世にも不幸なレミリア令嬢は失踪しました

ひよこ麺

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第五章:真実の断片と

75.海の王太子と不幸令嬢02

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「もとはと言えば、貴様がクリストファーを……」

「そのお話は以前いたしました。書類に不備はなかった、ただそれだけです」

レミリアはふたりのやりとりをはじめてみた。そして気づいた。かの王は、この王太子への扱いがとても酷いことに。

そして、それは王太子も知っていて、気にする素振りさえみせなかった。

(クリストファー殿下にはもう少し優しい表情をする人なのに……クレメンテ殿下にはとても冷たいのね、まるで以前感じていた、私と妹の関係みたいね)

けれど、先ほどの父の独白からそれがどうやら誤りであることは知った。それでもそれすらも妄想ではないかと心配になるのだけれど。

そして、レミリアは思った、かの王は何故、わざわざ王太子の元へ来たのだろう。今している会話には何の意味もないもののような気がしたからだ。

「折角、王太子にしてやったというのに、何故お前はこうもやる気がなくいい加減なのだ」

「父上、私は所詮、身分の低い女の息子なのです。難しことはあまり得意ではないただそれだけです」

そう言った、クレメンテを見た時、レミリアは無意識に泣いていた。彼のその言葉回しに自分と似たものを感じていたから。

クレメンテはわざと愚者を演じる。そのために皮肉交じりに自身を下げている。それはレミリアが長年行ってきたことと一緒だった。生き残るためにバカを演じている。ずっと分かってはいた。けれど間違いないと確信したのは彼の沼のように眠たい瞳と称される、深緑の目にどうしようもない怒りを見たからだ。

「ふん。まぁいい。それより兵士の準備はおこなっているのだろうな?」

「もちろん、滞りなく」

(戦……うそ、どこの国と戦うつもりなの??)

故郷が戦火によって消えるなど望んでいない。けれど今王と王太子が戦争の話をしている。その現実に心が乱れる、その瞬間自身が希薄になるような気がした。

(どうして……これは……)

「レミー、やっと見つけた。だめだこのままでは消えてしまう。帰ろう」

あたたかい手が、レミリアに触れた。振り返らなくても分かる。それはルーファスだと。だからこそその手を振り払う、たとえ消えてもレミリアはルーファスの元へ戻りたくはなかった。

「いや!!ルーファス、私は……」

そう叫んだ時、頭が急に痛くなる、そのまま、まるで耳鳴りがするような音がしてレミリアは倒れた。

倒れる瞬間確かに、国王が、

「ムーンティア王国を滅ぼさなければいけない」

と言ったのが聞こえたが、それを確かめる前に意識が完全に暗転していた。

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