世にも不幸なレミリア令嬢は失踪しました

ひよこ麺

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第三章:恋獄の国と悲しいおとぎ話

45.前世の物語と不幸令嬢(ルーファス視点)17

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「お願いだ、ヨミ。一度トリスが居ないタイミングであの塔に戻らないといけない」

「だめです、殿下。捕まれば今度こそおしまいです」

なんとか、「キヅタの塔」から逃げることに成功し、現在はあらかじめ海の国の密偵が準備していた隠れ家に身を隠している。

魔法が使えるようになったことで歩くこともできるが実際はリハビリが必要な状態は変わらない半病人であるため、無理はできそうにないが、あの部屋に戻らないといけない理由があった。

「ヨミ、あの部屋にレミーナからの作戦に関する手紙が残ってしまっているんだ。このまま、もしあれがトリスに見つかればレミーナへ危害が及びかねない」

「……なるほど。だとしても殿下にはいかせられません。密偵を送ります。取り急ぎ手紙を置いた場所だけ教えてください」

僕はヨミにベッドの下にあることを伝えるとすぐに密偵をそちらへよこしてくれた。これで手紙が回収されれば問題ないはずだが、何故か胸騒ぎがした。

「殿下、元々の計画より1日早くこちらに転移したので計画を変更する必要ができました」

「……そうだ、ヨミお前は転移魔法を使ったのに反動は出ていないのか?」

僕はその反動で1年間も寝ていた。ならヨミだって……そう思ったがヨミはニコりと笑い、

「反動は大丈夫です。私の魔法量が多いので。ただ、ブルームーン前にこの力を使ってしまったので、片道分しか転移魔法は使えなくなりました。大変ですが監視をかいくぐり海の国を出る必要が出てきました」

「……なるほど。しかしお前の魔法量は僕より多いのか?」

以前目の前で魔法量を測ったはずだが、その時はそこまで高かった記憶がない。今の月の国で一番魔法量が高いのは僕だったはずなので奇妙だ。

「ここから抜けたらちゃんとお話しします。ただ、今は安全にレミーナ様含めて脱出する方法を考える必要がある。私も今はそこまで強力な魔法を使える力が残っていないので、元々協力予定だった太陽の国の使者とも結託する必要があります」

「そうだな。僕も歩くために随時今は魔法使用しているのもあって、大がかりな魔法は難しい。だとしたらある程度効率的に動く必要があるな」

そう話していた時、息を切らした密偵が血相を変えてやってきた。

「大変です、レミーナ姫様のところに海の国の騎士が現れて……姫君を殺そう追い回しているようで、太陽の国の者達が応戦しておりますが人数が多いのとここが海の国であることもあり分が悪く……」

「なんだと、すぐにでもレミーナ姫を救わないと!!」

「ルーファス殿下、落ち着いてください。今貴方がいってもトリス王太子の思うつぼでしょう。とりあえず、一度私と密偵の一部を連れていってきます。くれぐれも大人しくしていてください」

そう言ってすぐにヨミは帰ってきて密偵とその他数名の密偵を引き連れてレミーナ姫の救出へ向かった。本来今すぐにでもレミーナの元へ向かいたかったが勇敢と無謀は違うものだ。ここで半病人の僕が行くのは悔しいが足手まといになるだけだ。

とりあえず少しでも助けになる様に僕は監視魔法を使用した。監視魔法は近隣の風景を見ることができるようになる魔法だ。海の国の者が近くに居ないか半径1km圏内を見てみた。すると……

(割と近くまで来ているようだな。だとしたらこの隠れ家へのカモフラージュをもう少し行うべきだな)

一応隠れ家は普通に目視できないようにはなっているが、魔法に対して耐性があるアイテムがあると看破されてしまうこともあるので出来る範囲だが結界も張った。その時……

「ルー、どこにいる??ルー」

そう今もっとも聞きたくない声が外から聞こえてきたのは……

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