39 / 197
オメガ降臨
アルファに叱られる
しおりを挟む
叶斗が嬉しそうに俺の口にピザを放り込む。俺は行儀の悪さはこの際棚上げして、打ち身のケアを優先した。ちょっと冷ましてくれているのか、吹き出さなくて済んでいるピザは美味い。食べ始めると結構腹が減っているのが分かる現象は何だろうな。
流石に10分も経つ前に冷たさに限界を感じて、跳ね起きた。背中から保冷剤がソファに落ちて拾い集めて軽く洗って、冷凍庫に仕舞う。後一回やった方が良いかもしれない。
取り敢えず寝転がっていたソファに座って、テーブルの上のピザに手を伸ばした。ん?何か叶斗と高井が物言いたげだ。俺はピザを一切れ皿に取ると、口元に持ってかぶりついた。
「叶斗の食べさせてくれたピザも美味かったけど、熱々を頬張って食べるのもやっぱり美味い。」
そう、ご機嫌で言うと、高井が困った顔をして言った。
「あのさ、上に何か着ないのか?」
俺は次のピザを皿に乗せながら答えた。
「あー、もう一回アイシングするし、その後湿布貼るから。いちいち脱いだり着たり面倒だろ?」
俺の言葉に叶斗が溜息をついて言った。
「岳はさ、自覚が足りないって思うんだけど。」
俺はピザを口の中に送りながら、叶斗を見た。
「俺が岳を好きだって言ってる側から、そうやって色気を振り撒いてさ。βだから、Ωだからって事はないけど、少なくとも俺には目に毒だから。」
そう言いながら、俺の上半身をねっとりと見つめた。あれ、これはヤバい感じ?動揺した俺が高井に救いを求めると、高井もまた俺をぎらつく眼差しで見ていた。俺は急にゾクゾクしてカッと身体が熱くなった気がした。
「ちょっ!岳不味いって!」
そう言いながら、叶斗が慌てて窓を開けに行った。高井もリビングの仕切り扉を開けに立っていた。あー、もしかして俺臭気の元になった感じ?ゾクゾクしたのは一瞬だったけれど、俺は立ち上がると瓶に入った抑制剤を飲んだ。
「臭かった?悪い。薬飲むタイミング遅れたのかも。俺、そっちのテーブルで食べるよ。近くに居ない方が良いだろ?」
リビングに突っ立った二人が顔を見合わせて、声を揃えて言った。
「「だから服着ろって!」よ!」
俺はオメガって面倒くさいなぁとおもいながら、渋々ダイニングチェアに掛けておいたTシャツを着た。どうせまた脱ぐのに…。そんな俺に叶斗が俺をじっと見つめて何か呟いたけれど俺には聞こえなかった。
『それに、岳の匂いは臭いんじゃなくて、良い匂い過ぎて俺たちがクラクラしてヤバいんだよ…。』
流石に10分も経つ前に冷たさに限界を感じて、跳ね起きた。背中から保冷剤がソファに落ちて拾い集めて軽く洗って、冷凍庫に仕舞う。後一回やった方が良いかもしれない。
取り敢えず寝転がっていたソファに座って、テーブルの上のピザに手を伸ばした。ん?何か叶斗と高井が物言いたげだ。俺はピザを一切れ皿に取ると、口元に持ってかぶりついた。
「叶斗の食べさせてくれたピザも美味かったけど、熱々を頬張って食べるのもやっぱり美味い。」
そう、ご機嫌で言うと、高井が困った顔をして言った。
「あのさ、上に何か着ないのか?」
俺は次のピザを皿に乗せながら答えた。
「あー、もう一回アイシングするし、その後湿布貼るから。いちいち脱いだり着たり面倒だろ?」
俺の言葉に叶斗が溜息をついて言った。
「岳はさ、自覚が足りないって思うんだけど。」
俺はピザを口の中に送りながら、叶斗を見た。
「俺が岳を好きだって言ってる側から、そうやって色気を振り撒いてさ。βだから、Ωだからって事はないけど、少なくとも俺には目に毒だから。」
そう言いながら、俺の上半身をねっとりと見つめた。あれ、これはヤバい感じ?動揺した俺が高井に救いを求めると、高井もまた俺をぎらつく眼差しで見ていた。俺は急にゾクゾクしてカッと身体が熱くなった気がした。
「ちょっ!岳不味いって!」
そう言いながら、叶斗が慌てて窓を開けに行った。高井もリビングの仕切り扉を開けに立っていた。あー、もしかして俺臭気の元になった感じ?ゾクゾクしたのは一瞬だったけれど、俺は立ち上がると瓶に入った抑制剤を飲んだ。
「臭かった?悪い。薬飲むタイミング遅れたのかも。俺、そっちのテーブルで食べるよ。近くに居ない方が良いだろ?」
リビングに突っ立った二人が顔を見合わせて、声を揃えて言った。
「「だから服着ろって!」よ!」
俺はオメガって面倒くさいなぁとおもいながら、渋々ダイニングチェアに掛けておいたTシャツを着た。どうせまた脱ぐのに…。そんな俺に叶斗が俺をじっと見つめて何か呟いたけれど俺には聞こえなかった。
『それに、岳の匂いは臭いんじゃなくて、良い匂い過ぎて俺たちがクラクラしてヤバいんだよ…。』
51
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
メビウスの輪を超えて 【カフェのマスター・アルファ×全てを失った少年・オメガ。 君の心を、私は温めてあげられるんだろうか】
大波小波
BL
梅ヶ谷 早紀(うめがや さき)は、18歳のオメガ少年だ。
愛らしい抜群のルックスに加え、素直で朗らか。
大人に背伸びしたがる、ちょっぴり生意気な一面も持っている。
裕福な家庭に生まれ、なに不自由なく育った彼は、学園の人気者だった。
ある日、早紀は友人たちと気まぐれに入った『カフェ・メビウス』で、マスターの弓月 衛(ゆづき まもる)と出会う。
32歳と、早紀より一回り以上も年上の衛は、落ち着いた雰囲気を持つ大人のアルファ男性だ。
どこかミステリアスな彼をもっと知りたい早紀は、それから毎日のようにメビウスに通うようになった。
ところが早紀の父・紀明(のりあき)が、重役たちの背信により取締役の座から降ろされてしまう。
高額の借金まで背負わされた父は、借金取りの手から早紀を隠すため、彼を衛に託した。
『私は、早紀を信頼のおける人間に、預けたいのです。隠しておきたいのです』
『再びお会いした時には、早紀くんの淹れたコーヒーが出せるようにしておきます』
あの笑顔を、失くしたくない。
伸びやかなあの心を、壊したくない。
衛は、その一心で覚悟を決めたのだ。
ひとつ屋根の下に住むことになった、アルファの衛とオメガの早紀。
波乱含みの同棲生活が、有無を言わさず始まった……!
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
すれ違い夫夫は発情期にしか素直になれない
和泉臨音
BL
とある事件をきっかけに大好きなユーグリッドと結婚したレオンだったが、番になった日以来、発情期ですらベッドを共にすることはなかった。ユーグリッドに避けられるのは寂しいが不満はなく、これ以上重荷にならないよう、レオンは受けた恩を返すべく日々の仕事に邁進する。一方、レオンに軽蔑され嫌われていると思っているユーグリッドはなるべくレオンの視界に、記憶に残らないようにレオンを避け続けているのだった。
お互いに嫌われていると誤解して、すれ違う番の話。
===================
美形侯爵長男α×平凡平民Ω。本編24話完結。それ以降は番外編です。
オメガバース設定ですが独自設定もあるのでこの世界のオメガバースはそうなんだな、と思っていただければ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる