97 / 197
東京遠征
お仕置き前のお小言※
しおりを挟む
黒と茶色のシックな浴室に連れ込まれた俺は、二人にあっという間に身包み剥がされていた。抵抗はしなかった。それはしない方が良いと踏んだからだ。
さっきのタクシーのあの疼きは食事をしたせいか、少し収まっていた。あれが発情では無いとすると、Ωの発情期がどんな酷い事になるのかと思うとゾッとしてしまう。
「岳、俺たちにちゃんと話さないから、こう言う事になるんじゃ無いの?ちょっと今日は、穏やかな俺も我慢の限界だったよ。どうして灰原さんと知り合ったって言わなかったのさ。」
そう言いながら、俺の胸を泡のついた指でヌルヌルと擦り上げる叶斗に、俺は呻きながら答えた。
「だって、お前たち大騒ぎするだろ?んっ。別に知り合ったってほどじゃなかったし。嫌なアルファだと思って、お前たちのいる方へ行こうとしたら俺の腕を掴んだんだ。ムカついて、背中に腕捻ってやった。」
事実を聞いたら絶対許してくれると踏んでいた俺は、見通しが甘かったみたいだ。俺の頭を洗っていた新が、手を止めて尋ねた。
「え?岳が灰原さんを締め上げたのか?」
俺は少し得意になって話し続けた。その時叶斗の手も止まっている事に、俺は気づかなくてはいけなかった。
「まぁね。俺は腐っても山伏だからさ、身体が勝手に動いちゃうっていうか。まぁ面倒臭い奴に絡まれたな、なんて思ったせいもあって、ついやり過ぎちゃったかも。はは。」
俺が機嫌良く話していると、二人がため息をついて、俺の身体を馬鹿みたいに洗い出した。俺は泡にまみれながら、なぜか二人が俺の頑張りを評価していない気がして尋ねた。
「なあ、俺ちゃんと灰原さんのこと、そう、袖にしただろ?これで正解だと思うんだけど。二人が怒ってるの意味わかんない。」
すると新は俺を抱え上げて、叶斗に後ろを綺麗にさせながら、ビクビクしながらしがみつく俺にため息をつきながら言った。
「岳はαの事知らな過ぎだ。アルファってのは、幼い頃からほとんど挫折も知らないし、自分の思う通りに人生を送ってきている奴がほとんどなんだ。なのに、自分より弱いΩに痛めつけられるとか、絶対興味持つだろ?
俺たちだって、思い通りにならない岳に振り回されるのを楽しんでる部分はあるからな。岳が自分らしく生きれば生きるほど、何だかアルファ達を引き寄せそうで俺は心配だよ。」
そう言って俺を甘やかに見つめた。俺はもうすっかり出来上がってきていて、新の唇を見つめながら呟いた。
「もう、お小言は良いよ。…俺に甘いものくれよ。」
さっきのタクシーのあの疼きは食事をしたせいか、少し収まっていた。あれが発情では無いとすると、Ωの発情期がどんな酷い事になるのかと思うとゾッとしてしまう。
「岳、俺たちにちゃんと話さないから、こう言う事になるんじゃ無いの?ちょっと今日は、穏やかな俺も我慢の限界だったよ。どうして灰原さんと知り合ったって言わなかったのさ。」
そう言いながら、俺の胸を泡のついた指でヌルヌルと擦り上げる叶斗に、俺は呻きながら答えた。
「だって、お前たち大騒ぎするだろ?んっ。別に知り合ったってほどじゃなかったし。嫌なアルファだと思って、お前たちのいる方へ行こうとしたら俺の腕を掴んだんだ。ムカついて、背中に腕捻ってやった。」
事実を聞いたら絶対許してくれると踏んでいた俺は、見通しが甘かったみたいだ。俺の頭を洗っていた新が、手を止めて尋ねた。
「え?岳が灰原さんを締め上げたのか?」
俺は少し得意になって話し続けた。その時叶斗の手も止まっている事に、俺は気づかなくてはいけなかった。
「まぁね。俺は腐っても山伏だからさ、身体が勝手に動いちゃうっていうか。まぁ面倒臭い奴に絡まれたな、なんて思ったせいもあって、ついやり過ぎちゃったかも。はは。」
俺が機嫌良く話していると、二人がため息をついて、俺の身体を馬鹿みたいに洗い出した。俺は泡にまみれながら、なぜか二人が俺の頑張りを評価していない気がして尋ねた。
「なあ、俺ちゃんと灰原さんのこと、そう、袖にしただろ?これで正解だと思うんだけど。二人が怒ってるの意味わかんない。」
すると新は俺を抱え上げて、叶斗に後ろを綺麗にさせながら、ビクビクしながらしがみつく俺にため息をつきながら言った。
「岳はαの事知らな過ぎだ。アルファってのは、幼い頃からほとんど挫折も知らないし、自分の思う通りに人生を送ってきている奴がほとんどなんだ。なのに、自分より弱いΩに痛めつけられるとか、絶対興味持つだろ?
俺たちだって、思い通りにならない岳に振り回されるのを楽しんでる部分はあるからな。岳が自分らしく生きれば生きるほど、何だかアルファ達を引き寄せそうで俺は心配だよ。」
そう言って俺を甘やかに見つめた。俺はもうすっかり出来上がってきていて、新の唇を見つめながら呟いた。
「もう、お小言は良いよ。…俺に甘いものくれよ。」
40
あなたにおすすめの小説
メビウスの輪を超えて 【カフェのマスター・アルファ×全てを失った少年・オメガ。 君の心を、私は温めてあげられるんだろうか】
大波小波
BL
梅ヶ谷 早紀(うめがや さき)は、18歳のオメガ少年だ。
愛らしい抜群のルックスに加え、素直で朗らか。
大人に背伸びしたがる、ちょっぴり生意気な一面も持っている。
裕福な家庭に生まれ、なに不自由なく育った彼は、学園の人気者だった。
ある日、早紀は友人たちと気まぐれに入った『カフェ・メビウス』で、マスターの弓月 衛(ゆづき まもる)と出会う。
32歳と、早紀より一回り以上も年上の衛は、落ち着いた雰囲気を持つ大人のアルファ男性だ。
どこかミステリアスな彼をもっと知りたい早紀は、それから毎日のようにメビウスに通うようになった。
ところが早紀の父・紀明(のりあき)が、重役たちの背信により取締役の座から降ろされてしまう。
高額の借金まで背負わされた父は、借金取りの手から早紀を隠すため、彼を衛に託した。
『私は、早紀を信頼のおける人間に、預けたいのです。隠しておきたいのです』
『再びお会いした時には、早紀くんの淹れたコーヒーが出せるようにしておきます』
あの笑顔を、失くしたくない。
伸びやかなあの心を、壊したくない。
衛は、その一心で覚悟を決めたのだ。
ひとつ屋根の下に住むことになった、アルファの衛とオメガの早紀。
波乱含みの同棲生活が、有無を言わさず始まった……!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
すれ違い夫夫は発情期にしか素直になれない
和泉臨音
BL
とある事件をきっかけに大好きなユーグリッドと結婚したレオンだったが、番になった日以来、発情期ですらベッドを共にすることはなかった。ユーグリッドに避けられるのは寂しいが不満はなく、これ以上重荷にならないよう、レオンは受けた恩を返すべく日々の仕事に邁進する。一方、レオンに軽蔑され嫌われていると思っているユーグリッドはなるべくレオンの視界に、記憶に残らないようにレオンを避け続けているのだった。
お互いに嫌われていると誤解して、すれ違う番の話。
===================
美形侯爵長男α×平凡平民Ω。本編24話完結。それ以降は番外編です。
オメガバース設定ですが独自設定もあるのでこの世界のオメガバースはそうなんだな、と思っていただければ。
オメガ大学生、溺愛アルファ社長に囲い込まれました
こたま
BL
あっ!脇道から出てきたハイヤーが僕の自転車の前輪にぶつかり、転倒してしまった。ハイヤーの後部座席に乗っていたのは若いアルファの社長である東条秀之だった。大学生の木村千尋は病院の特別室に入院し怪我の治療を受けた。退院の時期になったらなぜか自宅ではなく社長宅でお世話になることに。溺愛アルファ×可愛いオメガのハッピーエンドBLです。読んで頂きありがとうございます。今後随時追加更新するかもしれません。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
落ちこぼれβの恋の諦め方
めろめろす
BL
αやΩへの劣等感により、幼少時からひたすら努力してきたβの男、山口尚幸。
努力の甲斐あって、一流商社に就職し、営業成績トップを走り続けていた。しかし、新入社員であり極上のαである瀬尾時宗に一目惚れしてしまう。
世話役に立候補し、彼をサポートしていたが、徐々に体調の悪さを感じる山口。成績も落ち、瀬尾からは「もうあの人から何も学ぶことはない」と言われる始末。
失恋から仕事も辞めてしまおうとするが引き止められたい結果、新設のデータベース部に異動することに。そこには美しいΩ三目海里がいた。彼は山口を嫌っているようで中々上手くいかなかったが、ある事件をきっかけに随分と懐いてきて…。
しかも、瀬尾も黙っていなくなった山口を探しているようで。見つけられた山口は瀬尾に捕まってしまい。
あれ?俺、βなはずなにのどうしてフェロモン感じるんだ…?
コンプレックスの固まりの男が、αとΩにデロデロに甘やかされて幸せになるお話です。
小説家になろうにも掲載。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる