【前編完結】幻想世界《ファンタジーワールド》 機幻遊戯：ＧＡＬＡＸＹ ＳＯＵＬ－銀河の騎士

二人で一人

だが、アグレイアも黙っている訳ではなく、オランタム・ファイターに向かって右手に持つビームサーベルで斬り付ける。

疾風連撃しっぷうれんげきのスキル発動後の技後硬直中のオランタム・ファイターに、アグレイアのビームサーベルが当たろうとした瞬間。

オランタム１号機の脚の部分が、グルンと後ろから横の方に向きを変えて、技後硬直にも関わらずにアグレイアから離れる。

「サンキュウ！　頼子さん！」

「回避運動は任せなさい！」

そう。

合体したオランタムは、攻撃担当のパイロットと、機体の制御系担当のサブパイロットに別れて動かせる。

合体すれば出力の上昇が飛躍的に上がり、ランク的にもユニークランクの強さを誇る機体なのだが。

この変則的なシステム分担役割のせいで、人気が出ない機種の代名詞にも為ってしまっている。

なにせ、攻撃担当パイロットが攻撃をし終わるまでは、機体の制御権は攻撃パイロットに在る。

つまり、攻撃が【当たる】か【外れる】かの、どちらかの判定が出るまではサブパイロットに機体の制御権限は移らない。

そして、その瞬間の動きだけは、機体のＣＰＵメインコンピューターも関与できないと言う縛り付き。

つまりは、プレイヤーの判断とプレイヤー自身の腕スキルでしか機体の制御は出来ない。

どこぞの漫画やアニメじゃないけど、【２人で１人】を地で行く機体だ。

長年の付き合いのある【親友】や【幼馴染】とかでも息を合わせるのは難しのに。

それを、イキナリやってのけた、健太と頼子のセンスが何かと変だと思うのは間違いではないと思う。

「ガンガン行くぜ！？」

「イッちゃって良いわょっ！」

最早テンションが、おかしな方向に向かいつつある２人。


「振動短剣ハーモニック・スカルペル・ダガーを装着！」

『了解。』

健太の声に、オランタム１号機のＣＰＵメイン・コンピューターが答える。

近接戦闘で、敵機アグレイアのＨＰ耐久値を削るオランタム・ファイター。

時折、距離を取った所を、上空からの戦姫ヴァルキリーと、地上からの桂子けいことタクヤの遠距離攻撃がアグレイアのＨＰ耐久値を更に削り取っていく。

敵機アグレイアのＨＰ耐久値が、残り半分くらいに為った時。

「雑魚沸きっ！　左に４機！　右に３機！」

戦艦ギルドハウスに乗る、アイラから声があがる。


「右の３機は私が持つからっ！左はお願い！」

アイラの声が響くと同時に、空中で健太の援護をしていた香織が右側の３機を相手にする為に向かう。


「左は、俺とタクヤに任せろっ！　いくぞ！タクヤ！」

「了解っ！」