない。
しかし、ミシェル殿下が選んだドレスがお茶会には些か派手である事はわかっていたので、ミシェル殿下にそれとなく進言するも、聞き入れては貰えなかった。
多分、口煩い私が居ないのを良い事に、自分の思い通りの装いをしたかったようだ。それに香水も山のようにつけて。
お茶会で、その姿を見たアーベル殿下は明らかに不愉快そうだったらしい。
しかも、その香水の香りにあてられてアーベル殿下は気分が悪くなってしまった。
いつもにもまして早く終わったお茶会の最後にアーベル殿下は、
「お茶会だというのに、お茶の香りもわからなくなる程の香水をつけてくるなど…。それに、そのドレス…夜会でもそこまで露出はしないのではないか?申し訳ないが、俺にはその振る舞いが理解出来ない』
と言って、その席を後にしたらしい。
レジーは
「私のせいです。私が殿下をお止めしなかったから」
といって泣いている。
一介の侍女が、王女に意見するのは困難だ。
私ですら、一応言葉を選んでいるのだ。
まだ、殿下の侍女になって間もないレジーには無理だ。
「レジーのせいじゃ、ないわ。はっきり言って、殿下の自業自得よ」
と私は言うが、レジーは自分を責めていた。
寝不足になり顔色が悪くなったらしい。
私がいつもダメだと言っている事が、何故ダメなのか理解していない、ミシェル殿下が悪い。
多分、殿下も自分が悪い事に気づいているが、認めたくはないだろう。八つ当たりだ。
機嫌が悪くて扱いにくいが、私にはもうどうする事も出来ない。
ここから、殿下は、名誉挽回できるのだろうか…
しかし、3日ぶりの殿下は…荒れていた。
とにかく機嫌が悪い。
何があったんだ?!
私はユリアに何があったか訊こうとするも、じっと出来る暇がないほどに殿下からの要求が多い。
「髪型が気に入らないから変えろ」
「お茶の味が気に入らないから淹れ直せ」
「足が痛いから揉め」
「肩が痛いから揉め」
「喉が痛いから、ハチミツを持って来い」
「カーテンの色が気に入らないから代えろ」
等々。
命令の度に、私もユリアも右に左に大忙しだ。
夕方になってレジーがやって来たが、レジーの顔色が悪い。
聞きたい事が山ほどあるのに、殿下がその隙を全く与えてくれなかった。
私は、殿下が寝た後に、レジーと話をする事にした。レジーの顔色が悪い事も気になっていたし。
「レジー、大丈夫?顔色が悪いわ」
と私が訊ねると、レジーはしくしくと泣き出した。
レジーの話はこうだ。
アーベル殿下とのお茶会に、ミシェル殿下が着たいと言ったドレスは、お茶会には相応しくない物だった。
レジーは元々平民だ。お茶会には縁はない。
しかし、ミシェル殿下が選んだドレスがお茶会には些か派手である事はわかっていたので、ミシェル殿下にそれとなく進言するも、聞き入れては貰えなかった。
多分、口煩い私が居ないのを良い事に、自分の思い通りの装いをしたかったようだ。それに香水も山のようにつけて。
お茶会で、その姿を見たアーベル殿下は明らかに不愉快そうだったらしい。
しかも、その香水の香りにあてられてアーベル殿下は気分が悪くなってしまった。
いつもにもまして早く終わったお茶会の最後にアーベル殿下は、
「お茶会だというのに、お茶の香りもわからなくなる程の香水をつけてくるなど…。それに、そのドレス…夜会でもそこまで露出はしないのではないか?申し訳ないが、俺にはその振る舞いが理解出来ない』
と言って、その席を後にしたらしい。
レジーは
「私のせいです。私が殿下をお止めしなかったから」
といって泣いている。
一介の侍女が、王女に意見するのは困難だ。
私ですら、一応言葉を選んでいるのだ。
まだ、殿下の侍女になって間もないレジーには無理だ。
「レジーのせいじゃ、ないわ。はっきり言って、殿下の自業自得よ」
と私は言うが、レジーは自分を責めていた。
寝不足になり顔色が悪くなったらしい。
私がいつもダメだと言っている事が、何故ダメなのか理解していない、ミシェル殿下が悪い。
多分、殿下も自分が悪い事に気づいているが、認めたくはないだろう。八つ当たりだ。
機嫌が悪くて扱いにくいが、私にはもうどうする事も出来ない。
ここから、殿下は、名誉挽回できるのだろうか…
165
あなたにおすすめの小説
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。
ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。
ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。
竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。
*魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。
*お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。
*本編は完結しています。
番外編は不定期になります。
次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【書籍化決定】愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる