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第8話 謝罪、そしてお願い
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次の日、教室に入った心結はまっすぐに良也の姿を捉えた。が、心の奥底からこみ上げてくる正体不明の感情のせいですぐに目をそらしてしまう。
(なんで、なんで目そらしちゃうの……!)
心の中ではそう思っていたとしても体はその真逆のことをし続ける。まるで心が自分のものじゃないみたいに。
結局うつむきながら自分の席につくことになった。
(仲直りしないといけないのに……)
文化祭の実行委員が絶賛喧嘩中だったらクラスの士気を下げかねない。――というのは建前で、今まで仲良く話せた時の達成感と楽しい気持ちを、たった半日経っただけでまた味わいたくなってしまっているのが一番大きい理由だ。
けれど、今の心結は良也を無視していた時と同じ状態に戻ってしまっている。それは本人が一番わかっていて、
「ねえ南月……」
昼休みに手招きして南月を呼び止める。
「どしたの心結、なんか悩みごと? って、あーなんか予想ついたわ」
「仲上くんのこと?」と心結に耳打ちすると、やはり南月の予想通りだったらしく、心結は首を必死に縦にこくこく振っている。
(見る感じ、仲上くんもあまり気にしてなさそうだし、素直に謝りに行けばすぐ終わる話なんだけどなー……)
昼休みになって私に助けを求めるってことは素直に謝れなくて、他の案がないかってことだと思うんだよなー…… そう考えた南月は最初に思ったことをすぐに口に出すことはできず、他のアドバイスがないか考える。
「じゃあラインは? ラインだったら面と向かって言わなくていいし、相手の表情見なくていいじゃん」
はっとした表情でスマホを取り出した心結は登録してから全くメッセージのやり取りをしていないことが一目でわかる、真っ白な良也とのトーク画面を開いた。
「た、たしかに、ラインだったら……」
スマホを両手で持ち直し、メッセージをゆっくりと打ち込んでいく。初めてのラインでのやり取りに緊張しているのか、姿勢はやけに前のめりで、指が震えていた。
「……よし、打てた……」
打ったメッセージをもう一度読み直し、親指を送信ボタンに持っていく。震える指がそのボタンを押すことを拒むが、心結は意を決して、ボタンを押した。
ポスっという音がしたかと思えば真っ白だったトーク画面に一つ、緑色に縁取られたメッセージが出ていた。その横に表示されている時刻の上に既読マークはさすがにまだついていない。放課後までにはつくだろうと思いながら心結はスマホの電源を落とした。
◆ ◆ ◆
「ん? なんでこんな時間にラインが?」
昼食を食べ終え、スマホでゲームをしていた良也のスマホに一件の通知が入ってきた。
入ってる友達は親と誠司だけのラインがなることは滅多になく、この昼休憩の時間になることは今まで全くなかった。
(誠司の悪ふざけか……?)と思いながら良也はラインを開く。
開かれたトーク画面のユーザ名に『誠司』の二文字はなく、代わりに『みゆ』という二文字が出ている。
(『みゆ』って……辻原の名前!?)
スマホの画面から急いで顔を上げた良也は教室を見渡し、教室の隅にいる心結を見つけた。その心結は、スマホで顔を隠し、一瞬ちらっと良也の方を見たかと思えばすぐに顔を伏せてしまう。
(何送ったんだ……?)と心のなかでつぶやきながらラインのメッセージに目を落とす。
そこにはこう書かれていた。
【仲上くん、あの時急に帰ってごめんなさい。仲上くんに私の家の場所を知られてるとは思ってなくて、びっくりして帰ってしまいました。もし、許してくれるなら、このお願いを聞いてくれると嬉しいです。】
【こんな私で良ければ、お友達になってくれませんか?】
(なんで、なんで目そらしちゃうの……!)
心の中ではそう思っていたとしても体はその真逆のことをし続ける。まるで心が自分のものじゃないみたいに。
結局うつむきながら自分の席につくことになった。
(仲直りしないといけないのに……)
文化祭の実行委員が絶賛喧嘩中だったらクラスの士気を下げかねない。――というのは建前で、今まで仲良く話せた時の達成感と楽しい気持ちを、たった半日経っただけでまた味わいたくなってしまっているのが一番大きい理由だ。
けれど、今の心結は良也を無視していた時と同じ状態に戻ってしまっている。それは本人が一番わかっていて、
「ねえ南月……」
昼休みに手招きして南月を呼び止める。
「どしたの心結、なんか悩みごと? って、あーなんか予想ついたわ」
「仲上くんのこと?」と心結に耳打ちすると、やはり南月の予想通りだったらしく、心結は首を必死に縦にこくこく振っている。
(見る感じ、仲上くんもあまり気にしてなさそうだし、素直に謝りに行けばすぐ終わる話なんだけどなー……)
昼休みになって私に助けを求めるってことは素直に謝れなくて、他の案がないかってことだと思うんだよなー…… そう考えた南月は最初に思ったことをすぐに口に出すことはできず、他のアドバイスがないか考える。
「じゃあラインは? ラインだったら面と向かって言わなくていいし、相手の表情見なくていいじゃん」
はっとした表情でスマホを取り出した心結は登録してから全くメッセージのやり取りをしていないことが一目でわかる、真っ白な良也とのトーク画面を開いた。
「た、たしかに、ラインだったら……」
スマホを両手で持ち直し、メッセージをゆっくりと打ち込んでいく。初めてのラインでのやり取りに緊張しているのか、姿勢はやけに前のめりで、指が震えていた。
「……よし、打てた……」
打ったメッセージをもう一度読み直し、親指を送信ボタンに持っていく。震える指がそのボタンを押すことを拒むが、心結は意を決して、ボタンを押した。
ポスっという音がしたかと思えば真っ白だったトーク画面に一つ、緑色に縁取られたメッセージが出ていた。その横に表示されている時刻の上に既読マークはさすがにまだついていない。放課後までにはつくだろうと思いながら心結はスマホの電源を落とした。
◆ ◆ ◆
「ん? なんでこんな時間にラインが?」
昼食を食べ終え、スマホでゲームをしていた良也のスマホに一件の通知が入ってきた。
入ってる友達は親と誠司だけのラインがなることは滅多になく、この昼休憩の時間になることは今まで全くなかった。
(誠司の悪ふざけか……?)と思いながら良也はラインを開く。
開かれたトーク画面のユーザ名に『誠司』の二文字はなく、代わりに『みゆ』という二文字が出ている。
(『みゆ』って……辻原の名前!?)
スマホの画面から急いで顔を上げた良也は教室を見渡し、教室の隅にいる心結を見つけた。その心結は、スマホで顔を隠し、一瞬ちらっと良也の方を見たかと思えばすぐに顔を伏せてしまう。
(何送ったんだ……?)と心のなかでつぶやきながらラインのメッセージに目を落とす。
そこにはこう書かれていた。
【仲上くん、あの時急に帰ってごめんなさい。仲上くんに私の家の場所を知られてるとは思ってなくて、びっくりして帰ってしまいました。もし、許してくれるなら、このお願いを聞いてくれると嬉しいです。】
【こんな私で良ければ、お友達になってくれませんか?】
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